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そうだ。奴隷を冒険者にしよう  作者: HATI


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第1025話 美の女神より奇麗な女

 他の皆からの視線を感じつつ、ユーペと共に彼女の部屋に向かった。

 向こうの大陸に行く前に約束していたからか、異議の申し立てはない。


「おい、どこへ――」

「さ、あっちに行きましょう。部屋を案内しますよ」

「アズ、貴様何を……。私を引きずるな」


 フランだけは何か言おうとしていたが、アズに口をふさがれ強引に連行されていった。


 ユーペの足取りはいつも通りだ。

 溢れる自信を見せつけるように、しっかりと前に進む。

 鼻歌まで歌っていた。


 そして彼女の部屋に到着する。

 何度か訪れたことがあるが、夜にこうして中に入るのは初めてだ。

 彼女の香水と同じ匂いがするアロマが控えめに焚かれている。


 俺が入るのと同時に、ユーペがバタン、とドアを閉めた。


「お風呂は……さっき入ったから必要ないわね。一緒に入ってもよかったんだけど、それはまた今度にしようかしら」

「いいのか? 初めてなんだろ?」

「なによ、どうせこうなるんだから切っ掛けがある今が一番じゃない。ヨハネ以外の男を今更探す気もないんだから」


 実質告白のようなものだ。

 ユーペに言われると殊更照れるな。


「私とヨハネが結婚することまでティアニスは想定してるんじゃないかしら。妹の想定通りっていうのは癪だけど、それ自体は私もいいと思ってるのよ。ヨハネは嫌なのかしら?」

「そんなことはない。俺だってユーペに惹かれてるよ。最初の出会いは最悪だったけど、知れば知るほど魅力が増していった。ただ結婚っていうのは意識してなくて」

「あれだけ侍らせて誰とも結婚しないって言ったら刺されるわよ……。別に私一人に絞れって言ってるんじゃないの。どうせそれは無理だろうし、私だって浮気はしないけど結婚に行動を縛られたくはない。でも私だって女なのよ。いいなと思った男に手を出されないのは我慢ならないわ」


 ユーペはドレスの肩ひもに手を伸ばし、結び目を解く。

 はらりと肩ひもがしなだれて、インナーが露わになる。

 もう片方を解くと、ドレスが支えを失って床に落ちた。


 シースルーのインナーは肩から膝まであり、その下に紫の下着が上下共に透けて見える。


「私の初めてをあげるわ。責任はちゃんととってもらうからそのつもりで」

「分かった」


 俺も男だ。

 ここに来た時点でユーペと一緒になることは分かっていた。

 覚悟を決めよう。

 そっと近づき、肩に触れる。


「優しくしてね」

「あんまり自信がないな。ユーペが魅力的だから」

「当然よ」


 顔を近づけると、ユーペが顔を上げて目を閉じる。

 そのまま更に近づき、吐息が触れるほどの距離でも止まらない。

 ユーペと唇を重ねた。

 香水とユーペの体臭が混ざり、それを嗅ぐだけで心臓の鼓動が速くなる。


 浅いキスを何度も繰り返す。

 透けているインナーの裾を掴み、ゆっくりとまくり上げる。

 神秘に包まれたヴェールを剥がすことにより、素肌が露わになっていく。


「脱がせて」


 言葉に従い、彼女の下着を脱がせていった。

 その間普段の活発さは鳴りを潜め、じっとしおらしくされるがままになっている。

 それだけで男の自尊心を高めてくれた。


「……奇麗だ」


 裸になった彼女の姿が部屋の明かりに照らされて、はっきりと俺の目に映る。

 あまりにも美しすぎて、エロスよりも芸術的な美を感じてしまった。


「私だけ裸じゃ恥ずかしいんだけど?」

「そうだな」


 俺も服を脱ぐ。

 ……初めての行為ではないのに、ユーペの裸を見たからかまごついてしまう。

 そんな俺の姿をユーペはクスリと笑った。


「光栄に思いなさい。男でこの姿を見るのはヨハネが最初で最後よ」

「それは一生自慢できそうだ」

「バカッ。いくら私が奇麗だからってそんなこと誰かに話したら本気で怒るわよ。心の中で自慢するだけにしておきなさい」

「そうする」


 裸のままもう一度彼女に近づき、そのままハグした。

 お互いの肌が触れあう。

 温かい。

 相手の血の流れがダイレクトに感じられて、生きているという実感が湧く。


 ユーペの瞳が潤んでいる。

 強く抱きしめて、さっきよりも情熱的にキスをしながらベッドへと倒れ込んだ。



 ユーペと情熱的な夜を過ごした。

 ただ、初めてのユーペには負担が大きかったようだ。


「……へんたい」

「悪かったって」

「女が待ってって言ったら男は待つものよ!」


 枕を投げつけられる。

 ユーペの嬌声に我慢できなかったせいだ。

 機嫌が直るまで謝る。


「喉が渇いたから水をとって」

「すぐ持ってくるよ」


 水差しを手に取り、コップに注ぐ。

 そしてユーペに渡すと、両手で掴んでゆっくりと傾けて水を飲む。

 彼女の柔肌から汗が流れていく。


 そうしていたら首のチョーカーがずれて、傷痕が露わになっていたことに気付いた。

 そこを撫でると、少しだけ感触が違う。

 完璧なはずの彼女の肢体に、ただ一つ不完全な場所がある。


「ちょっと、くすぐったいんだけど」

「ここは本当に治さなくていいのか? ラミザさんやエルザならなんとかなるだろう」

「私自身のケジメだからいいの。死刑を免れた代償だし、同時に私の新生の証。それに……」


 ユーペが髪をかきあげる。

 会わなかった間に少し伸びていた。


「この傷跡があるから私は完璧じゃない。完璧って言葉はいい意味で使われるけど、同時にそこで成長が終わりってことじゃないかしら。完璧じゃなくなったからこそ、私はもっといい女になれると確信してるのよ」


 むしろ傷痕を俺に見せつけるように胸を張る。


(傷痕のせいか余計にエロく見える)


「ユーペには叶わないな。たしかにどんどんいい女になってる」

「でしょう。きっと後世には最も素晴らしい女性と記されるはずだわ」

「……誰も記さなかったら自分で記しそうだな」

「当然よ! 私の記録がないなんて歴史の損失なんだから。疲れたから寝ましょう。起きたらさっぱりするためにシャワーを浴びたいわ」

「ああ、おやすみ。奇麗なお姫様」


 二人で添い寝して、夜を過ごす。

 ユーペも頑張って守ろう。


 しかし結婚か。

 アズたちも口には出さないがそういう雰囲気を感じる。

 一夫多妻は権力者には珍しくない。

 ……手を出した責任はとる。




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