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チタニウム


 飄々と…。


 【チタニウム】


 俺は咎の名を纏う。流動的な金属の液体が形を作りながら俺を包み込んでいった。ソレはペストマスクの様な仮面となり、俺の顔を覆い隠していく…。仮面とは不思議なモノだ…。自らの顔を覆い隠す事で己の内面にある本能が露わになる様だった。匿名性…。そうだ。ネットの世界でも匿名性が、その人間の本性を露わにする。素顔を晒さないから、その分、心が晒されるのだろう。


 蟻の化物が吐き出す醜い言葉が刃物や銃弾となり周囲にある岩を粉砕していく。だが俺に傷は付けられない…。肉体も心もチタニウムの様に【堅固】となっているからだ。もう迷う事は無い。ただ只管ひたすら飄飄ひょうひょうと己の生を全うするだけ…。己の心は風に舞うだけ。肯定する事も否定する事も無く。在るが儘に受け入れ、在るが儘を返すだけだ…。


 蟻の化物の吐き出す言葉の銃弾を弾き返す。自ら吐いた言葉の銃弾で蟻の化物の肉体に風穴が空いていく…。


 蟻の化物の醜い心は腹部に在る人の表情として現れている。


 「自業自得だ。御前は御前がしてきた事を悔い改めろ…。」


 【チタニウム】

 俺は再び【咎】の名を纏う。


 両の手は刃の形状と化し…。蟻の化物を切り裂いていった。蟻の群れは瞬く間に、その数を減らしていく。蟻の群れの奥。一際、大きな蟻がいた。真紅の肉体を持ち、腹部が【妹の顔】で形成された蟻だった。 

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