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安らかな眠りを…。


 悲しいね…。


 私は壊れてしまった。いや夫が不倫している事を識った時から私は壊れていたのだろう。愛していると云いながらも夫の苦しむ姿を視ていたかったのだ。そして…。そんな夫を支えられる事が私の幸せなのだと感じていたのだ。


 きっと私は歪んでいる。


 不意に涙が零れた。切なくて遣る瀬無くて、どうしようも無くて…。【愛は求めるモノじゃなくて与えるモノ】だと理解はしていても…。感情はコントロール出来なくなって…。


 『あぁ。私も…。知らぬうちに【鬱病】になっていたんだ…。』


 また欲獣は夫の血液を吸っている。夫は血液が無くなり干からびていった。頬が痩け蒼白となり、虚ろな瞳で私を視ている。


 「苦しいの?」

 私は問う。


 「…。」

 返事は無い。ただ此方を視ている。欲獣の胴体である顔が私を視て嗤った。そんな気がした。


 オリーブの葉を咥えた四羽の白鳩が空を舞っている。首元に【参】と記された首飾りをした白鳩が夫に優しく触れた。一瞬にして夫は完治する。夫は虚ろな瞳で私を視ている。


 私の言葉も想いも夫には届かなかったから…。夫の言葉も想いも私には届かなかったから…。


 「悲しいね…。」

 私はポツリと呟く。


 偶然か、タイミングが偶々合ったのか。

 夫の瞳から血の涙が流れた。


 「願い。叶えてあげるね…」


 【レスト・イン・ピース】

 私は【咎】の名を風に乗せる。


 オリーブの葉を咥えた、首元に【死】と記された首飾りをした白鳩が夫に優しく触れた。


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