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蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
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124/360

感触

世界樹の根元に近づくと、土壌は驚くほど柔らかく、苔むした感触だった。空気を満たすのは、樹木から発せられる微かな光と、甘く、それでいてどこか懐かしい香り。それは、かつてアトランティス文明の竪琴から奏でられた旋律を彷彿とさせる、不思議な香りだった。


ゆっくりと、世界樹の幹に触れてみた。すると、私の指先から、微弱ながらも確実に、エネルギーが流れ込んできた。それは、水晶玉から発せられていた宇宙の交響曲とよく似た、しかし、より原始的で、力強いエネルギーだった。まるで、この樹木自身が宇宙と直接繋がっているかのように。


「…これは…生命のエネルギーそのものだ…」私は、静かに呟いた。図書館長と歴史家は、畏怖の念を帯びた目で世界樹を見上げていた。


歴史家は、古びた羊皮紙を取り出し、何かを調べ始めた。「…この紋様…世界樹の樹皮に刻まれた紋様と同じです。これは…古代語で書かれた、世界樹に関する記述…だと…思います…」彼は、震える声で言った。


図書館長は、世界樹の幹に耳を当てていた。「…聞こえる…かすかな…旋律が…」彼の目は、半ば閉じており、その表情は、深い瞑想状態にあるようだった。


しばらくして、図書館長がゆっくりと目を覚ました。「…それは…創造主の…歌…です…」彼は、息を切らしながら言った。「世界樹は…宇宙の…心臓…です。そして…この旋律は…宇宙の…創造と…滅びの…歌…です…」


彼の言葉は、私の心に衝撃を与えた。宇宙の創造と滅びの歌…それは、創世の言葉の完全な理解に繋がる鍵なのかもしれない。しかし、その歌は、非常に複雑で、その一部しか理解できない。まるで、巨大な楽譜の一部を、断片的にしか見ていないような感覚だ。


「…この歌を…完全に理解するには…どうすれば…」私は、自問自答した。世界樹から発せられるエネルギーは、私の体に吸収され、私の体内に流れる宇宙の交響曲と共鳴している。その共鳴によって、私は、今までとは異なる、より深く、より広い宇宙を感じている。それは、まるで、宇宙そのものの一部になったような感覚だ。


歴史家は、古代語の記述を解読し続けていた。「…ここに…記されています…世界樹のエネルギーを制御するには…特別な…儀式が必要だと…」


図書館長の言葉、歴史家の発見、そして私自身の感覚…それらすべてが、世界樹、そして創世の言葉の謎解明への新たな道を示している。しかし、その道は、険しく、そして、未だに多くの謎に包まれている。



私は、世界樹を見上げ、静かに息を吸い込んだ。新たな旅の始まりだ。

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