金策を考えましょう!
三十分くらいぐしゅぐしゅ泣きながら配信をして、その終了後。
私は竜宮城で借りていた部屋からホームである緋羽屋敷へと移動していた。
「ただいま帰りました!」
「おかえりなさい、ケイカ……ゆっくり……していきなさい」
「ただいまですレキお爺ちゃん! ドラプラちゃん! シャークくん!」
はわっ、レキお爺ちゃんの慈愛の瞳がやばい。マジお爺ちゃん。実家のような安心感……!! ホームの中は綺麗なままだ……いや、ちょこっとだけ模様替えされてるっぽいかな? 屋敷のことについては完全にレキ頼りになっているから、屋敷の改装や庭の植物と果樹園に関しても全てレキが采配していることとなる。亀の甲も年の功もあるなら、二つ合わせて最強だね! 間違いない!
「あの、貯金のほうは大丈夫でしょうか……?」
「無駄遣い……とまでは、言わないが……収入よりも……出て行くゴールドのほうが……多い。そろそろ、気をつけなければ……貯金は、できぬ……」
はい、レキ優しい〜!
絶対無駄遣いって言いたいんだろうけど、「とまでは言わないが」って私に配慮してくれてる! AIが相手の気持ちを立てて配慮してくるとか本当にもう……もう、生き物だよねぇ。普通に同居人がいるのとなんら変わりはない。
むしろ私のほうが足を引っ張っている感じがあるくらいだ。気立てのよくてお財布管理までできて朗らかで、なんていいお爺ちゃんなんだ……うちに来て……。
さすがの私もあれだけ散々、人に「金銭感覚やばいぞ」って言われたら、そりゃ心外でも納得するしかない。一人の人に言われているだけならまだしも、複数人に同じことを言われるのならば、それは事実ヤバいということである。開き直って逆ギレなんてことをするほど短気でもないし、とりあえず納得はするよね。
私自身で制御できていないのなら、あとはやはりレキに頼るのが一番だ。お小遣い制まで行くのはさすがにちょっと嫌なんだけれども、購入費用と残高のメモくらいはしておかないと自分で自覚ができないかもしれない。その辺りは自動速記してくれるアイテムが実は売っているらしいが……それもお高いんだよねぇ。だから自分でメモを取るしかない。
あとは、お金がなくならないようにある程度金策も考えなければならない。
要するに、たくさん有り余るくらいにお金があればいくら使っても大丈夫ってことでしょ?
「金策をどうしましょうか。私としては、屋敷の庭を拡張してシャークくん用に砂場を作りたいですし、ユールセレーゼのところも開拓してあげたいですし……あ、ジェムツリーをたくさん植えれば毎日ガチャって金策になりますか?」
「……」
生暖かいレキの目と目が合う。なんでそんな顔するの……? なにその、孫の悪戯を微笑ましく見てるみたいな目!? だって金策するならゴールドとか換金アイテムが落ちてくるジェムツリーを利用するのが一番早いじゃない!?
「まずは……果樹園を広げて、野菜用の畑も、作ろう。それから……キッチンは、ある程度しっかりした……設備になっているから……果物に、野菜に、保存できる料理済みのアイテムを……無人販売したり、お店の棚に卸してもらえるよう……交渉ごとをしたりするといいのでは、ないかと」
めっちゃ経営について考えてくれてるじゃない……!?
とりあえずガチャやっとけと思っていた自分が恥ずかしいんですけれど!
「取引先を……作れば良い。既に猫の少女の……カフェーとは連携している、だろう……? それと同じように……一定量、納品し、連携することのできる……飲食店を、持つといい」
自宅経営ゲームの始まり始まりか?
いや、まあ、そうか。確かに、向こうにお願いされてルナテミスさんのところの喫茶店で、緋羽屋敷で採れた果物を納品提供している。それだけでも買ってもらったお値段分、確実にお金が入ってくるわけだし、そうやって連携できる場所を増やせば自然と貯金もできるかもしれない。
併せて無人販売所も屋敷の前に設置すれば、買う人は買って行くだろうし金策にはなる。そうか、そうだよね……。
なら、あとはどこの飲食店に売り込みに行くかだけども……知り合いは特にいないんだよなあ。もしかしたら、視聴者の人に募集すればいくつか取引先ができるかもしれないが……まずは知り合いの中で、信用できる相手を選びたい。
果樹園と畑も今のままだとまだ小さいし、もっと大きくできるならしてみたい。うーん、牧場ストーリーかなにかか? ま、これもまたゲームの楽しみのひとつでしょう。だいたいのことはレキがやってくれるから負担も少ないし。
「リリィ嬢のところは……どうだ?」
なかなかどこを取引先にしたいか言わない私に、レキが提案するようにそう言った。
へえ、リリィか。確かにあそこは初心者もよく行く場所だし立地的にも――って。
「プレイヤーじゃなくても取引先にできるんです!?」
「だめな……理由が……見当たらないが……」
そうだね! 別に禁止されてるわけでもないし、できないと言われているわけでもない! できるとも言われてないけど!!
つまりはあれですか、本当はNPCの店と取引したり連携したりもできないことはないが、特別にアナウンスしておくわけでもない隠し要素ってところ?
だって普通! できると思わないもの! まさにその発想はなかったなんですけど!
そんな感じで、混乱しつつも私はレキとジンを入れ替えてリリィのお店にダッシュすることになったのだった。
神獣郷こっそり裏話
できるの?
→できるよ。残念ながら第一人者ではなく、既にやってる人もいます。
競合する人がいなければ得になるので、これを知っている人は全員情報を伏せています。故に攻略情報にも載っていない。自力で気づく必要ありの金策方法。レキが教えてくれてよかったね。




