↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者が死んだ王都では  作者: 真知コまち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/77

 無駄な時間

∼前回のあらすじ∼


  穴に落ちました


 「・・・最悪」

  王女の視線の先には、草臥れた布切れ(ふく)を着た自由解放軍リーダーが、衛兵二人を行く手を阻んでいた。


   「命を賭して己の職務を全うする。それが誇り高き王国兵士だ‼」


 『え~っと・・・』

  『どちら様ですか?』


   「俺は…この国の副騎士団長だ‼」


 「…は⁇」


 『副団長様?』


    地面に膝を付き、胸に手を当て、王が居るであろう方向に頭を下げる。

   「我が王!この腑抜けた兵士《ぶか》の忠誠心、副騎士団長として我が徹底的に鍛え直します」


  『ほ、本物だ‼』

   衛兵たちは知らなかった~解放軍リーダー(これ)が、公爵屋敷襲撃の首謀者として侯爵に捕らえられ、投獄された牢から脱獄して来ていたことを・・・


 状況が把握できてない崖下のスパイが、頭を抱えた王女に、大声で呼び掛ける。

「お~い…どうしたん・・・」


 王女は、スパイを睨み、その空気が読めない口を閉じる様、微笑みで促した。

が、しかし、遅かった…


   「あれは・・・王女様!王女様~」

    声が聞えた方向に王女を見つけ、大きく手を振る、解放軍リーダー。


 「・・・最悪」

  ため息を吐き、崖下のスパイに、鬼の形相を向ける。


「・・・」

 王女の威圧《め》から逃れるように、そっと物陰に身を隠す。

  

  解放軍リーダーが手を振る方向を注視する、衛兵二人。

 『あれって・・・』

  『お、お、王女様だ!間違いない!』


  「この…バカ者‼」

   物陰から颯爽と現れた騎士団長が、鞘に収められた剣を揮《ふる》い、衛兵二人を眠らせた。


  「王女様《そと》の現状は、教えたはずだ!身を隠している王女様を、危険に晒すな!」


   「す、すまない…」

    肩を落とし、萎れたように落ち込む。


   部屋の壁(しょうがいぶつ)を斬り崩して王女に駆け寄り、地面に膝を付く。

  「王女様!申し訳ございません…私は、王様と女王様を…」


 「詳細は後で…とりあえず…あ(・)れ(・)を回収して頂けますか」

  跪く騎士団長を立たせて、崖下のスパイを指差す。


  「あれは・・・何者ですか?」


 「・・・ペットです」


  「・・・ペット⁇」

   騎士団長は、王女の発言に戸惑いを見せながら、どこからか持って来たロープを使い、スパイを引き上げた。


─────────────────────────────────────


 スパイを引き上げたロープで、気絶させた衛兵を縛り上げ、城内の出来事《じょうほう》を共有する。


 「そう…あなた達は、公爵に捕らえられ、お父様とお母様は、人質に…」


  「是非、我々に救出《つぐない》のお手伝い(きかい)を‼」


 「いえ、救出には行きません」


  「はい?」


 「人質を取られ、魔法が使えない状況で、武力制圧できると思いますか?」


  「では、話し合いでの解決を…」


 「怒り狂った公爵が、私達の話を聞くとは思えません。私達だけで、公爵を説得することは、不可能ですね…」


  「ではせめて!護衛としてお傍に…」


 「あ、結構です。これ以上、戦闘が起こるような場所《こと》には、関わりませんから…」


  「一応、我々は強化魔法が使えますので、戦力にはなるかと…」


「ですから、要りませんと・・・はい?」


  「このような事態に備え、日々/


「今、強化魔法が使えるって言わなかった?」


  「それは…王国の防衛に関わる機密情報でして…」

   横に立つスパイに、警戒の視線を送る。


 「・・・ハ(・)ウ(・)ス(・)」


「は⁈ハウ・・・あ~ちょっと、トイレに・・・」

 王女の命令に従い、速歩で廊下から姿を消す。

   

  「魔法の発動には、魔力を溜め込む必要がある事は、当然ご存知ですね」


 「ええ、もちろん…」

  へぇ~知らなかった~

  多分…魔法の基礎的な知識《じょうしき》だと思うけど…

  私、実戦派だったからな~(座学の教師から逃げ回っていた)


  「魔道具は、範囲内《おうと》の魔力を常に吸収し続けている」

  「ですから、魔道具の発動中は、王都で魔法が使用できないのです」


  「しかし、魔力発動に時間《ため》を必要としない魔法であれば、このように…」

   風魔法で旋風を起こし、小さな竜巻を指先に創り出す。


 「へぇ~魔力消費が少ない強化魔法《まほう》でしたら、使えるという訳ね・・・」

  廊下の曲がり角で、盗み聞きしていたスパイの目前に立つ、王女。


  逃げ出そうとしたスパイの後ろ襟を、強化魔法を使用した王女が掴み上げる。

 「そう言えばあなた、瓦礫の山を吹き飛ばして、這い出ていましたわね…」


「あは、あははは…ただの奇跡です…」

 首を吊り上げられたスパイは、どんな言い訳をしても無駄だと悟り、死んだ魚の目をしていた。


 「・・・あ、そう」

  スパイの襟を掴む手を離す。


「え・・・いいのか?」


 「奇跡…なのよね?」

  感情を消した優しい微笑み。


「あ・・・はい・・・」

 王女の不気味な微笑み(やさしさ)に、スパイは恐怖を覚え、顔を引きつらせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。