445 お薬のお姉さん
子持ちです
「千鶴ちゃん、よく頑張ったね」
診察が終わってから、俺は千鶴ちゃんの頭を撫でていた。先生が男の人で怯えていた千鶴ちゃんだったけど、俺に掴まって必死で耐えてくれたのだ。
「はながね、きーんってなった」
「うんうん、そうなるねぇ」
正式名称不明の吸引器のことだろう。花粉症で耳鼻科に行く人なら分かるあれだ。そうしてお会計を終えてから、別にある馴染みの薬局まで薬を貰いに行くと、海斗の時に世話になっていた薬局のお姉さんが戻ってきていた。
「あれ?健斗くん久しぶりー。って、その子は?」
「俺の娘です」
「へー、娘かぁ・・・って、娘!?」
「ええ、高校卒業して結婚しまして」
「たつみちづるです」
ぺこりと挨拶する千鶴ちゃんをよしよしと褒めると薬局のお姉さんは驚いたように言った。
「そっかぁ・・・あの健斗くんがもう子供までいるんだねぇ。私も息子いるけど千鶴ちゃんより小さいなぁ」
「今年で何歳になったんですか?」
「3歳だよ。甘えん坊でねぇ」
「可愛い盛ですね」
「それそれ」
色々立ち話もありそうではあるけど、とりあえず早めに薬貰って千鶴ちゃんを楽にしてあげたいと思い俺は言った。
「それで、花粉症の薬なんですけど・・・」
「うんうん、わかった。すぐに準備するねー」
パタパタと忙しなく動くお姉さんを見送って椅子に座ると千鶴ちゃんが聞いてきた。
「ぱぱ、あのひとしってるの?」
「何度か薬貰う時に話してね」
「ふーん」
ぎゅっと俺に抱きついてくる千鶴ちゃん。なんだろう?まあ、可愛いからそのまま抱きしめていると、いつの間にか薬が出来たのか持ってきてくれたお姉さん。お会計を済ませるとお姉さんはクスリと笑って言った。
「千鶴ちゃんも甘えん坊なんだね」
「ええ、可愛いものです」
「でも、高校卒業ってことは再婚か何かなのかな?よく決心したね」
「好きな人と可愛い娘と家族になれるならなんでもしますよ」
「ふふ、ラブラブなんだね。海斗くんももう高校生だったっけ?彼女とかいるの?」
「報告はないですね」
そのうち好きな人が出来るかもだけど・・・まあ、俺とは違ってイケメンだから心配はしてない。
「そっか、とにかくおめでとう。子育てだと健斗くんの方が先輩かもだけど、何かあったら相談くらいは乗るからね」
「ええ、ありがとうございます」
そうして薬を受け取ってから、べったりと抱きついてくる千鶴ちゃんを抱っこして車に戻るのだった。いつもより甘えてくるけど・・・花粉症のせいかな?まあ、可愛いしいいか。




