Act.15 とある幼女の部屋での・・。
強制転移魔術トランスファー。恐ろしい魔術だった。あの森から1転。視界に入ったのは、かわいらしいお人形さんがいっぱいのピンクピンクな部屋だ。いや、転移先が恐ろしいわけではない。アサギは、なんともないらしいが俺とスクワッシュは、船酔いのような感覚に襲われ、もう口から出るというところで、「汚いでちゅ。トランスファーそしてリトレイス×2でちゅ。」の声と共にどこかの水の中に転移された。そして、嘔吐中に息が吸えるわけも無く、2人して溺れる。もう死を覚悟したところで、再び家の中に戻された。「家がぬれるでちゅ。ドライ。」という声と共に上から熱風が吹き付けられ、熱風地獄となったのであった。
「で、でちゅね。状況の説明をでちゅね・・・。聞いてまちゅか?」
「・・・・。」
「・・・・一度死んでみまちゅか?」
「・・・死にたくないですが、今死にかけてまして、もう少し時間をください・・。」
「ふむでちゅ・・・。もういいでちゅか?私ならその程度のダメージ2秒で治りまちゅよ?」
竜神種の魔力や底なしとも思える体力があれば、即時、治るだろうが、こっちは人と獣人だ。治るわけが無い。アサギに説明を・・・。いややめておこう。ややこしくなるだけだと考え、教師に交渉し、アサギと教師が紅茶を飲んでいる間だけ休憩をもらうことになった。
おれとスクワッシュが、のびている間、優雅にお茶を飲む2人の会話は、服屋の話・ケーキ屋の話ばかりで盛り上がっているようだ。どうして女という生き物は、あんな内容の薄い事で盛り上がれるのだろうか?いくら考えも理解できない。まぁ、女心を理解するより俺には、知りたいことがいっぱいあるから後回しにするか。
レギアス・アカギ北方領主は、俺になんのようじなのか。いや俺というより、自由の身である異能者に用事があるのか。しかし自由の身で無い異能者とは?忠誠を誓っているのか、それとも奴隷化されている?ということなのか?それに・・・。俺の目の前にいるランダ教師は、「レルカの守護者」と呼ばれていたよな・・・。レルカは、自由都市レルカのことだろう。そういえば、なぜ、レルカは、レギアス皇国や山脈の国ミナストレ王国とシーザ貴族連盟国という3国に囲まれ、都市国家という単体政治を行えているのだろうか?たしかに3つの国の流通の仲介を行っているから3国共が、暗黙の了解で自治させていると習ったが、他の大陸との交易を行える程の大型船が入港できる港もあれば、山脈が多いミナストレ王国への数少ない交易ルートである大河も有しており、他の2国からすれば、戦争の拠点としても有益だ。逆にミナストレ王国からすれば、レルカを領地とすれば、防衛拠点として有益だ。
そんなレルカをなぜ、自治としているのか。いや、自治にさせているのか。手が出せない。ないしは、手を出すと痛い目を見るのか?なぜ、レルカの守護者たるランダ教師がいるからか?いくら膨大な魔力をもつ竜神種がいるとはいえ、1人だし、魔力の限界もあるのではないか?ランダ教師といえ、寝ないと衰弱もするだろう・・・。
「先生・・・。レルカの守護者とは、どんな力を持っているのですか?」
突然の俺の質問に驚くこともなく、ランダ教師は俺を見るとため息をついた。
「アッシュ君に竜神種の力のことっていっても騙せないでちゅね・・・。そう、あれは・・・。」
彼女曰く、百数年前の魔王を名乗った魔法師を討伐する為、異世界から勇者を召喚したことから始まった。その勇者に助力した1人が、ランダ教師だそうだ。竜神種1人いれば、魔術ではなく、魔法しか使えない程度の魔力の人間程度は、軽く指ではじく程度で終わりそうだが、当時の彼女の魔力は、たいしたこと無かったらしい。とりあえず、魔王退治の途中で、魔王の罠にはまり、命がつきかけたらしい。
彼女は、生き残る為、クリスタルの力を行使する契約を結ぶ。そして生きながらえ契約の通り、クリスタルの巨大な力を引き出せるようになったがクリスタルから遠くはなれることができない。竜神種は、生まれ、数年でクリスタルと契約を結び、その力を行使する。だからこそ膨大な魔力を行使することが出来る。契約をしていない竜神種だと、中級の魔術を行使できるか、できないかという魔力量らしい。契約してこその竜神種といったところか。
契約内容は、無尽蔵といえる魔力を行使できるかわりにクリスタルを守ることらしい。なぜ、クリスタルを守るのか、クリスタルに意思があるのかを聞いても「それは竜神種だけの秘密でちゅ。」といわれてしまった。
そのクリスタルのあった地名が、レルカ平原。そして彼女は、そこを守護した。その後そこに街を作り国家にしたという昔話だ。
その後勇者は持ち前の異能を使い、世界は平和にそして、レギアス皇国が誕生したというお話だ。
さらに余談ではあるが、話が始まって、2分後には、スクワッシュは眠っていた。
「・・・・・。というわけです。」
俺は、先生の話の後試験開始からの経緯を話したが、話し終えたときランダ教師は、くまさんの人形を抱いて眠っていた・・・。
「まぁまぁ、先生っていってもぉ~、お子ちゃまなんですねぇ~。」
といい、アサギが彼女をベッドに運び横に座り、頭を撫ぜている。まるで母親のように見える。
「まるでぇ~。私たちのぉ~子供みたいぃ~。あ、そうだぁ~、いっそぉ~、私たちの子供をぉ~・・・。」
アサギも座ったまま眠った。
私たちの子供って誰の子供なんだろうか?いやそんなことよりも・・・。俺も眠い・・・。
さすがに連戦でつかれているのか、いやだが、眠るよりもこれからの事を・・・・・。
4日目の俺の記憶は、ここで終えている。




