167 思い出を形に
かしゃり
「はい、チーズ」
かしゃりとデジカメのシャッターをきる。ポーズをとる千鶴ちゃんは、少しだけ恥ずかしそうにしながらピースをするので、それを撮ってから、娘の可愛さに微笑んでしまう。いや、娘と呼ぶのはまだ早いけど、だんだんなついてきてくれているので、心の中で思うくらいはいいだろう。
「おにいちゃん、とれた?」
「うん、見てみる?」
そうして撮れた写真を千鶴ちゃんに見せると、千鶴ちゃんは少しだけ驚いた表情を浮かべて言った。
「わぁ・・・すごい!」
「千鶴ちゃんはあんまり写真は撮ったことないの?」
「うん。ままもってないから」
そういえば、先生はカメラ持ってなかったなぁ。携帯の中に記録あればいいけど、先生の忙しさを考えるとそんなデータはなさそうだと思い、俺は言った。
「これからはいっぱい写真を残そうか。千鶴ちゃんと千鶴ちゃんのママと俺の3人の写真を増やそう」
「うん!ちーおにいちゃんとままと、いっしょがいい」
福引きで千鶴ちゃんが当てたデジカメだけど、これからは俺が千鶴ちゃんの記録を残さないとな。
「とりあえず夏休みの記録はなるべく撮るとして・・・SDカードは買っておかないとなぁ。それに運動会に、音楽会もあるし忙しくなるね」
「おにいちゃん、うんどうかいきてくれるの?」
「え?うん、もちろんだよ。ダメかな?」
年間行事予定を見てから、何がなんでも行こうと決めていた千鶴ちゃんの運動会。まずかったか?と思って聞くと、千鶴ちゃんは嬉しそうに微笑んで言った。
「うんうん、だめじゃない!すごくうれしい!」
「そう?なら良かったよ」
ぽんぽんと頭を撫でると、千鶴ちゃんは嬉しそうに微笑みながらぽつりと言った。
「まえは、ままいそがしくてきてくれなかったから・・・」
その言葉に俺は思わず撫でる手を抱っこにかえてから、千鶴ちゃんを抱っこしながら優しく言った。
「ママは忙しいからね。でも千鶴ちゃんのこと大好きだから大丈夫だよ。それに今年は俺が絶対に応援にいくから。お弁当もはりきって作るからねー」
「・・・うん!」
先生が忙しい分、俺が千鶴ちゃんの保護者として寂しくないようにしないといけない。それに、俺としても可愛い娘の晴れ姿をしっかりと目に焼き付けておきたいのだ。もちろん千鶴ちゃんが当てたデジカメでも、きちんと家族の記録を残しつつ、千鶴ちゃんのアルバムを作れるようにしないといけない。
海斗の時は、お祖母ちゃんに教わって記録を残していたが、俺が一人で作るのは初めてなので、頑張ろう。そう思いながらしばらく千鶴ちゃんと、デジカメで遊ぶのだった。
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