277 健斗の誕生日
健斗くんおめでとう♪
「やっほー、健斗くん」
「あれ、瑠美さん?」
千鶴ちゃんを迎えに行ってから家に帰ると近くで待っていたのか何故か瑠美さんが家の前にいた。
「ほい、これケーキ。誕生日おめでとう」
「ありがとうございます・・・あの、もしかしてこれ渡すために待っててくれたんですか?」
「いんや、これはおまけ。本命はこれだよ。ほいちーちゃん」
そう言いながら千鶴ちゃんに何かを渡す瑠美さん。
「ありがとう、おばちゃん!」
「可愛い姪のためだしねぇ。ま、頑張りなさいな。用事も済んだし私は帰るよー」
「もうですか?折角ですから夕飯ご一緒しませんか?」
「おっと、健斗くん。それは野暮な誘いだよねぇ」
「・・・ですかね。失言でした」
折角俺のために千鶴ちゃんと先生が頑張ってくれているんだ。今日は2人のために時間を作らないといけないだろうしね。
「ありがとうございます瑠美さん。今度またご飯食べにきてください」
「うんうん、そのうちね。あ、そうそうちーちゃん」
そうして何やら小さく千鶴ちゃんに耳打ちをする瑠美さん。
「ーーーって、言えば健斗くんもっと喜ぶからね」
「そうなの?」
「うんうん、おばさん嘘つかないよー。絶対喜んでくれるから試してみなさいな」
「・・・わ、わかった」
何を千鶴ちゃんに吹き込んだのだろうと思っていると今度は俺の肩に手を置いてから瑠美さんは言った。
「んじゃ、私はこれで帰るけど・・・置き土産には感謝してくれると嬉しいかな」
「千鶴ちゃんに吹き込んだ何かですか?」
「健斗くん的には多分最高なんじゃないかな?」
そう言ってからその場を後にした瑠美さん。1度お辞儀をしてから俺はこっそり千鶴ちゃんに聞いてみた。
「おばちゃんに何を教わったのかな?」
「えっとね、あとでいうから、いまはひみつ」
しーっと、指を可愛らしく立てる千鶴ちゃんに免じてこの場は退くとしよう。それに早く家に入ってケーキを冷やさないとね。
そうしてケーキを受け取ってから、そういえば先生がどこかの店でケーキを予約したと言ってたのをさりげなく思い出して苦笑するが・・・まあ、甘いものは別腹ってことになるのかな?
俺はそこまで沢山食えないけど、貰ったものだしありがたく頂くとしよう。でも、こんな風に祝われて、しかも大切な人にはこれから祝われるのは初めてなので、柄にもなく楽しくなってくる。
前は誕生日と言っても俺がそこまで乗り気じゃなかったし、軽く流していたけど・・・今年は最高の誕生日になりそうだなぁとワクワクするのだった。




