第9話 冒険者とパーティ
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:知人のいないパーティにはあまり参加しない。人見知りだとかではなく、信頼の足りてない間柄でパーティを組んでも、ダンジョンでは危険が増すだけだという判断から……と本人は言ってるが、実際は持ってる資格がなさすぎて、条件にみあう募集があんまりないからである(クエスト経験は豊富なので、参加すれば十二分に役割はこなす)。
( 'A`)【射手】:サポート役・攻撃役問わず色々なパーティに参加し、手先も器用で資格も豊富なため、イスラオームの冒険者ギルドでは便利な助っ人としてそこそこ評判。ただクエスト計画が十分に組まれているか、報酬の配分は妥当か、パーティ参加時に細かい所をあれこれと詰めてくるので、低級冒険者からは敬遠されがち。
(゜、゜*)【魔女】:パーティを組むようなクエストは行ったことがないし、行くつもりもない。なぜなら超がつくほど団体行動が苦手だからである。たまに、知人を連れてダンジョンに薬草を摘みにいくことがあるが、知らない人とダンジョンに行くなんて意味が分からないし、考えられないと思っている。
( ・∀・)【神官】:回復役・バフ役としてパーティに参加するのが主な活動なので、魔女とは逆に一人でクエストに行くことは殆どない。彼のような聖職者兼冒険者はそこそこいるが、中でも彼は低級冒険者内では評判である。理由は三つ。物腰柔らかで話が上手いというのが一つ。報酬を殆ど要求してこないのが一つ。そして一番大きな理由が、宗教の勧誘をしてこないというものである。
(;ФωФ)【王女(仮)】:パーティって宴会って意味じゃないのかッ?
──魔法が存在する世界。さる王国の冒険者ギルドが運営する、通称『冒険者酒場』。ここでは冒険者を名乗る落伍者どもが日々集い、酒を片手に肴を片手に、旅の宴や情報交換、はたまた戦果によるマウント合戦などなど、世の為にならない下劣な与太話が繰り広げられている。
──これは、そんな『冒険者酒場』に入り浸る三流冒険者たちの(酔って記憶が飛ぶので)冒険譚には残らない日常の切り抜きである。
(゜、゜*)「それでは、ねすこちゃんの技能講習修了とH級昇格を祝しまして……あ、あと戦士のC級昇格も」
(゜、゜*)「……乾杯!」
(*ФωФ)v「ぶぶいのぶいじゃ!」
(・∀・ )「乾杯。おめでとう、ねすこちゃん様」
('A`;)「酒場で勉強してた時はどうなるもんかと心配したけどな」
(*ФωФ)「ふはは!妾にとってはこの程度、朝飯前じゃ!」
( ^ω^)「へっ試験前日に徹夜してた奴が言ってらあ」
(;^ω^)「つーか俺の昇格祝いはついでかよ……まぁ奢ってくれるんだから文句はねぇけどよ」
(*^ω^)「俺ァ初めて頼んだよ!『生ビール超特大3Lジョッキ』!こんなの自分の金じゃあまず飲めねぇからな!」
(゜、゜*)「えっ?」
(・∀・ )「え?」
( ^ω^)「え?」
(゜、゜*)「ねすこちゃんの分は奢るけど、アンタは自分で払いなさいよ」
( ^ω^)「昇格祝いとは」
(゜、゜*)「おめでとうの気持ちだけで十分……そうじゃない?」
( ^ω^)「それ言っていいのは俺だけなんだよ」
('A` )「まぁまぁ、いいじゃねぇか。お前ピラミッドでお宝見つけて大金手に入れたんだろ?」
( ^ω^)「あんなモンもう使い切っちまったよ」
('A` )「……は?」
('A`;)「……ハァァァァッ!?使い切ったァ!?もう!?」
( ^ω^)「うん」
(゜、゜*;)「うそ、500万Gでしょ!?何に使ったのよ!」
( ^ω^)「まぁ……アレだ。王都に行った時だよ」
(・∀・ )「あ~旅費?いいホテル泊まった?」
( ^ω^)「いや女買った」
(・∀・ )「あっ」
(゜、゜*)「最低」
( ^ω^)「いや別にいいだろ自分の金なんだから何に金を使っても」
('A`;)「にしても高すぎだろ……どんな高級店行ったんだよ」
( ^ω^)「カッカッカ。あん時ゃ処刑される寸前だったからなぁ……大金抱えたまま死ぬのも下らねぇし、パァっと使っちまおうってな!」
('A`;)「ハァ……冒険者の鑑だな。テメェはよ」
(゜、゜*)「にしても最後の最後にそれって……ねぇ神官、男って皆そうなの?」
(;・∀・)「え?あ、あ~どうだろうね……ハハ」
( ^ω^)「つーかそれよりもよォ、せっかくC級冒険者に昇格したってのに、あんまクエストの報酬が上がってねぇんだけど、どういうこったよ」
(;^ω^)「もっと稼げると思ったのに、これじゃD級ん時とさほど変わんねぇぜ」
(;^ω^)「俺を個人指名したクエストが来てくれたら報酬額もケタ違いだってのによ」
('A` )「お前のことを知ってる奴がどれだけいんだよ。まだ昇級したてじゃねぇか」
(・∀・ )「個人指名で依頼されるのも、一流の冒険者ばっかりって聞くしね」
('A` )「そうそう、まっ地道にクエストこなして、名前を売ってくしかねぇな」
(;^ω^)「ハァ……所詮は三流冒険者か……世知辛ぇ」
(*ФωФ)「……」
(#ФωФ)「おい皆の者、いったいなんの話をしておるんじゃ!!今日は晴れてH級冒険者になった妾を祝う日じゃぞ!」
(^ω^ )「あっゴメン」
(#ФωФ)「妾を置いてけぼりにするでないッッッ!!」
(#ФωФ)「というか妾の話を聞いてくれぃッッッ!!」
(^ω^;)「ゴメンて」
(*ФωФ)「よいか!妾はこれより、クエストを受けて受けて受けて受けて受けまくり!怒涛破竹の勢いでA級冒険者へと駆け上がるのじゃ!」
(*ФωФ)「そして、その輝かしい第一歩は既に決まっておる!」
(#ФωФ)「しゃあっクエスト・票!」
(^ω^;)「なっ!?テメェ、いつの間に!?」
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【パーティメンバ募集:レッドドラゴン討伐隊──支援メンバ募集】
募集主:イスラオーム人材サービス
難易度:H級相当
目的:エストロイン火山地帯でのレッドドラゴン討伐クエスト戦闘部隊の補助
人数:5名
報酬:12万G
条件:なし
ドラゴン討伐隊の戦闘部隊が討伐作業に集中できるような支援を行うパーティメンバの募集です(※1)(※2)。エストロイン火山地帯のダンジョンにて戦闘部隊に随行し(※3)、キャンプ設営・炊爨・荷物の管理や運搬、連絡係など(※4)の軽作業(※5)に従事(※6)していただきます。クエスト期間は約1か月を予定しています(※7)。
モンスターとの直接的な戦闘を予定する要員ではない為(※8)、H級冒険者でも受注可能で、ドラゴン討伐隊への参加として実績が作れます(※9)。
本依頼は、エストロイン冒険者ギルド支部からの紹介によりイスラオーム人材派遣サービスが受注したクエストのパーティ募集となります。受注された方は、後日弊社にて簡単な面接を予定させていただきます。
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('A`;)「な、なんじゃあっ!?この光り輝くウンコ・クエストはっ!!」
(・∀・;)「ク……クソ過ぎる……ッ!!」
(^ω^;)「こんなドでけぇブツ、どこの便所から見つけてきやがったテメェ!?」
(*ФωФ)「女子便所に落ちてたのじゃ!」
(゜、゜*)「ホントに便所なんかい」
(゜、゜*)「二度と便所に落ちてるもの拾わないで」
(・∀・;)「こりゃ、誰かが掲示板から取ってみたものの、便所でよく読んでみたらあまりの内容のクソさに、そのまま捨てた奴だね」
(^ω^;)「こんなもん、ケツ拭く紙にもなりゃしねぇからな」
(#ФωФ)「なんじゃ!文句ばかり言いおって!この依頼のどこがダメなんじゃ!」
(^ω^ )「全部」
('A`)「過重労働、長期間拘束、低報酬、指示が曖昧……まぁこの紙に書いてある一言一句すべてが臭すぎるんだが……「一番ダメなのが募集主だ。『イスラオーム人材サービス』」
('A`)「まぁ知らねぇと思うから覚えとけ。この組織が募集主のクエストは"絶対に"受注するな」
(;ФωФ)「……?どういうことじゃ?何故にその依頼者がダメなのじゃ?」
(;ФωФ)「まさか、犯罪者組織のフロント会社かえ!?」
(゜、゜*)「どこで覚えてくるのよ、そんな言葉」
('A`)「カンタンに言や、焦げ付いた……誰も受注しなかったクエストの処理を専門にしてる会社だ」
(゜、゜*)「あれ?クエストって掲示板の掲載期限が切れたら取り下げられるだけじゃないの?」
(^ω^ )「フツーはな。でも、そうじゃないクエストもあんだよ」
(^ω^ )「例えば行政からのモンスター駆除依頼とかな。報酬が低いから誰も受けねぇんだけど、こういうのって市民からの要望で依頼してくる訳だから、行政も依頼を取り下げられねぇのよ」
( 'A`)「んで、行政は行政で『ただいま冒険者ギルドに駆除を依頼中ですー』って市民には説明してんだろうけど、長いこと進捗がねぇと突き上げくらうだろ?そん時に登場すんのが『イスラオーム人材サービス』だ」
( 'A`)「焦げ付いたクエストを受注して、なんとか人を集めて、どうにかこうにかクエスト開始までもっていく、そういう会社だ」
(・∀・ )「つまりは尻拭い役ってことだね」
('A` )「そうだ。だから、こいつらが受注するクエストは基本的に全く割に合わない。しかも冒険者の経歴とか実力とか考えずに、とりあえず頭数を揃えることが目的だから、パーティの質も非常に悪い。この依頼も、ドラゴン討伐にH級連れてくとか、殺人とそう変わらん。クエストがクソならパーティもクソだな」
(;ФωФ)「そこまで言うか?」
(^ω^ )「そらあな。戦闘に参加しないとか言っても、ドラゴンがベースキャンプを強襲することもあるし、そもそもダンジョンの移動中に他のモンスターに襲われることだってありえるだろ」
(*ФωФ)「ふんっ!そんなもの、妾の剣の錆にしてくれよう!」
('A` )「んなこと言ってる奴は大抵モンスターの餌になるのがオチだ。大人しく薬草集めでもしとけ」
(;ФωФ)「え~……つまんなそうなのじゃ」
(^ω^ )「な~に言ってんだ。薬草集めはダンジョンクエストの基本だぞ?ダンジョンを歩き、目的のブツを探し、採取して、納品する。この一連の流れが丁度いいレベルでまとまってる」
(^ω^ )「かの有名な冒険者バーボンハウスさえ、その冒険の第一歩は薬草集めだったと自伝に書いてあるんだ!」
(*ФωФ)「誰じゃそいつ」
(^ω^ )「あン?教えてなかったか?……んじゃあダンジョンに向かいがてらに語ってやるから、受付嬢んとこ行って、薬草集めクエストを受注してこい」
(ФωФ*)「むぅ……分かったのじゃ……待っとれぃ、行ってくる」
('A` )「また変なモン拾ってくんなよー」
(゜、゜*)「……」
(゜、゜*)「ねぇ、さっきの話でちょっと気になったんだけど」
('A` )「なんだ?」
(゜、゜*)「焦げ付きクエストを受注する業者がいることは分かったけど、ここでパーティ募集を出しても意味なくない?だって誰も受注しなかった依頼でしょ?」
(^ω^ )「ギルドに借金してる奴にな『あなたに丁度いいパーティ募集が来てます』ってな」
(゜、゜*)「そんな回りくどいことするなら、ギルドから直接指名してクエストを受注させればよくない?」
('A` )「それやると冒険者ギルドがただの"派遣業者"になるからな。そうなればもう冒険者ギルドじゃなくなる」
(゜、゜*)「でも有名な冒険者だと、指名されてクエストに行くこともあるんでしょ?」
('A` )「ありゃ指名してんのは依頼主だ。ギルドじゃねぇ」
(゜、゜*)「ふぅ~ん、いろいろ面倒くさいのねぇ」
(*ФωФ)「おい皆の者ォ!すっごいクエスト見つけたのじゃッ!」
(^ω^#)「変なモン拾ってくるなつっただろうがッ!」
('A`;)「……ッ!これは……ッ!?」
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【パーティメンバ募集:魔王を征伐せよ!】
募集主:勇者
難易度:"A級"相当
目的:魔王の捕縛、または誅殺
人数:1名
報酬:総額10億G
条件:なし
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(^ω^;)「以前オレが取ってきた超ド級ウンコじゃねぇか!!」
(^ω^;)「まだクエスト掲示板にこびり付いてやがったのかッ!?」
('A`;)「ッ……いや待て!これは依頼票じゃなくて、パーティ募集だ!」
(;^ω^)「なにィ!?じゃあ、あのクエストを受注した奴がいるってのか!?」
(・∀・;)「そ……そういえば聞いたことがある……!」
(;'A`)「知っているのか神官……!?」
(・∀・;)「うむ……ただの噂話だけど……」
(・∀・;)「数か月前、王都の冒険者ギルドで、ただ一人、魔王討伐クエストを受注した男がいるという……」
(・∀・;)「偶然、そこに居合わせた冒険者は驚嘆し、思わず声を張ってしまったという……」
(・∀・ )「『え?本気でそれ受けんの?いや、別に個人の自由だけどさ……いやすげーな君、なんかもう逆に勇気の塊じゃん。っていうか勇者じゃん』」
(・∀・ )「こうして、その男は"勇者"と呼ばれるようになったという……」
( ^ω^)「勇者さん若干バカにされてない、その噂話?」
( 'A`)「ド直球でされてんだろ」
(゜、゜*)「まぁパーティ募集票の募集主名に書くぐらいは気に入ってるみたいだし、いいんじゃない」
(・∀・ )「待って、この噂話には続きがあるんだ」
( 'A`)「まだ、なにかあんのか?」
(・∀・ )「魔王討伐クエストを受注した勇者は、その後各地のダンジョンで次々と魔王配下の集団を倒し……」
(・∀・ )「そして今、ここイスラオームに……( Д )「ちょっといいかな?」
( 'A`)「ん?誰だアンタ。見ない顔だな」
( Д )「いや、すまないね、楽しく飲んでる時に……そこのC級の方に用事があるんだ」
( ^ω^)「んぁ、俺?」
(゜、゜*)「知り合い?」
( ^ω^)「いやぁ……?ギルド内勤の新人君?ねすこ、オメェ知ってるか?」
(*ФωФ)「知らぬッ!誰じゃ貴様、名と用を言えぃッ!」
( Д )「……」
(゜Д゜ )「俺は"勇者"……"勇者"ゴルーアだ」
(;ФωФ)「ゆ、勇者じゃとッ!?」
(゜Д゜ )「アンタに、俺のパーティに加わってもらいたくて、ここへ来たんだ……」
( ^ω^)「……」
(゜Д゜ )「"チャンピオン"」
【冒険者コラム】テーマ:冒険者パーティ
冒険者がクエストを参加するのには主に二つの方法がある。一つは、掲示板に貼ってあるクエスト票を受付嬢に提出して受注する、最もスタンダードな『クエスト受注』という方法。もう一つは、既に受注されているクエストに参加する『パーティ参加』という方法である。
『パーティ参加』について、しかし、どのようなクエストにもパーティとして参加することはできない。参加するには、まず第一にクエストを受注した冒険者(以下、ホスト冒険者)によって『パーティ募集』がなされてる必要がある(これはホスト冒険者が、クエストの達成にあたり一人では不可能の判断した場合に行われるもので、ギルドの掲示板に『パーティ募集票』を貼り、参加者を集うものである)。
そのうえで、パーティに参加するにはホスト冒険者からの承諾が必要である。人手を募集しているとは言っても、能力不足の者、参加するだけしてメンバーして役割を果たす気のない者(いわゆる寄生冒険者)などは、ホスト冒険者からは願い下げである。そこで、殆どのパーティ募集では、クエスト参加承諾前にホスト冒険者との面談を条件につけている。ここで資格をたくさん持っていると好印象であるのは現実と変わらない。初対面の場合に参加希望者の実力が不明瞭である以上、資格という一定の技術習得を証明するものは、十分な判断材料になりえる。
ちなみに( ^ω^)( 'A`)達が名乗っている『戦士』や『射手』といったクラスであるが、それらは彼らが勝手に名乗っているだけである。実際にそういう職業がある訳ではないし、転職などもない(勝手に名乗ればいいだけなので)。これは冒険者の文化のようなもので、クラスを名乗ることで「コイツは『戦士』だから近接戦闘が得意だろう」「『射手』ならば弓が使えるだろう」と、他の冒険者に対して自分の得意分野を分かりやすく示す配慮なのである。ただ、『戦士』を名乗っておいて実際の戦闘で臆病に逃げ出したりすれば、たちまち悪評判がついてしまい、二度とそのクラスを名乗れなくなるので要注意。実力がつくまでは、ただの『冒険者』でいるのが吉である。
なお『魔法使い』『神官』『騎士』などは、実際に資格や免許を持ってないと名乗れない。身分詐称で逮捕である。




