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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第1章 異世界召喚
11/50

11話

申し訳ありませんでした


今後の動向は未定です

「では、お入りください」


そう戸の前に控えている兵士が言うのに従って中に入る


…見るからに強そうなやつも居るな


「…英雄、少し魔力を出せ」


歩きながら小声で英雄に話しかける


「えっ!?」


値踏みをするような眼をどうにかするには手っ取り早いだろ。それにどんなタイプの人間か、多少あたりをつけておきたいしな


「昨日もう魔力について教わったんだろ?やれ」


それで英雄に注目が行ってくれれば儲けもんだな


「い、いや、なんでそんなことを」


……何人かが今の俺の行動に眉をひそめたように見えたが、バレたか?口の動きに注目しないと分からないくらいの距離はあると思うんだが……


「さっさとやれ」


「むぅ、分かったよ…ふっ!!」


っ!……これはもう流石としか言えねぇな


「力也、いつまでやってれば良いんだ?」


「王の前に行ったら止めていいさ」


小声で話しかけてくる英雄にそう返す


それにしても、周りのいかにも兵士っていういでたちの奴等が目を見開いたり息を飲み込んだりしたな……英雄は相当な圧力をかけてるが、本人は無意識だかな


しかし、あのゴツイやつ、如何にも騎士のトップですよって奴の圧力がやべぇ


王の前、段の下まで行き、膝をつく


「…なんのつもりだ?」


大臣のような男が睨みをきかせながら聞いてくると英雄が横目で助けを求めてくるが無視する


「クックック、まぁ良いではないか大臣!まさか既に魔力の制御を可能とし、しかも王や我の前で下手を打てば反逆罪と取られかねぬ事をやらせる(・・・・)とわ、面白いの!」


……チッ、流石に魔王の目は誤魔化せないか、まぁ他にも何人かは気が付いてたみたいだし、俺らがいた世界なんかとはレベルが違うってことかね


「面白いで済まされてたまりますか!」


「あーあー、わめくな大臣。おい、目的は達成したのか?」


…明らかに俺の方を見てるよな、バレバレか


「まぁ、欲しい情報は手に入りましたよ」


「なら良い。さっさと先に進めよ、大臣」


「…はい」


早々に魔王に目をつけられるのは回避すべきだったかなぁ…… ま、過ぎたことだしあまり気にしてもしょうがないか


にしてもあの大臣は不憫だなぁ……


「ゴホン、では、この度召喚された勇者と、我が国の重役達との顔合わせを始める。勇者が召喚された事は他国にばれることを防ぐことはできないと思うが、出来る限りバレるまでの期間を引き伸ばすために基本的には外で口外することは許さん。今後勇者が出会うであろう兵士達には箝口令を引く予定だ」


…他国に勇者の存在を隠すのか?良く分からねぇな、勇者なんて存在ならむしろその力で他国を牽制するだけの…………あぁ、そうなる前に消されるのを防ぐためかい

ま、そりゃあ将来的に危険となるような奴、俺なら生かしてはおかないな


「では、始めに勇者の紹介だ。此度の勇者は二人いる。まずは黒戸力也!魔力適正は創造だ。次に聖奈英雄!魔力適正は全属性、魔力に関しては先程ので良くわかったかと思われる」


英雄の説明の時に会場がざわつく。やはり全属性に適正があるのは規格外なようだな。これで英雄に目がいってくれれば少しは楽になると思うんだがなぁ……


立ち上がり王に対面するように立つ。壇上に王族と魔王夫妻、デイジリーはいないな。そしてこのでかい部屋の両壁、俺から見て右手に大臣と呼ばれる奴を先頭に文官のような奴等、左手にやたらゴツい片目が潰れてるトップっぽいおっさんを先頭に武官のような、それもなかなかの雰囲気を纏う奴等が中心の俺らを囲うように立っている


「静まれ。次に文官の紹介に入る。先ずは私、官職名は大臣…」




……





「ふう、やっとで終ったな」


既に俺は顔合わせを終え自室へと戻ってきている


「お疲れさまでした」


あんだけ多くの武官文官を覚えるのなんて面倒だが色々とやるためには把握しておく必要はあるかな


「にしてもなんだ?あの大将軍とかいう奴は……化け物みたいな雰囲気出しやがって」


「ベニアミーノ・トスカーニ様ですね。我が国が誇る最高戦力の一角です」


「最高戦力の一角ね……魔王とどっちが強いんだ?」


「それは恐らく魔王様でしょう。この国の序列では、2位に魔王様、3位に大将軍様ですので」


「……あれで1位じゃないのか。その1位は誰なんだ?魔王ってのは国のトップじゃないのか?」


「魔王が国の最強である、というのはその国の属性において、という条件のもとです。その為魔王より強いものがいても、我が国ならば光属性でない、闇や炎等といった属性持ちであれば魔王になることはできません」


「なるほどね、で?」


「はい、ですがしっかりと我が国のトップは魔王様です。ただし、表向きは」


「まーた面倒な……つまり裏の、犯罪者とか奴隷とか、公の立場にたてない奴が事実上この国最強ってことか?」


「はい。この世界には強さを決めるランキングがあり、それは一部の公平なものが決める、ということになっていますが、誰が決めているのかを知っているのはわずかです。またそのランキングには3種類あり、まずは世界ランキングと、国家のランキングです。大体このランキングに乗るような人は学生のうちか、学校卒業後数年以内でランクインしますね」


「……この世界はやけに若いのが進出してるんだな」


「そうですね、実力あるものが上に行く世界ですから。さらにランキングには先ほど力也様がおっしゃられた通り、表向きには名を連ねる事のない強者のランキング、通称裏ランキングというものがあります。この国のトップはその上位ランカーです」


「へぇ、その裏ランキングと、表の世界ランキングにはどれくらいの差が?」


「……表の1位は、裏の3位……」


…?そんなに差はないのか?それにしてはその間は…


「2位は27位台、3位は84位…表の世界ランキング3位は、我が国の魔王です」


「……まじかよ」


なんなんだこのわけのわからん世界情勢は…表の舞台に立てないっつうから犯罪者とかだと思ってたが、違うのか?いやいやいや、流石にそんなことになったら一瞬で平和は崩される…


「ちなみに、裏ランキングの構成人員的に、どういう人たちなんだ?」


「その多くが犯罪者、時に一人で一国に匹敵するものも」


……最悪だな


「よくそんなんで国が滅ばないな?国の戦力に対して犯罪者の勢力はどうなんだ?」


「良く分かりませんが、数年前までは確かに今ほど平和ではありませんでした。数年前、前天の上の位第1位が現れるまでは」


「そんなすごいのが来たのか?」


「はい。世界を回る第1位の目の前で起こった犯罪者はことごとく消されたそうです。結果、対第1位としてある程度の組織性と結束が犯罪者の中で結ばれ、その副産物としてか、世界の犯罪は激減しました」


「…存在自体が抑止力になってたのか」


「はい。ですが犯罪者であることには変わらないのと、その第1位は昨年、死にました」


「っ…そんな状況だから、勇者っつう象徴が欲しいのか」


「はい、今はまだ目に見えて犯罪は増えていませんが、これからの保証はありません。このような状況で申し訳ありませんが、お力を貸してくださるよう、お願いいたします」


「……おう」


おい英雄、これは思ったよりもやばいところかもしれないぞ…

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