言葉
遺跡の守護者の言葉と、鏡に映し出された古代文明の滅亡の光景が、今も私の心に深く刻まれている。私は「創世の言葉」の力を正しく使うことを誓った。そのために、この遺跡の謎を解き明かさなければならない。
老狩人は私の決意を理解し、静かに頷く。彼の顔には、以前のような警戒心は薄れ、微かな期待の色が宿っているように見える。「この先は、さらに複雑な構造になっている。気をつけるように」彼は低い声でそう言うと、再び先頭に立って歩き出す。
広間を抜け、再び通路へと足を踏み入れる。壁に刻まれた古代文字は、まるで私に何かを語りかけているようだ。私は宝玉を手に取り、その温もりを感じながら、壁の文字に意識を集中させる。すると、文字が光を放ち、私の頭の中に、古代の知識が流れ込んでくる。
この遺跡は、単なる神殿ではない。それは、古代文明が「創世の言葉」の力を研究し、制御するための施設だったのだ。そして、この先に進むためには、「創世の言葉」の力を利用した、特殊な仕掛けを解かなければならないらしい。
老狩人は、通路の奥に何かを見つけたようだ。「ミタム殿、あれを見てください」彼はそう言うと、通路の突き当たりにある扉を指差す。扉は、巨大な岩で塞がれており、その表面には、複雑な模様が刻まれている。
私は、扉に近づき、模様を観察する。それは、宇宙の法則を表した数式のようだ。私は「無限本」を取り出し、数式を音楽として解釈する。すると、扉の模様が、美しい旋律を奏で始める。
「この旋律は…。」私は、驚きに目を見開く。それは、以前、アトランティスの竪琴で演奏した聖なる旋律と、どこか似ている。しかし、その旋律は、さらに複雑で、力強い。
私は、アトランティスの竪琴を取り出し、旋律に合わせて演奏する。すると、扉の模様が、光を増し、岩がゆっくりと動き始める。ついに、扉が開かれたのだ。
扉の奥には、広大な空間が広がっている。そこは、まるで地下都市のようだ。建物は、崩れかけているものの、かつての繁栄を偲ばせる美しい装飾が施されている。
「ここは…。」私は、息をのむ。ここが、古代文明が滅亡する前に、最後に活動していた場所なのだろうか。
その時、私の耳に、何かの音が聞こえてくる。それは、かすかな話し声のようだ。私は、老狩人と共に、音のする方へと、慎重に足を進める。この遺跡には、まだ誰かが生き残っているのだろうか。それとも…。私は警戒しながら、奥へと進んでいく。




