396.5 友達の部屋
「ここがわたくしのおへやですわ!」
下で健斗が遺伝の怖さを実感している頃・・・自室へと千鶴を案内したレナは誇らしげにそう言った。可愛い小物が多く、2段ベッドの上の段は今は使われてないのか物置と化しており、元は2人部屋だと言われても違和感のないそこは少し前までは姉が使っていたのだが・・・まあ、そんなことを説明することもなくレナは笑顔で言った。
「ちづるちゃんだからとくべつにおへやをみせてあげたのですわ。たいせつなおともだちでらいばるですもの」
「うん、ありがとうれなちゃん」
にっこりと微笑まれて少し照れるレナに大して千鶴は部屋を見渡してから2段ベッドを見て聞いた。
「れなちゃんはもうひとりでねれるの?」
「とうぜんですわ。わたくしはもうおとなですもの!」
本当は夜、姉や母親の元に心細くなって布団に入り込むことも頻繁なのだが・・・友達の前で見栄を張りたくてそう言い切ると千鶴は感心したように言った。
「れなちゃんはすごいねぇ・・・ちーは、おにいちゃんとままといっしょじゃないとさみしいからむりだよ」
「そういえば・・・ちづるちゃんはおとうさんはいないんですの?」
その質問になんと答えるべきか少し迷ってから千鶴は微笑んで言った。
「えっとね、ほんとうのぱぱはもういないけど・・・もうすこしでだいすきなぱぱができるの」
「できる?」
「うん。ちーがね、ぱぱになってくださいっていったの。そしたらうれしそうにうなずいてくれたの」
子供ながらに、健斗と遥香の複雑な関係に勘づいている千鶴はそうしてぼかしながら説明するが・・・そもそもこうして断片でも話すのはレナが初めてなので千鶴にとってレナが本当に大切な親友になりつつあるのだろう。
千鶴の説明に少し首を傾げつつも、嬉しそうに話す千鶴に少し微笑んでからレナは言った。
「よくはわかりませんけど・・・ちづるちゃんがしあわせそうでなによりですわ」
「れなちゃんはぱぱのことだいすき?」
「とうぜんですわ!でも、いちばんすきなのはおねえさまですわ!つぎにおかあさまですわ」
その敬愛する姉と母親は現在下で健斗を囲んで色々話しているのだが・・・まあ、そうとは知らずにレナは部屋を自慢して楽しいひとときを過ごすのだった。千鶴としても初めて他人の部屋を見て凄いなぁと思いつつも・・・健斗のことを密かに自慢出来たことが嬉しくてルンルンでもあった。
まあ、これで自分も自室が欲しいかと言われれば・・・実のところ健斗と遥香と離れるのが寂しいのでしばらくはいらないというのが千鶴の偽らざる本音だったのだ。




