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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-4 冬期休暇-悪魔という存在

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「あのさぁ、何で陽子さんのダンジョンにあんな恐ろしいモノがあったのか教えて欲しいのだけど、そうすれば陽子さんはいらない事を聞かないために帰るよ」


 陽子はテーブルに片頬をつけて項垂れながら言っている。魔王云々の話を聞いて心が萎えているようだが、そもそもこの屋敷は陽子のダンジョン内であるので、どこに居ようが関係が無い気もする。ただ単に陽子の気分的な問題だろうか。


「そんな物は知らぬ。適当に力を持っていそうなダンジョンに目星をつけただけでなないのかね?」


「うぐー」


 オリバーは力を持つダンジョンだから目をつけられたのではないのかと言われた。確かに以前の討伐戦前時の陽子のダンジョンは黒狼クロードと赤猿フォルスミスによって破壊されるような脆弱さだったのだ。

それは無視されることになったのだろう。


「だったら、ギラン共和国のユールクスさんのダンジョンはどうなの?あそこなんて陽子さんのダンジョンの何倍の広さがあるってササッちが言っていたし」


 陽子は実際に行くことが叶わない大陸最大のユールクスのダンジョンを取り上げた。


「ふむ。そう言われると量産するにはいい環境ではあるかもしれない」


 陽子の言葉にオリバーは同意する。ダンジョンマスターに感知されない存在が、入り込みダンジョンの力を吸い取って己の力をしていく。あの一国の広さを誇るダンジョンであれば、侵入し放題と言えるかもしれない。


「この件で除外していいのは、ドルロール遺跡ぐらいであろう。流石に神の目は欺くことはできぬと思われるのでな」


 ドルロール遺跡。女神ナディアが管理する己の子孫の為に設置したダンジョンのことだ。所詮悪魔というモノは白き神の箱庭に存在する俗物なのだ。神という存在とは違う。


「神様と比べられたら、陽子さんはぐうの音もでないよ」


 増々落ち込む陽子。そこにシェリーが助言を出した。


「でしたら、巡回兵でも作ればいいのではないのですか?別の入り口からの侵入者を排除する兵隊。あの鎧共なら不完全な物を破壊出来るのではないのですか?」


「おお!それはいいかも!裏道を巡回させて通路を塞いでいたり彷徨いているモノがいれば即排除!」


 陽子のテンションは一気に上昇して、椅子を倒すように立上り、シェリーとオリバーに向かって右指を揃えて、頭の前に持ってきて敬礼のポーズを取る。


「陽子さんは今から、他に侵入ブツがいないかチェックしてくるよ!」


 そう言って、陽子は床に沈んでいった。なぜ、ダンジョンに悪魔の揺り籠が存在したのか知りたかったわけではなく、対処方法を陽子は知りたかったのだろう。


「ヨーコは自己満足して帰っていったようだね。しかし、シェリーはまだ納得をしていないのかね?」


 オリバーは目の前の表情が何ひとつ変わっていないシェリーを見てそう質問をする。先程から一言も発していないカイルの膝の上に座ったままのシェリーにだ。


「納得できるとでも?」


「さて、どの辺りが不服なのかね?」


「私が世界を浄化しようが、世界を混沌に落とす存在の行動は変わらなかったのではないのかという話。勇者ナオフミの所為で魔王復活が早まったと言ったのは嘘だったのでは?」


 確かに白き神はシェリーに神言した。勇者ナオフミの番狂いの所為で魔王復活が100年保つはずだったが、20年に縮まったと。


「それはどうかな?ありはしない世界線の話では本当にそうなったかの証明はできぬ。だが、世界を満たす悪の心の影響を受けるのは人だけではあるまい?魔獣が人を襲う魔物となるように、人が狂い魔人となるように、アノ者たちも影響を受けるのではないのではないのかね?実際、討伐戦後の一時(ひととき)だけは魔のモノの姿を見かけなくなった」


 実際にその時を生きた人物からの証言だ。その言葉に信憑性はある。


「それを実際に見て思ったことが、これもまた世界の浄化装置ではないのではないのかということだね」


 オリバーがとんでもないことを口にした『世界の浄化装置』とはこれは如何に?


「それは魔王が世界の浄化装置だと言っている?」


「俺はそう思ったそれだけだ。しかし、おかしいであろう?確かに悪魔共を倒し、魔王を倒した。だが、ビアンカはこの世界の全てを浄化したわけではない。にも関わらず、魔の物の姿を見かけなくなったのだよ。ああ、ダンジョンを除いてと付け加えておくがね」


 オリバーの直感を信じるとすれば、それはどういうことなのだろうか。そこに白き神の威を感じなくもない。

 前回は人が魔のモノに勝利し一時(ひととき)の平穏を手に入れた。しかし、もし人が魔のモノに負けていれば、世界は人という文明を失い、魔が支配する世界になっていたことだろう。


 一種の賭けと言えなくもない。この人という文明を栄させるか。魔が支配する世界となるか。

 いや、実際に魔人ラフテリアが支配する大陸は魔物が存在せずに、魔人の楽園となっていた。それもまた、白き神が是とした世界だった。


_____________


毎回遅れてすみません。ギリギリで書いてますので、誤字脱字また直します。


シェリーの一言で20年後のリオンの弟が鎧の共に追いかけられることになってしまいましたwww



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