波動
混沌としたエネルギーの波動は、時折、私の意識を揺さぶる。まるで、無数の声が、同時に語りかけてくるかのようだ。それは、恐怖や絶望ではなく、むしろ、原始的な喜びや興奮に似た感情を伴っている。まるで、太古の宇宙の創造を目の当たりにしているような、圧倒的な感覚だ。
「…このエネルギー…制御できる可能性がある…と、私は確信しています。」
私は、静かに宣言する。図書館長と歴史家は、驚きと疑いの混ざった表情で私を見つめている。
「…しかし、どのようにして…?」歴史家は、慎重に問いかける。「この混沌の力は、アトランティスの魔法とは全く異なる性質を持っています。制御する方法など、誰も知りません…」
「アトランティスの魔法…ではありません。」私は、アトランティスの竪琴を指さす。「私は、この竪琴を使って、宇宙の交響曲を奏でました。そして、闇の獣を呼び寄せ、そして、それを鎮めました。この混沌の力も…音楽…旋律として捉えることができるのではないでしょうか?」
図書館長は、ゆっくりと頷く。「…確かに…あなたの能力は、私たちの想像をはるかに超えています。宇宙の交響曲を理解し、演奏できる…それは、この混沌の力をも制御できる可能性を示唆しているかもしれません…」
「しかし、危険も伴います。」歴史家は、警告する。「古文書には、混沌の力を制御しようとしたアトランティスの魔法使いたちが、全て、この鏡の世界に閉じ込められたと…書かれています。彼らの魂は、この空間のエネルギーと一体化し…」
「それは、彼らが、混沌の力を『理解』していなかったからです。」私は、反論する。「私は、宇宙の交響曲を理解しました。そして、その法則性を知っています。この混沌の力も…同様に、法則性に従っているはずです。その法則性を解明し、それを音楽として表現できれば…制御できる…はずです。」
私は、竪琴を取り出す。鏡の世界の植物から発せられる混沌としたエネルギーは、竪琴の弦に微かに触れる。それは、まるで、生きた楽器が、自ら語りかけてくるかのようだ。
「…準備はいいですか?」私は、二人に問いかける。彼らの表情は、真剣そのものだ。この鏡の世界からの脱出、そして、アトランティス文明の影の謎を解く鍵は、この混沌の力、そして、この竪琴にかかっている。




