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種馬勇者の血統付き  作者: 赤月
アッシュの決意
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Act.14 レルカの守護者

 シャトザークの人差し指の先端に小さな黒い物。

 小さいが、禍々しい呪術的な力が周囲にこぼれている。人を束縛、人を蹂躙、そんな魔力が周囲に漂うが、それを取り出したシャトザークは、恍惚とした表情でそれをみている。


 「それは・・・。なんだ?」


 「これですか?あぁ、そういえば皇国には普通に流通しているものですが、他国には、まだ出回って無いでしょうね。優れた魔道具ですので、遅かれ早かれ、この大陸中に出回るでしょう。」


 そんな講釈を聞きたいがために聞いたわけではない。呪術。魔術の一種であるが、忌み嫌われている系統にあたる。誰かに強い恨みを持ち、生贄をささげて、対象者になんらかの損害を与える魔術であると教わってはいるが、実際、使い手を見たことは無い。だが、断言してもいい。あれは呪術の産物だ。そして、禍々しい魔力の力の傍は、なぜだか居心地が悪かった。


 「ふふふ。貴方も下賎な民衆の血が、混ざっているから本能的にこの魔道具を嫌うようですが、私のように純潔の貴族の血は、この魔力に触れてもなんとも思いませんよ。」


 そんな血統で、魔力を、呪術を防げるわけが無いのだが、それを妄信しているのは、貴族らしいといえば貴族らしいが。


 「だから、なんだと聞いている。」

 

 「無礼な態度ばかりですね。先ほどまでは打って違いますが、まぁいいでしょう。これは、人に埋め込むと主に逆らうことが出来ないようにする魔道具です。」


 「・・・。奴隷化か。」


 「奴隷?違いますよ。主である貴族に対する美しい絶対的忠誠。命を賭してでも高貴な血を守ろうとする愚民の唯一の特技を形に表す唯一の魔道具なのですよ。」


 高貴なる・・・。ね。自由都市と呼ばれる都市国家で育った俺には、奴隷の概念は無い。だが、敗戦国になった多くの人々は、奴隷にされることが多い。特に皇国に敗戦した国は、女はもとより、男は、次の戦地で、戦奴として使い捨ての前面と出され戦うことになるのだ。そして生き残れば、次の戦いへ。殺されたらその場で朽ち果てる。もちろんその戦争で皇国軍が勝てば、戦奴が補充されるのだ。

 その奴隷達の命の上で、栄華をむさぼる貴族の血のどこが、高貴なのだろうか?むしろ他人の血を吸うダニだろ。


 「これを貴方に与えて、私への忠誠を示してもらうのですよ。」


 「断る。」


 俺の一言で、シャトザークの恍惚とした表情に歪みを浮かべる。


 「それは、困りますね。」

 

 そういうと左手を前にのばすと地面から根がまるで、蛇のように伸びていきその手に握られた。


 「良く見ていてくださいね。」


 そいうと突然、木の根に10センチもある針が方々に飛び出す。植物を扱う異能の一端なのであろう。奴が言いたいことは・・・。


 「そう、そこの獣人の周りには、根がいっぱいありますよね。木々に獣人の血をすわせるのは、きっと毒なのですが、貴方が言うことを聞かないなら致したが無いでしょう。」


 「人質か?高貴な貴族様が、そんな下賎なことをするのか?」


 「いえいえ、獣人ですから人ではないよ。ただの野犬。いやこの場合はただの虎ですよ。人に怪我させる前に処分したほうがいいのです。」

 

 始末に終えないとしかいいようがないが、どうすればいい・・・。


 「おとなしくしえくださればいいのですよ。」


 焦燥感が顔に出てしまっていたのか、下賎なる貴族様は左手に握っていた根の先端に魔道具を乗せると、徐々に俺に伸ばして来た。


 「あぁ、そうそう、痛みは無いですから動かないでください。貴方の額に触れたらすぐ埋まっていきますからね。」


 徐々に根が近づいてくる。どうすればいい・・・。残された手はない。致命傷ではなく、一撃で絶命させなければ、スクワッシュの命の保障は無い。


 「抵抗はしないが、この2人には、手を出すな。」


 「アッシュ君!!」


 アサギが珍しく焦ったような声をだすが、俺はどうしようもないだろう。俺個人の問題で、仲間を犠牲にするわけにはいかない。


 「ふふ、まぁーいいでしょう。獣人の汚れた血など見たくもありませんし、そちらの女性も私の好みではありませんしね。」


 お前の好みなどどうでもいい。スクワッシュは、お前のように薄汚れてなどいない。

 根が徐々に目の前に近づいていく。最低限、仲間さえ守れればいい・・・。俺はあきらめて目をつぶった。


 「キャスト・鉄になれでちゅ!!」


 聞きなれた声が聞こえ。俺は目をゆっくりとあけるとそこは、鉄色の世界だった。


 「先生・・・。どうして・・・?」


 前には、ランダ教師が立っている。だが、俺には背を向け、シャトザークに対して怒りを表すように仁王立ちで立っている。美幼女が一生懸命怒っているかわいらしく見える人もいるかもしれないが、俺の足は、さっき以上に逃げ出したくなる。


 「あなたは、この試験に参加してまちぇん。そして、その魔道具は、自由都市レルカ領内に持込を禁止でちゅ!!」


 「竜人種・・・。そうかあなたが、レルカの守護者、ランダ・ルクザルク。ですか・・・。」


 レルカの守護者?自由都市を守るものという意味だろうけど、俺にはわからない言葉だが、とりあえず助かったのか・・・?


 木という木が、鉄でできている。俺に伸びていた根やスクワッシュを包み込んでいた根もだ。ただ、奴の体は、木でできている筈なのに変化は無く。竜神種が表れ、異常といえる魔術を行使しても何事も無かったように佇んでいる。


 「この状況からみるに異能者しゃんですね。もう一度言いまちゅ。呪術に関わるものを自由都市レルカに持ち込みを禁止でちゅ。早急に引渡しを要求しまちゅ。そして、この島は、わたくちランダ・ルクザルクの固有資産でちゅ。今回試験会場としてぇ、開放しておりまちゅが、ご招待した覚えなのない、あなたには、即刻退去をもうしつけまちゅ。」


 この広い島が個人資産・・・・。理解ができない事が多いな。


 「私が、あなたに従う義理はありませんが、さすがに貴方が無限に行使できるレルカ領内で、事を起こす程愚かではありません。よって、アッシュさんでしたか、そのうち我が皇国で会いましょう。っはっは。」


 どう聞いても負け惜しみなことには気がついていないのだろうか?シャトザークの体は、徐々に灰になっていき、そこには、小さな花が。いや草にシャトザークの顔ができている。かなり奇妙で、気持ち悪い草だ。


 「そうそう、我が兄弟は、一緒に連れてかえり」


 「去れ!!」


 シャトザークが言い終わる前に、魔術形式にもなっていないランダ教師の魔力が、草を木っ端微塵に砕かれる。相変わらず、反則的な魔力としか言いようが無い。


 「しゃてと、アッシュ、スクワッシュ後アサギ。」


 名前を呼ばれ、3人に緊張が走る。先ほどとは違う危機感を感じる。逃げる手段はないだろう。言い逃れするにも不明な事だし、どうしたものか・・。


 「とりあえじゅ、私のおうちにきなちゃい!!トランスファー×3でちゅ。あとキャスト解除ですちゅ。」


 ランダ教師の無茶な魔力が俺達を包み、俺達の姿は、その場から消え去った。そして鉄の世界に変えられた森は、根が方々に伸びているものの何事も無かったように夜を迎えるのであった。

好きなように書きすぎですね><

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