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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-4 冬期休暇-悪魔という存在

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「ダンジョンポイント?……はれ?減ってる。減って行っている。今、陽子さん何もしていないよ?」


 陽子は陽子にしか見えない何かを信じられないと頭を抱えている。

 その姿を見てシェリーはある意味納得した。

 悪魔の揺り籠はダンジョンのエネルギーを取り込んでいるのだと。だとすると、おかしなことになってくる。


 シェリーは人が魔人化するように、世界の悪意を取り込んだアーク族が悪魔化すると思っていた。しかし、この説だと世界の悪意とダンジョンの力を取り込んだことになってしまう。確かに人というものから還元されたエネルギーに違いないが、その2つの力に親和性があるとは思えない。


 ここでふと、ヒューレクレトの言葉が横切った。


 『人の血から次元の悪魔のニオイがした』と。


 次元の悪魔と完全体の悪魔の共通点と言えば、黒い皮膚に這うような血管のような文様だ。何かを身体にめぐらすモノのような文様。


 次元の悪魔が初めて現れたのは30年前のグローリア国。次いで完全体の悪魔が出現した。その後に魔王と呼ばれるモノがそのモノたちを統率したのだ。


 その悪魔たちの戦いは主に大陸の北側で行われ、南側はほとんど被害がなかった。


 空島は大陸の北側にあり、南側はアーク族と竜人族と戦いで破壊された。


 その破壊された遺物を集めていたとされる大魔女エリザベート。いったい何のために集めていた?そして、一番被害をうけたグローリア国。


 そして、ヒューレクレトは空島の残骸である王都を護る者と言った。


「シェリー?何か気になることがある?」


 カイルが黙ったまま動かなくなったシェリーを心配そうに見てきた。


「カイルさん。私は思い違いをしていたかもしれません」


「何を?」


「そもそも、魔王討伐戦そのものが、作られた戦いだったのかもしれません」


「え?」

「ササッち、どういうこと?」


 シェリーの理解不能な言葉にカイルと陽子の頭の上にはてなが飛んでいた。

 そして、シェリーはおもむろに魔石を取り出して魔力を流す。


「オリバー面白いものがあるのだけど見に来ない?」


「ひっ!ササッち!ここの大魔導師様を呼んじゃうの!陽子さん殺されちゃうよ!」


 オリバーを呼び出そうとするシェリーに陽子はやめて欲しいとすがりつく。今回の不手際を責められて、色々言われ無理難題を押し付けられるのは嫌だということだ。


「シェリー。つまらないことで起こすな」


 寝起きで機嫌の悪いオリバーが応答した。それもつまらない事と決めつけている。


「完全体の悪魔の揺り籠でも?」


「な……なんだね!その面白しろそうなものは」

「あ……悪魔の揺り籠!なんでそんな怖ろしいモノが陽子さんのダンジョン内にあるの!」


 オリバーの声と陽子の言葉が重なった。陽子の言葉に陽子のダンジョン内に怪しいものがあるとわかったのだろう。オリバーはシェリーに魔石を地面に置くように言い、すぐさまこの場に転移をしてきた。


「これが完全体の悪魔の揺り籠かね」


 オリバーは少し距離をとって観察をしている。そして、陽子はシェリーの背中に隠れてオリバーの様子を伺っていた。


「正確には文字化けしてて『揺り籠』しか読めない」


「モジバケ?」


 オリバーはシェリーの言っている意味がわからず、振り返って聞いてきた。


「文字として形になっていないってこと。それで中身は半分完全体の悪魔で半分恐らくアーク族と思われるものだった」


「中を開けたのか?」


「今日の午前中の冒険者ギルドで受けた依頼で同じものがあって開けてみた」


「それで俺を呼び出したのはなんだ?」


 オリバーは中身を知っていて、なぜわざわざ己を呼び出したのかと尋ねた。知っているのであれば、呼び出す必要はなかっただろうと。


「オリバーは知っていた?悪魔の正体を」

「知っていた」

「じゃ、次元の悪魔の正体は?」

「それも知っている」


 オリバーは10年にも及ぶ戦いの中で突如として現れた悪魔というモノたちの正体を突き止めていたのだ。


「じゃ、魔王は誰?」


 だれ(・・)?シェリーは何かを確信して言葉にしている。そのシェリーの言葉にオリバーは口を歪めるように笑った。その事は何も教えていなかったというのに、気がついたことがあるのだろうと。


「シェリー。それは何を意味するのかわかって言葉にしてるのかね?」


「わかっている。全てが人為的に作られた存在。なぜ、次いでに元凶を潰さなかったわけ?」


 その言葉にますます笑みを深めるオリバー。


「神々はおっしゃった。まだその時ではないと。シェリー、シェリーの考えている答えには恐らく肝心な事が抜けている。よく考えてみるといい。全ての中心は何処にあるかと」


 シェリーの行き着いた答えの方向性は間違ってはいないが、中心となる何かが抜けていると。中心、それは魔王ということだろうか。恐らくそういうことではないのだろう。



いつも読んでいただきましてありがとうございます。


別のサイトで書いたものになるのですが、時代背景はナオフミの勇者全盛期の時代です。悪魔に蹂躙される村から逃げる主人公のSSSの短い話です。

ご興味があればこちらからでもマイページからでも読んでいただければと思います。


『星神ステルラに願う』

https://ncode.syosetu.com/n8356ia/



これは出されたお題に沿って書いたものになりますが、ぶっちゃけ全然読まれない!悔しいので、なろう様でも投稿します。

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