隕石の内部
世界は陰鬱とした世界へと変わった。
その声が明確に聞こえる様になった。切っ掛けは東京へと落下した直径十センチ程の隕石だった。落下そのモノの直接的な被害は無かったらしいのだが…。隕石の内部に存在していた未知のウィルスが蔓延した事で世界の日常は瓦解するのだった。
日常に非日常が浸食する。常識とされていたモノと非常識とされていたモノが混ざり合っていく。
そのウイルスは【KARMA】と名付けられた。感染症状は大きく分けて四種類に分類されるらしい。
①人間の形状を失い、内に秘めていた欲望を具現化した様な怪物へと変異する症状。【欲獣化】
②その人間が抱えている心の闇が異能力として発現する症状。【咎人化】
③強大な異能力に耐えられず、眠りから目覚める事の無い植物状態になる症状。【獄人化】
④無気力となり生きながらにして死んでいるかの様な症状。【虚人化】
【KARMA】は人の心の闇に反応した。だからこそ世界中に蔓延する迄に、然程時間は要さなかったのだろう。そして、【KARMA】は人類の機能を奪い去ってしまったのだ。法も。秩序も。道徳も。何の意味も成さなくなってしまった…。
僕達家族三人は感染する事は無かったのだが…。周囲の人間の大半が感染した。
化物となり互いに喰らい合うモノ。【咎】と呼ばれる【異能力】を持ったモノ。眠り続けているモノ。生きているのか死んでいるのか解らない状態で彷徨うモノ。
世界は陰鬱とした世界へと変わった。




