作戦会議
∼前回のあらすじ∼
返り討ちにしました
賑やかなカフェテラスで、注文を取る店員。
ひとり、離れた席に座らされた偽勇者が、恐る恐る、声を掛ける。
「王女様…もう少し、目立たない場所にされた方が/
「あなたに、発言権はありませんわよ」
偽勇者に顔も向けず、注文を選ぶ、王女。
「・・・はい」
口を閉ざし、椅子に縮こまる。
「ではお姉様、今後の方針を話し合いましょう!」
「まずは…名物のアフタヌーンティーのセット。次に、パンケーキ。シフォンケーキとバニラアイスを一緒に頼み、ショートケーキまで食べれたら…最高だな!」
「・・・王城まで戻る計画の方を、お願い致します」
「う~ん…無理!」
カップに紅茶を注ぎ、香りを楽しむ。
「王都は、今、厳重な警戒態勢だ」
「王城へ近づくに連れ、兵士の数は跳ね上がる。疲弊した所を、集団で攻め立てられたら、私でも一瞬で終わりだ」
「お姉様が、魔法が使えたら、王都の兵士を、一掃できますか」
生クリームを乗せたパンケーキを、口いっぱいに頬張る。
「余裕だ!食後の運動にも、ならないな!」
「この結界は、侯爵が使っていた様な魔道具で発動されているのですよね?」
「…魔道具を、破壊するつもり?」
「残念ながら、魔道具は王城の中だ。魔法を使わずに、兵士を無力化しない限り、王城へ入る道はない」
「大丈夫です!腕のいい、闇魔法師がいます」
「おい!あれ…」
遠くからカフェテラスを指差し、耳打ちする、兵士達。
「あの~王女様…」
話しかけて来た偽勇者を、横目で睨み付ける、王女。
「このシフォンケーキ、美味しいですわね!」
「え~でも…」
身振り手振りで何とか伝えようとするが、ケーキに注がれる視線を、振り向かせることは、出来なかった。
紅茶とショートケーキを追加し、一息つく王女。
「お話しは聞いていましたよわね、皇帝様?」
隣のテーブルで、五つ目のショートケーキを食べる、皇帝。
「断る!帝国が協力する理由は無い」
「皇帝様…王国の通貨は、お持ちで?」
「・・・帝国は、協力しないが、転移魔法を誰が使おうと、余は知らん!」
テーブルに運ばれるショートケーキ。
「では、これを頂いてから、帝国へと/
「動くな!」
王女が座るテーブルを、兵士が取り囲む。
「お、王女様を捕らえるよう、命令が出ています。ご同行願いますか?」
「あなたは、”この”待ちわびたショートケーキが、見えないていないのかしら?」
引きつった笑みで、兵士を威圧する。
「し、しかし…」
店員にショートケーキを注文していた、偽勇者を指差す。
「私達が、ケーキを食べ終えるまで、”あちら”を追いかけていてはいかが?」
「え?」
「安心してください。私達は、食べ終えるまで動きませんから。それに…」
偽勇者に、不気味な笑みを向ける。
「偽勇者を捕らえた者には、爵位が与えられるとか…ないとか…」
「お~!」
色めき立つ兵士達の視線が、静かに椅子を引いた偽勇者に集中する。
「・・・王女様⁈」
兵士達からの熱い視線に怯え、王女に助けを求める、偽勇者。
「頑張ってください…ね!」
フォークを片手に持った王女は、逃げ出す偽勇者に、優しく微笑んだ。




