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蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
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176/360

アトランティスの竪琴

私は、アトランティスの竪琴を奏でながら、邪悪な精霊に接近します。旋律は精霊の動きを鈍らせるものの、その邪悪な力は衰えを知りません。老狩人は杖を構え、精霊の攻撃を辛うじて防いでいますが、その表情は苦痛に歪んでいます。


「私が気を引くから、その隙に攻撃を!」私は老狩人に叫びます。


アトランティスの竪琴を高く掲げ、私は精霊に向かって突進します。旋律はさらに激しさを増し、精霊の周囲に光の波紋を広げます。精霊は私を睨みつけ、その黒い風を私にぶつけようとします。


私は身を翻し、精霊の攻撃をかわします。風の刃が私の頬をかすめ、痛みが走ります。しかし、私は怯むことなく、竪琴を振りかぶり、精霊に叩きつけます。


竪琴が精霊の体に触れた瞬間、激しい光が放たれます。精霊は悲鳴を上げ、その黒い風が散り始めます。老狩人がその隙を見逃さず、杖を精霊に突き刺します。


精霊はさらに苦悶し、その体が光となって消滅していきます。後に残ったのは、微かな風の音だけです。


私は息を切らしながら、竪琴を握りしめます。老狩人は杖を地面に突き、体を支えています。


「やった...のか?」老狩人は、疲れた声で呟きます。


「ええ、何とか。」私は頷きます。「でも、まだ油断はできません。他にも、邪悪な精霊がいるかもしれません。」


老狩人は、周囲を見渡し、警戒を怠りません。「そうだな。気を引き締めて行こう。古代遺跡は、もうすぐそこだ。」


私たちは再び歩き始めます。周囲の景色は、相変わらず荒涼としていますが、先程までの緊張感は少し和らいでいます。風の音が、心なしか優しくなったように感じます。


しばらく歩くと、目の前に巨大な石造りの建造物が現れます。それが、老狩人が案内してくれた古代遺跡です。


遺跡は、長い年月を経て風化しており、所々に崩れかけた部分が見られます。しかし、その壮大な姿は、かつての栄華を物語っています。


「ここが、古代遺跡か...。」私は、その巨大さに圧倒され、言葉を失います。


「ああ、ここがそうだ。」老狩人は、感慨深げに語ります。「かつて、この場所は、風の神を祀る聖地だった。しかし、今は、邪悪な精霊たちの巣窟となっている。」


遺跡の入り口は、巨大な石の扉で閉ざされています。扉には、風の精霊を象徴する模様が刻まれていますが、その表面は黒く変色しており、邪悪な気配を漂わせています。


「この扉を開けるには、風の精霊の力を借りる必要がある。」老狩人は、そう言うと、私に視線を向けます。「旅の人、風の精霊の貝殻は持っているな?」


私は、風の精霊の貝殻を取り出し、老狩人に示します。「ええ、持っています。」


「よし。その貝殻を扉にかざし、風の精霊に祈りを捧げろ。そうすれば、扉は開かれるはずだ。」


私は、風の精霊の貝殻を扉にかざし、目を閉じます。心の中で、風の精霊に語りかけます。


「風の精霊よ、私に力を貸してください。この扉を開け、風の神の聖地へ辿り着きたいのです。」


私の祈りが通じたのか、風の精霊の貝殻が、眩い光を放ち始めます。その光は、扉に刻まれた風の精霊の模様を照らし出し、黒く変色した部分を浄化していきます。


やがて、石の扉が、ゆっくりと開き始めます。扉の奥からは、冷たい風が吹き出してきます。


「扉が開いた...。」老狩人は、驚きの声を上げます。「さあ、中へ入ろう。しかし、油断は禁物だ。何が待ち受けているかわからない。」


私は、アトランティスの竪琴を構え、老狩人と共に、古代遺跡の中へと足を踏み入れます。闇が私たちを包み込み、未知なる冒険が始まろうとしています。

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