512 去年の話
思い出
「楽しんできたみたいだな」
ぐっすりと眠る千鶴ちゃんを見てそんなことを言う遥香さん。ご飯もそこそこに寝てしまったので楽しんできたのは明白なのだろう。
「どこ行ったんだっけ?」
「珍獣公園とその近くの動物園ですよ」
「あぁ、あそこか、懐かしいなぁ」
俺としては一応地元なので何回か訪れてはいるが・・・
「遥香さんも行ったことあるんですか?」
「ん?まあな。小さい頃にウチの親に連れてって貰ったよ。あそこまだ消えてなかったんだな」
「縁起でもないですね」
「まあ、そうそうないか」
そう言ってからお茶を飲みつつ、ふと気になったのか聞いてきた。
「なあ、あれって・・・」
「ええ、去年俺がお土産として千鶴ちゃんにプレゼントしたカワウソのぬいぐるみですね」
「珍しいな。最近はあんまり見かけなかったが・・・」
「千鶴ちゃん的に大切にしてくれてるんですよ」
普段は汚れないように仕舞ってあるのだが・・・今日は一緒に寝たいと言うので出してきたのだ。
「そういや、修学旅行もうすぐだぞ」
「もうそんな時期ですか」
「・・・お前と動物園デートしたのは確か修学旅行の3日目だったな」
「結局まだあの動物園行けてませんね。落ち着いたら行きますか」
思えばあの頃より随分と2人のことが大好きになっているものだ。本当に懐かしいけど・・・でもそうか。
「俺が結婚式のこと意識したのも確かその前に行った夢の国の遊園地の時のことでしたよ。シンデレラ城で。まあ、結局あそこで式とはなりませんでしたが・・・」
「構わんさ。お前と式が出来るだけで十分過ぎるほど幸せだ」
嬉しいことを言ってくれる遥香さん。そう考えると修学旅行の時にはもうプロポーズめいたこと言ってたのかもしれないな。偶然だけど結婚式があるのも6月だし。
「遥香さん、俺は少しは遥香さんの理想の王子様に近づけてますかね?」
「臆面もなくそんなこと言えるお前が大好きが・・・そうだな、少し違うかもな」
「そうなんですか?」
「私の理想以上で困るくらいだよ」
ホッとすると同時にもっと精進しようと思う。少しでも遥香さんと千鶴ちゃんのために出来ることをしたいしね。それくらい大好きだし、大切なのだ。
「お前的は私はどうなんだ?」
「可愛すぎて食べちゃいたいです」
「なら、早く安定期に入らないとな」
「俺としては少しでも遥香が楽になればいいなと思いますよ」
そんな感じでゆったりと嫁と過ごす。晩酌なくなってからの密かな楽しみだ。妊娠中のみの贅沢を楽しむとしますか。




