652 父の見送り
ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!
「じゃあ、そろそろ行くわね」
翌日、少し早めの朝食を食べ終わってから、父さんはそう言って帰り支度をして玄関にいた。
「おじいちゃん、またきてね」
「ええ、千鶴ちゃんも元気でね」
すっかり孫が可愛い様子の父さん。まあ、千鶴の可愛さも相まってるのだろう。自慢の娘なのでそれは当然だが、ただ、もう少しお土産とかプレゼントはセーブしてもいいかなぁとは思うのだ。
「お義父さん、孫が生まれたら顔出しにきてくださいね」
「ええ、遥香さんも出産大変だろうけど、頑張ってね」
そういえば、父さんと遥香さんも随分と仲良くなったものだ。まあ、だからと言って変な勘ぐりとか勘違いとかはしないけどね。遥香のこと信じてるし、それに父さんの覚悟を知ってるから、この先も多分父さんは恋愛も再婚もしないだろうという確信があった。
父さんの母さんへの想い、それが俺には凄く尊敬出来るし見習いたいと思うのだ。俺も何があってもこの気持ちは変わらないだろうし、きっと遥香以外を愛することもこの先一生無いだろう。それくらい本気だし、それくらい大切なのだ。
そうして孫と息子の嫁と軽く挨拶をしてから、父さんは俺に視線を向けると言った。
「健斗、あんまり頑張りすぎないようにね」
「その言葉そっくりそのまま返すよ」
「私は、やりたいことやってるだけだもの」
「俺だってそうだよ。これは俺のやりたいことなんだから」
主夫として家を守る、それが俺にとって何よりもやり甲斐のあることだし、やりたい事なのだ。そういう部分はある意味父さんに似てるのかもしれない。好きなことに、好きな人に一直線。うん、やっぱり俺は父さんと母さんの子供なんだろう。
「まあ、いいわ。また来るからね」
「うん、楽しみにしてるよ」
そう行ってから父さんを見送ると、遥香はポツリと言った。
「なんというか、見た目的には祖父という単語に違和感しかないが、中身は不器用な祖父って感じだな」
なるほど、確かにそうかもしれない。ただ、見た目的には祖母でも違和感あるのがねぇ・・・まあ、だからと言ってお義母さんも祖母という単語は結構違和感あるから、なかなか難しいが。俺も童顔気味だけど、出来れば渋いイケメンに老けたいものだ。まあ、髭すら生えないから夢のまた夢なのかもしれないけどさ・・・いいじゃん、夢見たって!そういうダンディーなお父さんカッコイイしね。まあ、無いもの強請りだと分かってるから言わないけどさ。そんな感じで父さんを見送るのだった。




