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蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
102/335

賢者

賢者の血が、時間転移装置の中央に据えられたクリスタルに吸い込まれていく。赤く輝くクリスタルは、まるで生きているかのように脈打っている。私は、「無限本」から書き出した「創世の言葉」の一部を、クリスタルに繋がる導線に慎重に接続する。歴史家の指示に従い、装置のパーツを一つずつ確認していく。彼の声は、緊張感に満ちている。図書館長は、静かに目を閉じ、何かを唱えているように見える。彼の口から発せられる言葉は、古代語だろうか。聞き取れないが、空気が震えているのがわかる。


装置の起動準備は完了した。私の手は、装置の起動スイッチに伸びる。しかし、躊躇する。図書館長の言葉が、脳裏に蘇る。「『創世の言葉』の力が、この空間の『時間軸の歪み』と共鳴する可能性があります…最悪の場合…空間そのものが崩壊する可能性も…」


この異空間は、不安定だ。わずかな揺れが、私の足元に伝わってくる。壁に奇妙なひび割れが見え始め、そこから、かすかな光が漏れてくる。それは、まるで、この空間が崩れ始めているかのようだ。


「…ミタム…」歴史家の声が、震えている。「…どうしますか…?」


私は、深呼吸をする。恐怖に支配されてはいけない。冷静さを保ち、判断しなければならない。この状況は、最悪のシナリオに近づいているかもしれない。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。図書館長と歴史家、そして、この世界を守るために。


「…起動します」私は、決然とした声で告げる。そして、ゆっくりと、起動スイッチを押した。


装置は、かすかな音を立て、動き出した。クリスタルが、強烈な光を放ち始める。その光は、この異空間全体を照らし出す。そして、空間は、激しく揺れ始めた。壁のひび割れは広がり、奇妙な音が響き渡る。


「…空間が…崩壊し始めています…」図書館長の言葉は、かすれて聞こえる。


私は、装置から目を離さない。この装置が、私たちをこの異空間から救い出すのか、それとも、この空間ごと私たちを滅ぼしてしまうのか。結果は、すぐにわかるだろう。緊張感と、恐怖と、そして、かすかな希望が、私の心を満たす。この瞬間、私の運命、そして、この世界を変えるかもしれない。

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