第374話 まさかとは思うけど(掲示板有
【悲報】アーデルハイト異世界方面軍専用スレ 132【一年経過】
1:名無しの騎士団員
ここはアデ公こと、アーデルハイト・シュルツェ・フォン・エスターライヒ公爵令嬢が率いるダンジョン配信チャンネル、『アーデルハイト異世界方面軍』について語るスレですわ!
煽り・荒らしはスルー・NGですわ
マナーを守って仲良く語りなさいな
★汝、蟹と肉を愛せよ
★聖女、死すべし
★クリスとミギーも愛せ
★沼へようこそ
★団長は現在、異世界遠征中です
★だんちょ遅ない?
* * *
254:名無しの騎士団員
>>212
いやだから、別に絶対とは言ってないわけで
アデ公が適当に期限切るのなんて今に始まったことじゃないだろ
255:名無しの騎士団員
配信が空くぐらい別に珍しくないだろ
今までのペースが異常だっただけで
256:名無しの騎士団員
そもそも探索者は怪我がつきものなわけで
257:名無しの騎士団員
流石のお前らも荒れてんねぇ!
258:名無しの騎士団員
蟹に苦戦してるんかなー
259:名無しの騎士団員
何かしら情報発信してくれればいいんやけどなぁ
260:名無しの騎士団員
>>212
そう思うんならさっさと消えろ
261:名無しの騎士団員
実際怪我で数カ月活動休む探索者は珍しくない
ただアデ公はこれまでそういうのがなかったから新鮮ってだけ
262:名無しの騎士団員
いうてミギーとオルたそは残留してるんだから、何かコメントというか発信あってもよくね?
263:名無しの騎士団員
あの二人はわりとズボラらしいからな……
264:名無しの騎士団員
実際Sixの公式垢も動いてないしなー
カグーの淫スタでたまに見切れて映ってるくらいか
つまりカグーがなにか知っているのでは?
265:名無しの騎士団員
いやまぁ>>212を庇うわけじゃないけど
一年も音沙汰ないんだし、不安になる気持ちもわからんではない
266:名無しの騎士団員
っていうか通信手段ないんだろ?
じゃあもう待つしか出来ないし、ミギーらも下手な事言えないやろ
267:名無しの騎士団員
クリスがこっちに残っていれば……
いや連絡手段ないんだし一緒か
268:名無しの騎士団員
せめてミギーとオルたその配信だけでも続けてほしかったな
269:名無しの騎士団員
異世界成分が足りない……
アデ公欠乏症
270:名無しの騎士団員
いやまぁ主役抜きで続けるのは流石にキツいんちゃうか
他のメンバーもそら人気やけど、やっぱアデ公ありきやし
271:名無しの騎士団員
ダンジョン配信出来ないのが痛いな
ゲーム配信だけだとそこらのVと変わらんし
272:名無しの騎士団員
>>268
なんか事務所っつーか家引っ越すからやめるみたいな話だろ
しゃーない
273:名無しの騎士団員
流石にスレの勢いもだいぶ落ちたな
274:名無しの騎士団員
アデ公っていう超級コンテンツパワーがあっても
この大配信時代に一年休止はデカいわね
275:名無しの騎士団員
魔女と水精がこないだついに京都攻略したのもあって、今はだいぶ話題というかトレンドはそっちに向いてるしな
276:名無しの騎士団員
一年で戻るって言っちゃったのがなー
そら一年過ぎたら「あぁやっぱ引退なんか」と思われてもしゃーない
277:名無しの騎士団員
このあいだ知り合いの探索者がカグーと会ったらしくて
アデ公のこと聞いたらもにょっとはぐらかされたらしい
カグーも知らねぇんじゃねぇかな
278:名無しの騎士団員
>>276
その程度で離れるようなやつは我が団にはいらんのだ
279:名無しの騎士団員
他の配信者と一線を画してたからこそみたいな部分もある
280:名無しの騎士団員
どうでもいいけどネガ多過ぎね?
黙って待ってられんのか
281:名無しの騎士団員
騒いでるのは新参だけ定期
282:名無しの騎士団員
我ら古参の騎士団員にとってこの程度の障害など
実際信じてるから全然へーきへーき
283:名無しの騎士団員
いやまぁ一時のアホみたいな盛り上がりを見るとな
やかましかった外人ニキたちもすっかり話題に出さんし
284:名無しの騎士団員
オルたその納豆どうなったんだろ
285:名無しの騎士団員
荒れるのもまぁやむなし
せめてなんか一言だけでも公式であったらなぁ
286:名無しの騎士団員
アデ公ーっ!
早く来てくれーっ!
* * *
「あーあーあー、だいぶ荒れてるッスねぇ」
汀はスマホをポチポチと弄りながら、ため息混じりにぼそりと呟いた。彼女が見ているのは自分たちの専スレ、つまりは掲示板である。
「肌が?」
「うるせぇロリババァ」
当然といえば当然だが、アーデルハイト達が異世界へ遠征に出てからこちら、汀はずっとネット民の反応を観察していた。掲示板やSNSはもちろんのこと、月姫伝いで現場の声もしっかりと拾っている。
そうして聞こえた声をまとめてみれば、まぁなんというか、有り体に言って荒れていた。原因はもちろん、一年経っても未だアーデルハイト達が戻ってきていないことにある。
「やっぱウチらだけでも配信続けるべきなんスかねぇ」
「それに関してはもう結論が出ている。わたしたちだけではコンテンツとしての力が足りない」
「いやまぁそうなんスけど…………」
「荒れているということは反応があるということ。悪いことじゃない」
すっかりこちらのネット事情にも明るくなったオルガンは、顔色ひとつ変えずにそう言ってのけた。確かに彼女の言い分は尤もだ。真に恐ろしいのは誰からも忘れ去られ、話題にすら挙がらないこと。そうなった時、『異世界方面軍』というコンテンツは今度こそ終わってしまう。
もちろん、それは汀も十分に理解している。しているが、しかし時間の問題だとも感じていた。スレの勢いにしてもそう、エゴサの件数にしてもそう。全盛期とは比べ物にもならないほど、その勢いは低下している。
テコ入れをするか、或いは何か公式から発信するべき。
恐らくはそれだけでも十分に時間は稼げる。これまで沈黙していたことと併せて、話題性は十分に確保出来るだろう。しかしそれはあくまでも時間稼ぎでしかなく、根本的な解決にはならない。せめてあちら側から何かしらの連絡があれば、汀達にも動きようがあるのだが――――。
「っていうか、比翼のなんたらはどうしたんスか? ちゃんとあっちと連絡取れるんじゃなかったんスか?」
「そのはず」
「じゃあなんで、お嬢から連絡がいっこも来ないんスか?」
そう、当初の予定ではこんな筈ではなかった。
アーデルハイトがシーリアから比翼の珠を受け取ることで、情報のやりとりが出来る筈だったのだ。それによって遠征組と連絡を密に行い、活動休止期間中の時間稼ぎをするつもりだった。しかし蓋を開ければご覧の通り、比翼の珠はうんともすんとも言わない始末。
もちろん通信の可否は、シーリアとの通信テストで既にチェック済みであった。つまり技術的な問題ではなく、何か他の要因によって連絡が滞っていることになる。ではその要因とは何なのか、もっとも事情に明るいであろうオルガンに聞いてみれば――――。
「忘れてるんじゃね」
「うっそだろお嬢」
普通に考えればあり得ない。
アーデルハイトは馬鹿ではないし、元々事務仕事もきっちりこなすタイプの騎士団長だった。クリスだってついている。おまけに協会を代表し、監察官として国広燈も同行している。彼女は協会への定期報告義務があるため、仮に他の全員が忘れていたとしても、少なくとも彼女だけは忘れていない筈なのだ。
「じょうだん」
「普段のお嬢だけを見てると、あり得ないとも言い切れないのが怖いッスね」
つまり忘れているわけではなく、何かしらのトラブルによって連絡が取れなくなっている可能性が高い。そして本当になにかトラブルがあったのだとしても、こちらからどうこうすることは当然出来ない。要するに汀達は公式コメントを出さずにいるのではなく、あちらの状況が分からず下手なことが言えない為に、コメントを出すことが出来ないのだ。
「まぁ、待つしかないとおもわれ」
「はぁ…………胃が痛いッスねぇ」
状況を淡々と説明するオルガンを見れば、『落ち着きすぎだろ』と思わなくもない。なにしろこれは汀よりも、あちらの世界の住人であるオルガンにこそ関係のある話なのだから。
「まぁいいや。じゃあウチはちょっと、オルとロスの散歩に行ってくるッスよ」
「うーい」
結局いつもの様に、ただ待つことしか出来ない汀。
玄関に掛けられたリードをふたつ手に、そうしてゆっくりと家を出る。
「まさかとは思うけど…………負けてなんかないッス、よね?」




