535 結婚式3
誓い
それは神秘的な光景だった。真っ白なウェディングドレスを着た遥香さんがお義父さんに手を引かれてやって来る。ベールで顔を隠していても分かるほどに遥香さんは美しかった。その後ろでベールガールをしている千鶴ちゃんも遥香さんとのウェディングドレスに似たような可愛らしいドレスで思わずホッコリしてしまう。
お義父さんからエスコート役を託されて遥香さんと一緒に段に上がる。すると、牧師さんが結婚式の定例の言葉を告げる。
「では、夫健斗は妻遥香を生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
「妻遥香は夫健斗を生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
今更なことだけど、大切なことなのでちゃんと言葉にする。
「では、指輪の交換を」
その言葉でまずは俺から遥香さんに指輪をつける。遥香さんに付き添う介添えさんがグローブを外してくれたので左手の薬指にこの日のために用意したダイヤの指輪を着けて。お値段は聞かない方がいいだろう。こういうのは一生ものだからね。
続けて遥香さんも俺に指輪着けてくれるけど、なんとなく嬉しくなる。
「では、誓いのキスを」
ついに来た。ベールを上げて遥香さんの顔を出すが、直視すると本当に見惚れてしまいそうになるほどに美しかった。贔屓目なしにきっと世界で1番だろうと思う。
俺はそっと、遥香さんとキスをする。これで、遥香さんは俺のものだと告げることが出来た。だから、ちゃんと言う。
「これからもよろしく、遥香」
「・・・!健斗、今名前・・・」
「敬語はまだ抜けないかもしれないけど・・・少しずつね」
そう微笑んでから、俺は次にベールガールで控えていた千鶴ちゃんの方に寄るとそっとひざまづいて千鶴ちゃんに言った。
「千鶴ちゃん・・・いや、千鶴」
「ぱぱ・・・?」
「これからも俺の娘に・・・家族になってくれることを生涯誓ってくれるかな?」
少しカッコ悪いかもしれない。でも、これが俺の限界なので仕方ない。せっかくの結婚式なのだ、ちゃんと言葉にしないと勿体ないだろう。そんな俺の言葉に千鶴ちゃん・・・いや、千鶴は驚いたように目を見開いてから、嬉しそうに涙を流して言った。
「うん!ありがとう、ぱぱ・・・」
泣き出す千鶴ちゃんを優しく抱きしめてから遥香さん・・・いや、遥香とくすりと笑い合う。慣れは中々抜けないかもしれないけど・・・新しい家族が生まれてくる前にもっと絆を深めたいからね。不思議と温かい雰囲気に包まれながらも、挙式は最後にブーケトスをして終了する。なお、ブーケを受け取ったのは水瀬さんだ。
きっと、雅人と次に結婚してくれるのだろう。その時は新しい家族も連れて結婚式に出るとするか。




