表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/52

26、嵐

26


まずい……これはかなりまずい事になった。


窓、開いて無い。


携帯……電池切れ……


これ、私帰れないコース!?


「美奈恵さ~ん!開けてください~!」


窓の外で小声で美奈恵さんを呼んで窓を叩いたけど、カーテンはしまったままだった。


「美奈恵さん寝ちゃったのかな~?」


このまま一晩中ベランダにいる?下を見ると、枝本さんは帰らずにまだこっちを見ていた。


私は腕でバツを作ったり首を横に振ったりして、なんとかジェスチャーで枝本さんに現状を伝えようとした。


それが理解できたのか、枝本さんは手招きをした。私はもう一度ベランダから下に降りた。


「枝本さん、携帯の充電器貸してください」

「俺Androidだけど?」

「私iPhone……どうにか美奈恵さんが起きている時間に携帯の充電を復活させたいんです」


携帯さえ電源が入れば、寮の誰かと連絡がつくかもしれない。優理さんとかはいつも遅くまで起きている気がする。


「じゃあ……行くか」

「行くってどこに?」

「あっち」


それは……まさか…………禁断の男子寮!?


「帰れば誰かしらiPhoneの奴がいるだろ」

「いや……でも……」


私が外で待っていて、枝本さんだけ寮に入って充電してくれればいい話じゃないのかな?そう思ったけど、雲行きが怪しくなって来た。


風が強くなって、空には雲が出て来た。このまま雨なんか降らなきゃいいけど……


私は枝本さんついて男子寮の方に行った。女子寮と同じように2階のベランダに登った。枝本さんの部屋の窓は普通に開いていた。


私が部屋に入るのを躊躇していると、枝本さんが背中を押した。私は倒れ込むように枝本さんの部屋に入った。起き上がると同時に電気がついた。


ここが……枝本さんの部屋……


パッと見、物が全然無い。何だか殺風景な部屋に見えた。


「ここで待ってろ。充電器借りて来る」

「なるはやでお願いします!!」


枝本さんが部屋を出て行ってしばらくすると、雨が降って来た。これで帰るのは大変そうだなぁ……


枝本さんの同室の人は誰なんだろう?どっちにしても、シンプルでサッカーの本とボールしかない。


待って?このまま同室の人が入って来たら?


すると、少しドアが開いて声が聞こえて来た。


「枝本さんiPhoneの充電器なら最初から俺に訊いてくれれば良かったのに」


誰か来る!!隠れなきゃ!!


私はとっさにベッドに潜り込んで隠れた。すると、すぐに誰かが入って来て机の引き出しを探し始めた。


同室の人……?


「確かもう一本この変に……アダプターはあるんですよね?あれ?枝本さん?」


ここ……もしかして枝本さんのベッド?


「いつの間に寝たんですか?」


まずい!!バレる!!


「ゴホッゲホッ」

「風邪……?ですか?珍しいっすね」


同室の人はすぐ近くまで来て布団を取ろうとした。


「もし風邪なら医務室行って下さいよ?俺試合前なんでうつされたくないんで」


うわぁ!布団引っ張られる!!


私は布団を剥がされまいと必死に抵抗した。


「枝本さん?どうしたんですか?何とか言ってくださいよ」


何とかって何も言えないよ!!


「にゃ、にゃ~!」

「なんだ猫か~!ってなるわけないっすよね?何ふざけてるんですか?こっちは本当に……」


すると、同室の人はある重大な事に気がついた。


「にゃぁ?え……枝本さんがにゃ~?」


ヤバい!にゃ~!は逆効果だった!そりゃ枝本さんがにゃ~!とか言う訳無いじゃん!バカか!私はバカか!バカバカバカ~!


「………………」


同室の人は何故か黙った。しばらく微妙な沈黙が続いた。


え?もう諦めた?急に?


私が油断したその瞬間、思いきり布団を剥がされた。


「……………………」

「の、野口ぃ!?」


そこには言葉を失った野口がいた。しばらく無言の野口と向き合った後、野口は絶叫した。


「えぇええええええええ!!」

「待って!ちょっと待って!野口落ち着いて!声が大きい!!」

「いや、だってお前……えぇええええ!!」


私は何とか野口の口を手で防いだ。


「ここ男子寮だぞ!?」

「うるさいって!」

「しかもここ俺の部屋!!」


くそ!こいつ!全然黙らねぇ!


野口と取っ組み合いになって口をふさごうとした。そこに突然ドアが開いて、枝本さんが部屋に入って来た。


「野口、部屋に……」


ちょうどその時、私がベッドの上で野口に馬乗りになっていた。


「……………………」


枝本さんは私達の様子を見ると、持っていた大量の充電器をぼろぼろと落とした。


「枝本さん!今すぐ野口を気絶させてください!」

「おい!何でだよ!」

「黙らないから!大騒ぎしたら他の人にバレるでしょ!?」


枝本さんは充電器を乱雑に机に置くと、私をベッドから抱え下ろした。


え?私の方?


外は雨が強くなって、嵐のようになっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ