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飼い猫が超絶イケメンで困っています!  作者: 酔い氏


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18/18

( ΦωΦ )♡#15 むかしむかし

ルナの過去編です。

むかしむかし。

俺がまだ、とても小さな子猫だった頃の話。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その頃の記憶は曖昧だ。


ーーー


みんなのにおい。あたたかい。

俺には母さん、兄さん、姉さんが2匹。

きょうだいの中で俺がいちばん小さくて、なにもできなかった。


母さんは、小さくてちゃんとごはんを飲めない俺のばしょを作ってくれた。

兄さんは、大きくて、よく俺を守るようにとなりでねていた。

姉さんたちは、毛づくろいがうまくて、よく俺をなめて遊んでいた。


みんないっしょだった。


せまくても、くらくても、さむくても、母さんのお腹にくっついてねる時間がだい好きだった。


しあわせ…“だった”


ある日、母さんのにおいがおかしくなった。

人間のにおいがいっばいになった。

こわい声。大きな音。

俺はなにもわからなかった。

ただこわくて、母さんもふるえていたことが、いちばんこわかった。

母さんはみんなをぎゅってして、ねていた。


お月さまがまん丸になった夜。

母さんは俺たちをつれて外へ出た。

さむかった。

すごくさむかった。


まだ小さかった俺は何回もころんで、それでも母さんは俺を立たせて、どこに行くかもわからず、あるいていた。

兄さんが待ってくれた。

姉さんが鳴いて呼んでくれた。

姉さんが後ろからおしてくれた。

母さんはすごくいそいでいて、なんだかこわかった。


ただただ雨の中を走った。

冷たかった。

母さんは、どのくらい歩いたかわからないくらいとおくの、ボロボロのダンボールの前で止まった。


俺はホッとした。

やっと休めると思った。


でも、

母さんはみんなを小さくてくらいところへ入れた。

兄さん。姉さん。姉さん。

そして俺。


母さんのはなが、おでこにふれた。

あったかかった。


だから俺はなんだかうれしくて、ないた。

「みゃ」

母さんも短く、小さくこたえてくれた。

「にゃぁ」

そして母さんはどこかへ行ってしまった。


俺たちはずっとまった。

さむくて、おなかがすいて、ねむかったけど、まった。

母さんならぜったい帰ってくるって思った。


だって母さんだから。

俺たちをむかえに来て、なめて、ごはんをくれると思った。


でも、来なかった。


つめたい雨だけが俺たちにふりかかって、さむかった。ふるえた。おなかもすいた。

そして、こわかった。


俺はないた。

それにつられるように、兄さんも、姉さんも、ないた。


それでも母さんは来なかった。


夜になってもっとさむくなってからは、ダンボールの中で俺たちはぎゅってして、あたたかくした。


兄さんが俺をかかえこんで、姉さんたちがくっつく。

ちょっとだけだけど、あたたかくなった。



翌日。

雨は止まなかった。

俺はもう、泣く力もなくなってねころんでいた。


いつもうるさい兄さんはしずかで、いつもふざけ合っている姉さんたちはふるえていた。


俺もつかれた。なにより、ねむかった。きのうもあんなに寝たのに。

ねたら楽になれる。

なぜか俺はそう思って、目をとじた。

ゆっくりと意識がおちていく。そんな時に、音がした。

「〜〜ねこ〜!〜たす〜〜〜る!」

人間の声というのだろうか。何を言っているか分からない。

知らないにおい。

近づいてくる足の音。


俺たちの入っているはこが、ぐらっとして、光が入ってきた。

俺はしかたなく目を開けた。


そこには、まだ人間にしては小さい女の子がいた。


ーーー


その子が傘を持って、泣きそうな表情で見つめていたのを、今でも覚えている。

俺たちを見て、その子は本当に泣き出しそうになっていた。


「え…?うそ……」


優しい声が震えていた。

その時のことはよく覚えている。

俺が初めて安心できたから。

この人は怖くない。と、どうしてかそう思った。

その子…みこと迷わずスマホを取り出し、どこかへ電話した。


そして、そっとダンボールに傘をさしてくれた。

みこと自身が濡れてしまうことも厭わずに。

そのあとは病院で、

ミルク、毛布、たくさんの人、色々あった。


小さかった俺には難しくて、そこら辺はあまり覚えていない。


でも一つだけ、はっきり覚えているのは、美琴が毎日来て、撫でてくれた。

俺にはその時まだ名前がなかったから、名前を付けて、呼んでくれた。


「ルナ!」


その名前が好きだった。

呼ばれるたび嬉しかった。

その時からだと思う。俺は美琴が好きになったのは。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ルナが後になって知ることだが、

ルナの兄と姉たちは、三匹とも生きていた。

別々の人に引き取られて、元気に育ったらしい。

親猫は残念ながらどこにいるか分からない。

ただ1つわかることといえば、ルナの記憶に残る母猫は、白く美しい毛並みを持った猫だったということくらいだ。


それはまた別のお話。

この度は手に取ってくださり、ありがとうございます。

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