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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
26章 建国祭

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 第二層門に近づいて行くと何やら、見慣れているが珍しい人影が立っているのが見えてきた。


 第6師団長のクストと第5師団長のヒューレクレトが難しい顔を突き合わせながら、何かを話し合っている。この年明け早々の職務時間中にだ。何か問題が起こったのだろうか。


「第5師団長さん、第6師団長さん、珍しい組み合わせですね。お二人して西区第二層門の当番なのですか?」


 行くときには居なかった二人に向かって、挨拶代わりというようにシェリーは疑問を投げかけた。


「そんなわけないだろう?明後日から始まる建国祭の警備ことを話しているだけだ」


 クストがそもそも師団長クラスが門兵としていなければならない原因のシェリーに視線を向けながら言う。

 しかし、立ち話をするように重要なことをこの様なところで決めていいのだろうか。


「そうですか。第5師団長さん、年末に言っていた違和感については上層部に報告していただけましたか?」


 シェリーはヒューレクレトに本当であれば黒狼クロードに相談したいと言って、シェリーの足を止めてまで聞いてきたことをきちんと報告してくれたのかと尋ねたが、ヒューレクレトは首を横に振った。あれだけのことを言っていて、統括師団長に報告しなかったというのか。


「統括師団長閣下に相談したかったが、数日の遠征に行かれており、面会することができず、統括副師団長に報告したが、気の所為だろうと取り合ってもらえなかった」


「は?」


 シェリーは思わず何を言っているのかという感じで声が漏れ出ていた。第5師団長はとても大事なことに気が付き、シェリーに答えの一つ導くきっかけをつくったのだ。その言葉を上層部は取り合わなかったということになる。

 いや、一番トップである統括師団長が不在だったのは、イーリスクロムが王命かそれに準じる命令をだして、動いてくれたからなので、そこは責めることはできない。だが、一師団長の言葉が軽く見られすぎていないだろうか。


 上層部にヒューレクレトの言葉が無視されたということは、人が次元の悪魔化するという答えにはまだたどり着いてはおらず、国はこのことに対して何も対策を打っていないということになる。


「では、帝国の人は全て王都から出すことはできたのでしょうか?」


 帝国の者たちが王都の内側に居ないとなれば、シェリーとしてはそれでいい。いきなり王都の中に次元の悪魔が出現するという事態が起こらなければそれでいいのだ。


「それも行き詰まっている。どうも他の国の奴隷が混じっているようで、第3層の南地区はかなり異国の匂いが入り混じっている。それもこの周辺国の者たちではなさそうで捜索が困難化している」


 他国の奴隷ということは、帝国の者たちの側にはイーリスクロムが懸念しており、炎国の船を妨害していたトドールの奴隷船が関係しているのだろう。

 帝国はかなり手広く奴隷を集めているようだ。


「ちっ!」


 ヒューレクレトの言葉にシェリーは舌打ちをする。これでは何も解決にはなっていない。


「第5師団長さん。ご自分の言った言葉を守らない気ですか?この王都を護るのですよね。人から悪魔を倒したときと同じ様な異臭がしたと言われていたのに、事の重大性に気がついていなかったのですか?」


「なんだ?それ初耳だぞ」


 クストが驚いたように言った。これはおかしなことだ。今この時点で知らないということは、ユーフィアにも相談していなかったことになる。

 シェリーの苛立ちを感じたのか、ヒューレクレトがオロオロと視線を動かし動揺をみせた。


「あ、実はそのこともクストに相談したかったのだ」


 確かに師団長という立場となれば、中々時間がとれないのかもしれないが、あれから10日は経っておりその間、連絡の取りようがなかったのだろうか。いや、恐らくヒューレクレト自身は忙しくしていたのだろう。彼には帝国の者たちの排除という命を敬愛する元統括師団長であるクロードから承ったのだから。


「はぁ。このままですと、祭り中に次元の悪魔が出現してもおかしくはないですよ」


 シェリーはあまりにものヒューレクレトが事態を軽く捉えている感じにため息を吐く。


「どういうことだ!」

「それはないだろう。今のところ王都にいるエルフ族はそこのスーウェンザイルと教会の者たちだけだ」


 ヒューレクレトはシェリーに向かって何が起こってそうなるのかわからないようで、問いただしているが、クストは次元の悪魔を通すことができる固定型の転移門の媒体となる高魔力のエルフ族の奴隷は居ないと言い切ったのだった。





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