消滅
鳥の消滅後、楽園は静寂に包まれたままだった。しかし、その静寂は重苦しいものではなく、むしろ、新たな始まりを予感させる清々しさに満ちていた。図書館長と歴史家は、言葉を失ったように、ただその光景を見つめていた。 私は、ゆっくりと竪琴を拭い、静かに息を吸った。アトランティス文明の影、いや、その最後の記憶と呼ぶべき存在との会話は、多くのことを明らかにした。彼らの滅亡は、野心や悪意ではなく、宇宙の法則に対する理解不足と、その理解への過剰な執着が原因だったのだ。
「ミタムさん…信じられない…」歴史家が、やっと口を開いた。彼の声には、驚きと深い感慨が混じっていた。「アトランティス…彼らは…悪の帝国ではなかった…」
「そうみたいね」私は、静かに答えた。「彼らは、宇宙の真理を探求する、純粋な…科学者…だったのかもしれない。しかし、その探求は、制御不能な力へと発展し、彼らを滅ぼしてしまった」
図書館長は、ゆっくりと杖を握り締めた。「創世の言葉…それが、鍵なのかしら…宇宙の調和を取り戻す鍵が…」
私は、頷いた。「鳥…最後の記憶は、そう言っていたわ。創世の言葉…それを正しく理解し、使いなさい…と」
しかし、創世の言葉とは何か? どのように使えばいいのか? その答えは、まだ私の手の中にはなかった。 「無限本」には、数式が音楽として記されていた。アトランティスの竪琴は、宇宙のエネルギーと共鳴する力を持っていた。そして、私の体内には、古代遺物が宿り、宇宙全体を感知する能力を与えてくれていた。 これらの断片的な情報が、私の脳内で交錯し、新たな謎を解き明かす糸口を探していた。
「まず…何をすれば良いのでしょう?」歴史家が、尋ねた。彼の言葉には、焦燥感と希望が混ざっていた。
私は、ゆっくりと空を見上げた。楽園の空は、鳥が消滅したにも関わらず、依然として星屑の輝きに満ちていた。それは、アトランティス文明の最後の記憶、そしてその残された叡智が、私へと受け継がれた証なのかもしれない。
「…まず…私たちは、創世の言葉を理解する必要があるわ…そして…それを正しく使う方法を…見つけ出さなければならない」私は、静かに宣言した。 その言葉と共に、新たな旅の幕が、静かに上がった。 楽園の静寂の中、未来への希望と、未知なる挑戦への覚悟が、私の胸に満ちていた。




