12話
テストで死んできましたー
再試もあるけどどうぞー(現実逃避)
さて、まともに魔法の使えない奴はどうすべきかね…まあ
「とりあえず訓練場?みたいなとこ行ってくるな」
「あ、はい、分かりました。ご案内しますね」
「いや、大丈夫だよ、さっき見てきたから」
「そうですか…お昼頃にお迎えにあがりますね」
「了解、行ってくるな」
「行ってらっしゃいませ」
…
……
英雄は既に魔力を放出した状態での維持は可能としていた。本で読んだところによると魔法はイメージ、想像力が肝らしい。その点は俺も英雄も元の世界では空想でしかなかったものだ、問題ない。だがそれは魔力を完全に操れる力があって初めて役に立つもの…現状の俺じゃ全くの無意味、早く扱いを身に着けないとな
「よお」
訓練場に向かう途中で声をかけられる
手っ取り早いのは、教えを乞う事か
「丁度いい。迎えに来たがお主も行くとこなんだろう?訓練場に」
「丁度いいじゃねえよ、あんたどんだけ戦闘好きだ」
「別に戦闘狂とかそういう類じゃない、ただ、気に入った奴との戦闘がしたいだけさ」
「笑いながら言う台詞じゃねえよ。まあ、1戦したら魔力について教えてもらうぞ」
「勝ったら、じゃないんだな」
「立ち合えば大体の力量差が分かる。それがなくともこの世界が俺らの想像通りの魔法があるなら…俺に勝ち目なんざねえ、だろ」
「ふっ、まあいい、行こうか」
姫さんの実力がどれほどのものかは知らねえが…ッ?!
「良い闘気を放つな?だが訓練場まで待て、ちゃんと遊んでやる」
…なんつー闘気だまじで、一瞬距離を取りそうになったぞ
「悪い、収まりが効かなかったわ」
やべえな、なんて力量差があんだよ
「さっさと闘ろうか、今ので我も滾ってしまったわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
side リリス
やはりこいつは面白い!!無意識下に漏れ出す闘気で今の質…
高ランクの魔獣の殺気に勝るとも劣らぬ純粋な闘気…
なんて久しぶりにこんな素材にであっただろうか……
「クックック、これはカリン達以来、いや、あいつらを超える、か」
「どうした姫さん、急に笑い出して…気味悪いぞ」
「クックッ、ああ悪い、実に愉快でな…」
あぁ、この最高に滾る感覚、クククッ、加減が効かなくなってしまわぬよう、気をつけねばなぁ
…
……
「さて、ルールは1本先取、訓練用の木製武器なら使用可ってことでいいですか?」
丁度居合わせたアーロンに審判を任せ、力也と対峙する
選んだ武具は我は自身の腰ほどの丈の大剣で、力也は刀に小太刀と小回りが利くな…決してもう一人と同じようにがたいがいいわけではない、妥当な武器の選択か
そして対峙してからのこの闘気……最高だ
「かまわん」
「OKだ」
「では,始めっ」
力也の第1歩目を確認して合図とほぼ同時に大剣を横なぎに振るう
カァァァァン!という音と共に衝突し一瞬で距離を取られる
「っかあ、今のを難なく受けるかよ、そんな重い武器で」
「昨日お主の動きを見ていなかったら少し危なかったかもな、相当な速さだな、力也」
実際魔法の身体強化無しにこの速さ、魔力の扱いを学んだらどれほどのものに…!
「昨日のってあれだけの移動法で警戒されんのかい、恐ろしいね。てかなんでまた笑ってんだよ…」
「いやなに、面白くってな!!!」
一歩で距離を詰め救い上げるように一振り、うまく二刀で受けられるが力也の体を若干浮かせる
「クッ、そ!」
無理矢理に体をひねって回し蹴りをしてくるが剣から右手を離し、受ける
「その体勢から攻撃に移れるとは、かなり鍛えているな?」
それにあの移動法や先ほどの飛び込みを見ても、何か武術をやっているな
「ちっ、この距離じゃぁ…せいっ!!」
っ!?
投げられた小太刀を体をそらして避け、バックステップで距離を取る
「武器を捨てて、刀で大剣とやるのか?」
真剣なら分かるが、木製だぞ?
「とりあえず、今の俺の……黒戸流、一刀」
っ!見た事のない構え、身体をかなり低くかがめ、刀を地面に寝かせるようにしている…
大剣に対しての刀での長期戦は刀への負担がでかい、短期決戦が定石か。来るな、力也の、技が!
「こいっ!」
「「一閃」!!」
「ガッッッハ!?」
「……しょ、勝者、姫様!」
「あ、あぁ、これからに期待だな」
…力也が行ったのは踏み込みからの居合、言葉にしたらそれだけ、生身での居合、ただそれだけのはずだ。現に完全に見切った。カウンターではなく自らの攻撃だったが、あれは居合で間違いないだろう。完全に間を取られた我の失態だ
だが完全にあの瞬間我はとっさに身体強化を行っていた、使わんと決めていたのに、技の瞬間に使わされた
「クックック」
身体強化無しに今のを完全に見切れたか?…いや、恐らく無理だ
「まさか生身で我に身体強化を使わせるとわな」
「身体強化、ね。やっぱあるよな…最後明らかに速度が上がったのはそーゆーことか」
「ま、これから覚えればまだまだ強くなれるさ」
「ちなみに、今の姫さんで全力の何割くらいだ?」
「ん?1割程度だな」
「…1割!!??まじかよ…」
「この世界のほとんどが魔力ありきだからな。最低ライン身体強化が出来るか、それか別の何かに突出しているかだな。安心せい、今の力也でも現実的に見て十分通用する。既に学生の一部には優っている。身体強化を身に着けるだけでトップクラスじゃな」
「…え?そんな簡単なのか?」
「簡単というがお主、その域まで体を鍛えるのにどれだけ努力した?安心せい、この世界にも少数じゃが魔力のない奴はおる。そんな奴らは存在意義もないが、お主レベルやそれを上回るものは多少おるわ。十分、お主の力は通用するぞ?元の世界での環境は知らんが、その若さで大したもんだ」
「お、おう。急にどうした」
「いやなに、完全に圧倒してしまったからな、へこんでるお主にちゃんと自分の立場を教えてやろうとな」
「別にへこんでねぇし」
いやしかし、こいつは思っていた以上に……
side out
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちっ、間合いを取るのに小太刀投げちまうとわ、一瞬で追い込まれたな
「武器を捨てて、刀で大剣とやるのか?」
姫さんの剣速が今まで見てきた刀と同じ速さだった…それを大剣でとか…
つまるところ速度で勝ち目が薄い、なら
「とりあえず、今の俺の……黒戸流、一刀」
最速の、居合で
身体を低く、低く
「こいっ!」
狙いは、武器を持つ右腕、可能な限りの速度で
振り上げろ!!
「「一閃」!!」
ッ!!!まさかこの場面で……武器から手を離すかよ!
ニッと口角を上げ拳を構える姫さんを相手に完全に刀を振り上げた体勢の俺がなすすべがあるはずもなく
「ガッッッハ!?」
なんつー重い拳だアホたれ…
「……しょ、勝者、姫様!」
…
……
へこんでるわけじゃない、だが完全に実力の差を見せられた…恐らく全力の1割というのは本当だろう。ただ自分が物心ついた時から鍛錬し続けてきたものが、こうも簡単に打ち砕かれるとわね…
「どうしたアーロン、お主の方がまだ強いぞ?」
「い、いえ…生身でリリス様に身体強化を使わせるなど、単純な身体能力だけで魔物と殺り合えますよ?」
「うむ、魔力の扱いを学ぶだけで相当なレベルだ。半年もすれば軍の連中と遜色なくなるやもしれんな、お主らも負けておれんぞ?」
「は、はい!」
…当人は置いてけぼりだよ全く
しかし、今の身体の動き…やけに軽く感じたのは気のせいか…?




