第3話 最高管理者権限
ダンジョンマスター、それはそのダンジョンにおける最高管理者。
自身の所有するダンジョン内に限り、様々な特権が与えられる者。
そして管理するダンジョンの規模が大きくなればなるほどに、その力は増してゆく。
ユウタの相続したダンジョンは、100階層の世界最高クラスであり、その最高管理者に与えられる力はダンジョン内限定ではあるが、破格の力となる。
ーー100層ダンジョン、第1大階層にて
『キュオオオ』
ユウタの右手の中指にはめたマスターリングの輝きがどんどん強くなっていく。
「な、なんだよそれ!」
「兄貴、あれマスターリングですよ!」
「マスターリングだと?」
マスターリング。
それはダンジョンの正式な所有者のみにしか持てない、そのダンジョン限定の強力アイテム。
限定的なアイテムではあるが、その力は文字通り何でもありなのだ。
「最高管理者権限ーシャイニング・ブロー」
『キュオオオ』
ユウタの右拳が轟音を立ててオレンジ色に輝き出した。
ーーコメント欄ーー
"キタキター!"
"焼き尽くせユウタ!"
"あの炎って、ダンジョンの外敵だけ燃やすから便利だよなぁ"
"やっちゃえユウター!"
「やばっ、ヤバいっすよ兄貴!」
「あ、慌てんな、俺達にはコレがあるだろ!」
『スチャッ』
兄貴はそう言ってお手軽バズーカをユウタに向けた。
「……何だそれ?」
「へへ、しらねぇのかよ、これはお手軽バズーカと言ってな、コイツで入り口にいた骸骨の兵士どもを蹴散らしたんだ」
「ほう、お前ら俺が手塩に育ててきたモンスターにバズーカを撃ったのか」
「え?」
「スカルナイトの一体をちゃんと育てるのってなぁ、お前らが思ってる何十倍も大変なんだぞ……」
そう言ってユウタは俯いてしまう。
ーーコメント欄ーー
"ゆ、ユウタ……"
"大変だったもんなぁレベリング"
"作るのだって骨集めて何とか作ってたもんな"
"たしか一体作るのに、一週間くらいかかってたよな"
ユウタに同情するコメント欄。
そう、ユウタの配信ではモンスターを愛でることが多いため、自然と視聴者もユウタのモンスターに愛着を持つ。
故に今、このダンジョン荒らし2人は配信を観てる3万人を敵に回したのと同義なのだ。
「ぜってぇ許さん、うおおおおお!!」
『キュオオオオオ』
輝きが増していくユウタの右拳。
「お、おい落ち着けよ、たかがスカルナイトだろ?」
『ピクンッ』
その言葉にユウタの耳がピクンと反応した。
2年前、ユウタがまだこのダンジョンを相続したばかりの頃、第70大階層を管理するスカルキングが色々と教えてくれた過去がある。
故にユウタにとってスカル族とは、守るべき種族であり恩人でもあるのだ。
そんな大恩あるスカル族を"たかが"呼び……ユウタの怒りは頂点に達する。
「"たかがスカルナイト"だと?いいかよく聞け馬鹿野郎ども、そもそも俺の……爺ちゃんのダンジョンに容易く倒して良いモンスターなんていない、それにお前らが倒したスカル族は俺の恩人なんだぞー!」
『キュオオオ』
「そ、そんなの知らねぇよぉ!!」
「あ、兄貴!バズーカを」
「お、おうそうだな」
『カチャッ』
兄貴は子分のシズヤに言われ、バズーカを構えた。
「ふ、ふっ飛べ!」
『ズドォン』
放たれたバズーカは、そのままユウタに直撃してしまう。
『シュオオオ』
「マスター!」
ユウタを包む灰色の煙。
そしてエルフのマリーも、心配で大きな声が出てしまう。
「落ち着けよマリー、俺は全然大丈夫だから」
「ば、バケモンか!」
灰色の煙が晴れて、中からほぼ無傷のユウタが現れる。
「あ、兄貴!」
「おうよ!」
『ズドドォン』
兄貴は立て続けにもう二発バズーカを放った。
『シュオオオ』
「だからさ、効かないんだよ」
「ひ、ひぃぃぃ」
またもや灰色の煙から無傷で現れるユウタ。
「あ、ありえねぇ」
「……お前ら知らないのか?」
「え?」
「俺の所有しているダンジョンで、俺を倒せるわけないだろ」
『え?』
ーーコメント欄ーー
"お、おいこの2人"
"ああ間違いない、最高管理者の仕様を知らないな"
"『最高管理者は自身の所有するダンジョンに限り、その迷宮の持つ階層数と同じレベルになる』こんなの常識かと思ってたけど"
そう、コメント欄でもあるように、最高管理者は、そのダンジョンに限りその迷宮の持つ階層数と同じレベルとなるのだ。
つまり、このダンジョンは100階層あるため、ユウタのレベルは100なのである。
「はぁ、いいかよく聞けアホども、俺のレベルは100でお前らのレベルは見たところ……5くらい?そのバズーカがあったから倒せただけで、本来ならスカルナイトにも勝てないんだよ」
「くっ、う、うるせえ!」
『チャキッ』
兄貴はまたバズーカを構える。
「はぁ、もうそれは効かないって言ったよね?」
『シュッ』
一瞬で間合いを詰めるユウタ。
「なっ、こいつ……」
『ガシッ』
そのままバズーカを掴むユウタ。
「せい!」
『グニャァ』
「なっ、砲身が曲がっただと!?」
「さぁこれでお前らの武器も無くなったことだし、大人しくーー」
『す、すみませんでしたー!』
「え?」
ユウタがバズーカをお釈迦にすると同時に頭を下げるダンジョン荒らし達。
「ほんの出来心だったんです!なんでもするので、許してください!」
「何でもだと!?」
その言葉にユウタは過剰な反応を示す。
「ええ、貴方の指示に何でも従います~!」
「ならさ、君たちここ(俺のダンジョン)で働いてみない?」
『え?』




