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10.帰還
先に結果から言うと、麻希は助かった。癪だが、それは霞たちが居なければなしえなかったことだろう。
霞は麻希が何者であるか、知っていたらしい。だから、東京港付近を散策していたら私たちを見つけることができたのだ。そして私と二人で麻希を引き上げた。かろうして溺死する寸前だったので、待機していた紗月の車で急いで病院に向かった。そして、今に至る。
「皆に心配かけて、悪かったと思っているわ」
麻希は本当に悪いと思っている様で、私たち一人一人にプレゼントを渡して回っていた。私には煙草一ダース。霞と紗月に何をあげたかは不明だ。知りたいとも思わないので、それで構わないが。
「何にせよ、麻希が助かって良かったよ!」
修はお気楽そうに言う。一人だけ事情を知らないのだ、今回は見逃そう。
「ソーデスネ」
私も頷き、仕事へ戻った。麻希は数日間入院していたが、無事回復し今日から仕事に復帰している。
「さぁ、溜めてた分までやるわよ!」
今の彼女は明るい。そう繕っているだけかもしれないが。失踪したり自殺しなければ、それが一番だろう。
もう東京湾で彼女とは会いたくない。そう思った霜月下旬であった。




