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失恋した俺の高校生活は、守りたい人が少し多い。  作者: 神無桂花
奏√after 繋いだ心の明日。

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ダッシュ、ジャンプ、ダンク

 「さて、九重君。午前中から大活躍だが、体力に余裕は? まぁ、あるよなぁ、彼女とイチャイチャと昼食を食べたんだ。むしろ全快だろう」

「好きな女の前で負ける俺じゃない」

「うわ、言ってみてぇ」

「数少ない憎めないリア充、九重史郎。久遠奏。やっぱちげーな」


 霧島が推薦した他の三人。なるほど、慎重で選んだか、三人とも俺より背がある。


「左から、久保、高橋、前田だ。クラスメイトなら覚えているだろうが、一応な」

「把握済みだ。よろしく頼む」


 学年全員の顔と名前を一致させる。結愛が送ってくれた調査資料も覚えたから、それぞれの経歴も把握している。全員、レギュラーにまでなった、テニス部では優秀な選手だ。


「じゃあ、作戦を発表する。九重君の運動能力なら、ぶっつけでも合わせられるだろう。よろしく頼むよ」

「何をするか知らんが。まぁ良い。やってやる」


 含みのある笑みを浮かべ、霧島はバスケットボールを突いた。




 「ジャンプボールは確実に取れ。取ったのを確認したら、九重君はゴール前に向かって走れ」


 試合開始。身長の暴力でこちらのボール。霧島にボールが渡り、俺は走る。


「全速力で構わない。君の足の速さなら着いてこれる奴もそういまい」


 ちらりと上を見る。ボールが飛んできている。


「そして、飛べ」


 飛び上がり、片手でボールを捕らえ、そのままゴールに叩き込む。

 『ダッシュ、ジャンプ、ダンク』作戦名である。霧島考案の。そのまんまじゃねーかというツッコミは飲み込む。

 とにかく、ボールを奪ったら走れ。後ろの四人はとにかく遠投すれば良い。


「君の身体能力ならいける筈だ。ゴールに手が届く高さまで飛んで、ボールを輪に通せばいい。レイアップとかスリーポイントとか気にせず、飛んできたボールをジャンプして輪に入れるだけ。それだけだ」


 少し乱れたボールを飛んでキャッチして、一回着地してもう一度ジャンプ。そのままボールを上からたたき込む。外しようが無い。

 これを繰り替えす。

 点を取られてもそのまま遠投して俺がボールをリングに入れれば良い。攻撃に人数を使わなくてよく、四~五人でずっと自陣を守れる。ボールが自分チームに渡った時点で俺が走り出し、俺が捕まってもカウンターは通りにくい。

 段々マークが俺に集中してくるが。


「ククッ。流石先輩。もうあのマークしている人の視界から消えましたね」


 視線誘導と視線切りは俺の十八番だ。

 俺を抑えれば良いという意識と、無意識にまで刷り込まれている、バスケという競技において一番重要なボールという存在。それが競合してしまえば、飛んでいくボールの方に視線が行くのは当然だ。

 ボールが奪われたのを確認、ボールに視線が行った瞬間にマークしている人の背後に回り、そのままスタート。

 再びの遠投と、それを追いかける俺。ボールを見ていたらマークしていた俺が既にいなくて、トップスピードでボールに向かってジャンプしている。最高到達点の一歩手前でボールを掴み、ゴールにそのまま上からズドンと叩き込む。


「くははははは。完璧過ぎるではないか、僕の作戦は」


 腕を広げ悪の総統の如く、上機嫌に笑う霧島。

 ひたすら走って掴んでダンクを繰り返し、試合終了。バスケでラブゲームがあるとは。まぁ、途中から相手、戦意喪失していたけど。


「さぁ、次の試合も頼むぞ」

「あの、ちょっと良いですか?」

「なんだね?」


 おどおどと控えめに、靴の色から一年生とわかる。女の子が霧島に声をかけた。


「彼がいては試合にならないとのことで、次の試合からメンバーの交代をお願いしたいのですが?」

「断る」

「いえ、運営委員会決定なので、断るも何もないのですが。九重史郎先輩は、除名です」

「貴様。止めるための作戦を練れば良いだろうが」

「こら、一年に吠えるな、霧島」

「無理に決まっているじゃないですか。何ですかあのでたらめな動き。飛んできたボールを空中キャッチしてダンクしてって。どこで止めれば良いのですか?」

「バレー部とかならブロックぐらいできよう」

「今の試合にそのバレー部いましたよー。ブロックしようとしたら上からぶち抜いてましたよー」


 意外と霧島と張り合うな。おどおどした雰囲気から一転、さっきまでのは誰と言いたくなるような様子で吠える。


「とにかく、その人は不許可です。大会決定です。従ってください!」

「こ、この……」

「はいはい落ち着いてなー」


 霧島を取り押さえ、落ち着かせにかかるが。


「おのれー!」


 なんて叫んで暴れるが、決定通り俺はチームを離れることになった。二回戦で三年生に急造チームで善戦するところを眺めていた。

 隣のコートに目を移す。結愛がセンターラインからスリーポイントを連続で決めていた。

 もはや女子の方も、結愛にボールを集めるだけ状態。

 案の定、試合は圧勝。結愛はチームからグッバイ。となった。


「先輩くらいのパワーがあれば、エンドラインから行けるのですが……」


 試合終了後のコメントはなんともまぁ、って感じだった。


「うーん」

「どうした?」

「史郎君。明日、頑張ろうね」

「お、おう」

「特別措置でさ、史郎君と結愛ちゃん、バスケから外されたということで、公平性を保つために、競技一個追加で出て良いって」

「それはまぁ、よくわからん理屈だな」


 パワーバランスを保つために外した選手に、別の競技出て良いよって。


「明日のペア障害物。勝とうね。なんか見てて、妬けてきちゃった」

「妬けるのか……奏がいるなら、俺は全力以上を出せる。間違いなく勝てる」

「とっても頼もしい。それで、何出る? もう一個」

「あー。いや、うーん。俺が出て勝てそうなのは……棒倒しかな」

「ふふっ。間違いなく勝てるね。おっと、私の出番だね」


 結愛がセッターのバレーチーム。志保と奏も出る。


「志保、プレッシャー禁止な」

「この条件では厳しいから狙わないよ。心理戦を制するには、自分が圧倒的優位にいなきゃだから」

「あぁ、なるほど」


 ちらりと見た視線の先。クラスの高身長女子をとりあえず集めました、みたいなメンツが揃っている。


「これをひっくり返すには、結愛ちゃんが頑張っても、ちょいと足りないかな。武器がね」

「そうだね」


 奏も頬を掻いて頷いている。

 しかし、諦めなかったのは結愛であった。


「奏さん、会わせます、とにかく全力で腕を振り抜いてください」

「う、うん」


 奏の最高到達ポイント、がむしゃらに腕を振りぬいた先に、ボールがドンピシャで来る。恐ろしいコントロール。これを狙ってできるのだから凄い。

 だが、パワーが足りない。ボールは落ち着いて拾われる。

 結愛の奮戦虚しく、バレーは負けた。


「悔しいですぅっ!」


 地団太踏んで悔しがる結愛。こんな感じだったけ? 俺の後輩。


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