109 水族館デート
東京タワーの水族館閉園してたのしりませんでした(^_^;)なので、パラレルと考えていただければ幸いですm(__)m
「お待たせ健斗」
「いえ、むしろこんなに早く来てくれるとは思いませんでした」
メッセージを送ってからそれほど待たずに先生は了承の返事をして来てくれた。服装はいつものスーツだが、それも悪くはないだろう。
「にしても、東京タワーに水族館なんてあったんだな」
「ええ、俺も知りませんでした」
そんなことを言いながら中に入って、驚いてしまう。タワー本体より圧倒的に人が少なくて、水族館というよりは博物館のような感じがする雰囲気で水槽だらけ。なるほど、これは確かに水族館と言うには少しだけ寂しいかもしれない。
「ま、この規模じゃイルカとか鮫はいないわな」
「事前情報不足ですみません」
「何を言ってるんだか。むしろこれくらい人が少ない方がデートにはぴったりだろ?」
「やっぱりせん・・・遥香さんもデートだと思ってくれてたんですね」
「まあな。なんだかんだでお前とこうして二人きりでどこかに出掛けるのは初めてだからな。いつもはちーちゃんが一緒だしな」
そう言いながら水槽の亀を見る先生。その表情は少しだけ複雑そうであった。
「お前にはすまないと思ってる。学生らしい華やかなデートとかには今は付き合ってやれないことも、そのくせお前にちーちゃんの面倒を任せてることもな」
「そんなの俺が望んでやってることですよ。それに例え学生らしいデートが出来なくても好きな人と一緒にいれればそれが一番の幸せですから」
「そうか・・・いや、すまない。忘れてくれ。不謹慎だが、こうしてお前と二人きりで出掛けることが嬉しくもあるんだ。ちーちゃんのことを置いてきているくせに楽しんでいいかとな」
いつになく弱気な先生。俺は思いきって先生を抱き寄せてから驚く先生の頭を優しく撫でて言った。
「遥香さんはいつも考えすぎなんですよ。たまにはこうして何も考えずに俺に身を委ねてください」
「・・・はは。こうして抱きしめられるのは初めてかもしれないな。これが包容力か」
「そうなんですか?俺としては遥香さんの方が包容力あると思いますよ」
周りの目がないことで俺は大胆にも先生を抱き締め続けていた。そうして俺に抱き締められながら先生はポツリと言った。
「お前の前だと、私は弱いところまで見せてしまいそうだ。格好悪いな」
「いつでも遥香さんは俺にとっての最高です。どんな一面があろうと幻滅したりしませんしきちんと受け入れますよ。ずっと側にいます」
「・・・ありがとう健斗」
その後しばらく先生を抱き締めていたが、まるで幼子のような姿に保護欲が出てしまいつい子供扱いしてしまったようで気になったが、むしろ先生は嬉しそうにスッキリした表情だったので結果オーライだろう。
 




