31話:変動2017年と百合のアメリカ旅行2
日本人を含む外国人人質殺害事件や欧米諸国での大規模テロを引き起こして国際社会を震撼「しんかん」させた過激派組織「イスラム国」は2017年、米軍主導の有志連合などの支援を受けた地元勢力の作戦によりイラクとシリアの大半で駆逐された。イスラム国の2大活動拠点だったイラク北部モスルとシリア北部ラッカも陥落し、組織としては事実上崩壊した。
イスラム国は14年、イラクとシリアで急速に伸長した。指導者バグダディ容疑者はイスラム教の預言者ムハンマドの代理人「カリフ」と称し、一時は両国にまたがる広大な地域を支配する疑似国家を構築。恐怖支配体制を敷いた。異なる宗教・宗派や文化を敵視するイスラム国の過激思想は現在も拡散したままで、世界各地で共鳴者によるテロの脅威が続いている。
一方、秩父家では、百合が、フェリスの女友達3人で、アメリカ人の友達になった女の子の家に、彼女が夏休みに、実家・シアトルに帰るので、一緒について行き、2週間、滞在したいと言い出した。父の太一は、反対したが、母の由美子が、せっかくの機会なので、アメリカの家庭の内情、大自然の素晴らしさ、英語の勉強として、百合のアメリカ行きを応援して、出発した。
7月27日、太一のエスティマに両親の百合とフェリス女学院高校の同級生2人の7人を乗せて、成田空港へ送っていった。百合は、大喜びして、うれしそうに出かけて言った。弟たちは、いいなー、俺たちも、早く、海外旅行したいと話していた。しかし、彼女を見送る前に、成田空港で別れの昼食の時の彼らの旺盛な食欲には、感心させられた。
その後、1ヶ月後の8月下旬、百合と友人のフェリスの同級生2人が日本に帰ってきた。元気で、家に帰ってきて、シアトルからサンディエゴまでの列車旅の話やポートランドからオレゴンの自然を観察する旅行の話。アラスカへの小旅行の話、シアトルの料理、パン、珈琲が美味しかったことなど、日本帰ってから、多くのアメリカでの土産話を両親と弟たちに熱心に話してくれた。
7月5~6日を中心に台風3号と梅雨前線の影響で「九州北部豪雨」が発生。福岡、大分両県で死者38人、行方不明者3人となった。3号は九州北部を横断し、気象庁は5日に両県に大雨特別警報を発表。大規模な土砂崩れや河川の氾濫が起き、大量の流木で家屋や鉄道の鉄橋などが流された。不明者の捜索が長引き、農林水産業に大きな被害が生じた。政府は激甚災害に指定し、自治体の災害復旧事業への補助率をかさ上げした。
2017年の日本の夏は、猛暑ではなく、長雨だった。東京都内で 2017 年8月1日から 21 日まで実に 21 日連続で降雨を記録。レジャー需要が盛り上がるお盆期間も関東地方では日照時間が短く、天候不順に見舞われた。8月 23 日は「処暑」にもかかわらず、東京都内で9日以来、2週間ぶりの猛暑日となった。東京の8月の真夏日日数は昨日14日までで半分の7日しかない。
今日8月15日の予想最高気温も27℃。そのため、今発表されている週間予報では中旬いっぱい「20日まで」30℃以上の真夏日は予想されていません。もしこの通りになれば、8月の真夏日日数は上旬~中旬にかけてたったの7日しかないことになり、これは極めて少ない日数となります。不順な天候が続いている原因として、まず第一に太平洋高気圧が弱いことがあげられます。
気象庁の予想では8月に強まるはずの高気圧がさっぱり強まらずに、むしろ冷夏をもたらす北からの高気圧「オホーツク海高気圧」が強く張り出しているのです。上空の天気図をみると、まだ梅雨の最中だった7月上旬は日本付近に南から高気圧が強く張り出して、むしろ梅雨というよりは真夏に近い状態だったのに、8月上旬は台風5号がウロウロしたこともあり、太平洋高気圧は日本付近で姿を消してしまっています。