Explanation 1: 作者解説! 「惑星クラン星域海戦」総評と「艦隊戦の基本」
特別収録(元々はノベルアップ+の活動報告に上げたものです)
さて、今回更新した「Geo Fleet~星砕く拳聖と滅びの龍姫~」における最初の艦隊戦の総評をしたいと思う。
まあ、正直今回の艦隊戦は特筆すべきことのない、一方的な内容ではあった
結論から言うと、ヴェロニア艦隊は、アンネリース艦隊が出張って来た時点で半ば詰んでる状態にあった。
小説内の記述にある通り、ヴェロニア艦隊の突撃艦は地球軍製の鹵獲艦艇の改修艦である。
ヴェロニアは独自の造船工廠を保有し、独自艦艇を持っている海賊団の長である。それが、地球軍製の鹵獲艦艇である。
これは、独自の艦艇は存在するが、それが不足しているという意味を示している。増援艦艇に突撃艦がなかったのも、苦肉の策として「突撃艦を火力集中で落とす」戦略を想定してゲンターが決定した構成である。
さて、その増援の構成を見てみよう。
「高速砲艦2隻と、駆逐艦2個戦隊8隻、それのドックである駆逐艦母艦1隻、最後に50万t級の輸送艦」
ここで分かる事は、高速砲艦を増やすことで前衛を増強し、後方に控える戦列砲艦によるデータリンク高度管制砲撃で、邪魔な突撃艦を潰していく戦術を想定している、ということである。
駆逐艦2個戦隊8隻に関しては、
本作品世界の「駆逐艦」の役割、一撃必殺の砲に小回の聞く機動性を付与して、それを大量に展開して標準戦闘艦艇を落としてゆく戦術、
に基づいて運用される事を考えていた。
駆逐艦母艦と駆逐艦は、ガノタwにわかりやすく例えると(なぜガノタw)、駆逐艦母艦をキュベレイ、駆逐艦をファンネル、と解釈してもらえばわかりやすい。
駆逐艦には基本的にジャンプ機能や基本的ワープ機能は装備されず、小回りのきく機動性のみを付与されている。そして、帰還時のための簡易型限定ワープ機能によって即時帰還を行えるようにされている。
そうして駆逐艦を展開して、攻撃しては帰還攻撃しては帰還、を繰り返す事を想定した艦艇なのである。
そう、今回ヴェロニアは、迅龍を逃さないようにするべく、全戦力を迅龍追撃にまわして、本来想定されたアンネリース艦隊殲滅のためには使わなかった。
高速砲艦を突撃艦のように運用し、護衛突撃艦がないのに戦列砲艦を放置して突撃艦の接近を許した。
さらに、駆逐艦母艦を無理に前進させて、そこからほぼ死出の旅でしかない、駆逐艦による迅龍への追撃命令を強制した。
無理な突撃で突撃艦の蜂の巣にされた駆逐艦隊は崩壊、そのまま迅龍を逃す羽目になった。
完全に、頭に血が上っていたヴェロニアのミスである。
本来の彼女は冷酷だがそこそこ頭が切れている。今回の件は、ずっと望んでいた信仰する相手【レヴィア】の後継者として立つ、という思いが強すぎて、それを阻む者たちに必要以上にキレ散らかしたのが原因である。
「圧倒的火力を持ちながら護衛戦力を喪失したヴェロニア艦隊」対「数では劣るが制宙戦闘能力を完全に保持しているアンネリース艦隊」
という条件下で、ヴェロニアが「アンネリース艦隊を突破して【突撃艦・迅龍|(中破、航行能力低下)】を撃沈又は拿捕する」を勝利条件に定めたのが悪手であったのだ。
事実、迅龍を放置してアンネリース艦隊殲滅を目指せば勝利した可能性がある。
護衛戦力がないためにそこそこ被害はあったろうが、アンネリースの首をとれた可能性もある。
しかし、ヴェロニアは自身の信仰が原因で敗北を喫した。
以上が「惑星クラン星域海戦」の総括である。
本作品世界の艦艇は、
「突撃艦」は「敵戦闘艦を捕捉・撃破して味方艦隊の行動自由を確保する制宙戦闘艦」である。
特徴が、中近距離火力+強固な防御+高機動で、
敵突撃艦を排除する。
→ 高速砲艦を迎撃する。
→ 味方高速砲艦を護衛する。
→ 敵戦列砲艦へ突破攻撃を仕掛ける。
という運用がなされる。
「高速砲艦」は「敵主力艦へ大量の火力を叩き込むために、大火力を届けるための高速攻撃艦」である。
特徴が、大量火砲+低防御+高機動で、
突撃艦が敵護衛突撃艦を引き離す。
→ 高速砲艦隊が高速機動で接近。
→ 中距離から一斉射撃。
→ 敵が反撃態勢を整える前に離脱。
という運用がなされる。
「戦列砲艦」は「宇宙に浮かぶ火砲陣地であり、一隻ごとのの性能以上に、何隻か並べて統制射撃できるかが重要になる火力支援艦」である。
特徴が、超遠距離火力+超大量火砲+鈍足低機動で、
敵艦隊を捕捉。
→ 射撃諸元を共有。
→ 戦列を形成。
→ 大量火砲による斉射。
→ 前衛艦隊を後方から援護。
という運用がなされる。
「駆逐艦|(と駆逐艦母艦)」は「敵を遠距離から狙撃するのではなく、命中を期待できる距離まで必殺火砲を運んで撃つ小型攻撃艦」である。
極端に表現すれば、「軌道砲に機関と操艦システムを取り付けたら駆逐艦になった」という話で、
接近。
→ 射撃位置確保。
→ 軌道砲発射。
→ 敵艦撃破。
→ 離脱。
という運用がなされる。
以上の艦艇のうち、「突撃艦」「高速砲艦」「戦列砲艦」には「緩め」の三すくみ関係がある。
【「突撃艦」:「高速砲艦」に強い】
高速砲艦は防御が弱く、中近距離へ突撃艦に入り込まれると苦しい。
【「高速砲艦」:「戦列砲艦」に強い】
高機動で遠距離砲撃をかわし、中距離まで接近して大量火砲を集中できる。
【「戦列砲艦」:「突撃艦」集団に対して火力支援が有効】
十分な距離と護衛があれば、大量の砲撃で突撃艦の自由な機動を制限できる。
ただし、戦列砲艦へ突撃艦が肉薄すると危険なのでその状況下では「突撃艦に弱い」とも言える。
そして、これらのことを踏まえて、作品世界の艦隊戦は以下のようなものが基本となっている。
すなわち、
戦闘が始まればまず「突撃艦」同士が制宙権を争い、味方「突撃艦」が優勢になれば、その隙間を「高速砲艦」が突破して敵主力へ攻撃、その間、後方の「戦列砲艦」群が火力支援を続ける。
敵も同じことを狙うので、「味方高速砲艦を敵突撃艦から守りながら、こちらの突撃艦を敵戦列へ通す」という形になるわけである。
ここらへんかなり航空機戦闘をモデルに構成しており、戦闘航宙艦が近接格闘戦の際に使用するマニューバ(航宙艦動作)【宇宙戦闘機動|(Space Combat Manoeuvring、SCM)】に戦闘機のものが使われているのはそこら辺が理由だったりする。
いわゆる、よくある「宇宙戦艦が戦列組んで並んで砲を撃ち合う」という形式ではない「高機動宇宙戦闘」をイメージしているのだ。
突撃艦が制宙権を奪い、高速砲艦が火力を運び、戦列砲艦が後方から戦場を制圧し、駆逐艦が敵主力へ必殺の一撃を届ける。そして駆逐艦母艦などの支援艦が、それらを戦場まで運ぶ。
という「宇宙戦艦同士の海戦」ではなく、戦闘機・攻撃機・爆撃機・雷撃機・母機の役割を数百メートル級航宙艦へ拡大した航空戦型の艦隊戦と捉えると非常にしっくりくるかと思う。
今後は「戦術ワープ」なども絡めた海戦も登場してくるのでお楽しみに!




