遭遇
大学の敷地内を進んでいると分かった事がいくつかある
1つ目は燃えていたのは講義室がメインにある本館ではなく、実験室なのがメインの別館だということ
2つ目は別館から燃え広がることなく、そこで止まったかのように火が消えていたということ
3つ目は火災があったとはいえ敷地内に人が1人も居ないということ
別館はまだ灰が舞っている状態だったため探索を諦めて俺たちは本館を探索していた。
人がいた痕跡は随所に現れていた。駐車場の車や、講義室の明かり、事務所にあった飲みかけのコーヒーなど、火が上がったのは最低でも今から2時間も前のはずなのに「ついさっきまで居た」ような痕跡ばかりだった。
本館の建物内は大体見れたから屋上から別館を見てみようと晴人に提案され屋上へ向かう。屋上までの道すがら気になっていたことを話す
「そういえば晴人、映画は良かったのか、友達も待ってるんじゃないか?」
「全然大丈夫だ、英司が自分から誘って来たことなんて今までなかったし」
「映画なら何時でも見れるしな!」
「ならいいんだが…眩しいな、お前は」
人に優劣を付けるのは烏滸がましいことだと分かってはいるがどうしても彼と比べてしまう事がある
「生きていて価値のある人間」なんて差別じみた表現しか俺のボキャブラリーでは出てこないが、彼の明るさに救われる度に思う。
「階段長かったな〜英司!」
屋上への扉の前で晴人は伸びをしながら言った
「段数は変わらんだろう…」なんて言いながら扉を開けるとそこには2人の影が見えた。
「あれれ〜?」屋上の中央、人型の化け物の一人が声を上げる。
「威力は上げたはずなのになんでまだ居るのかなぁ」
作り物の猫のような顔、身体には管楽器が巻きついたような装飾がされて、手にはカラフルなラッパを持っており、その黄色い眼はこちらを直視していた。
「チッ…耐性持ちか」もう1人の化け物が不機嫌そうに言う。
「おい小僧!結局耐性持ちには効かねぇじゃねえか」
作り物の狼の面ような顔に二本の角、筋骨隆々な肉体には全身の鎧には刺々しい装飾がされており、その拳には雷と炎の絵が刻まれたガントレットを着けている。
俺たちは逃げようと彼らに背を向け扉に向かうが、さっきまで鍵はかかっていなかったのに施錠されていた。
この状況は誰がどう見ても不味い。
格好は現実離れしているがコスプレの類い出ないことは彼らの纏う不気味な何かが証明している
向こうは武器を持っていて、こちらは丸腰で逃げ道は塞がれている。
「アンタら、ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」
文字通り絶体絶命な状況で俺は虚勢を張る
「君らも関係者じゃないよねぇ?こいつら殺す?雷桜」
「そうに決まってんだろ。生き残られて感殺になられても困るんだよ」
雷桜と呼ばれている狼面の男が呆れ混じりに言い放つ。
「感殺」がなんのことかはさっぱり分からないが俺たちを生かす気は無いようだ。
「でもさぁ、どうするの?成果はあるけどこの結果は失敗だしねぇ」
「元はと言えば小僧、お前が効果の適当に範囲を拡げたせいだろうが!」
「爆弾なんだから高威力じゃないと意味無いの分かんないかなぁ!?」
怪人2人が言い争ってるうちに俺と晴人は小声で逃げる算段を立てる。
「英司それは無茶だ!」
「アホ大きい声出すな聞こえるだろ!とりあえずこれで行くからな!」




