第九十話『ポンポロリンにゃんとのお喋りにゃん』
第九十話『ポンポロリンにゃんとのお喋りにゃん』
どしん! どしん! どしん! どしん!
ぴたっ。
「ふにゃ。とまったのにゃん。
てっきり踏み潰されるものと覚悟していたのにゃけれども」
「ガガガガガ」
「おっ。口を開いてにゃにやら音を立て始めたのにゃん」
くるっ。
「にゃあ、ミストにゃん。アレって」
「ひょっとしたら、話をしたいのじゃないかしら」
「話といってもにゃあ」
くるっ。
「にゃあ。ポンポロリンにゃん。それではネコには判らにゃいのにゃん。
にゃんか会話をスムーズにこにゃす道具とか手段はにゃいのにゃん?」
「ガガガガガ」
「にゃんと。声のみにゃらず、ジェスチャーまで始めたのにゃん」
「ガガガガガ」
「ふむふむ。これを耳に当てろ、というのにゃん?」
「ガガガガガ」
「ふぅぅむ。
真ん丸にゃもん二つが弧を描く平べったい板で繋がっているのにゃん。
今のところ、にゃにをどうしてくれる道具にゃのか、
さっぱりのぱり、にゃのにゃけれども……。
とにかくにゃ。左右の耳に当てられるようにすればいいのにゃん。
にゃったら、板部分は頭の後ろに回して、と。
うんにゃ。これでいいにゃん。
ちと安定感が乏しいきらいはあるのにゃけれども、
まぁにゃんとかお耳とくっつけられたのにゃもん。
これでよし、としようにゃん」
「あぁあ。本日は晴天なり。本日は晴天なり」
「ポンポロリンにゃん。マイクのテストじゃにゃいのにゃよぉ」
「やれやれ。判っちゃいないのね。
――それはそうと、どうしてマイクのことなんて知っているのかしら?
――まぁいいわ。わたしにはどうでもいいことだし。
今あなたが耳につけているモノのテストをしているのよ。
それは『翻訳ヘッドホン』といってね」
「にゃんと! 婚約にゃんて。一体誰とにゃん?」
「それはもちろん……じゃなくって。
『翻訳』よ。『翻訳ヘッドホン』
リアルタイムでわたしの声を、
あなたにも理解出来る言葉に換えられる希少価値満点の秘密道具なの」
「あんたが造ったのにゃん?」
「そう。やれば出来る子なの」
「にゃんでミストにゃんの声色と口調にゃのにゃん?」
「彼女がひんぱんに声をかけてくるから。
知らず知らずのうちにこうなっていたわ」
「そういえば、鳥類にもそんにゃもんが居たにゃあ。
すると、あんたって見かけはネコでも本当は鳥類にゃん?」
「違うわ。ぷよぷよ水よ。どんな姿かたちであってもそれは変わらないわ」
「まぁにゃんでもいいにゃん。
ところで、と。
あんたに命を授けたのは誰か?
にゃあんてこれっぽっちも知らにゃいし、
知りたいとも思わにゃいのにゃけれども、
みんにゃが迷惑しているのは事実。
黙って見過ごすわけにはいかにゃいのにゃ。
にゃもんで、
おとにゃしくして共存する道を歩んではもらえにゃいのにゃん?」
「……そう。迷惑だったの。知らなかったわ。
毎日毎日、壊しっ放しの光景を目の当たりにしていたもんだから、
てっきり喜んでもらえているとばかり」
「にゃって大騒ぎしていたにゃろう?」
「お祭り気分を味わっているんだ、と思っていたの。
楽しんでいるんだって。
でもぉ。錯覚だったのね」
「にゃったら、おとにゃしくしてくれるのにゃん?」
「喜んで」
「にゃあ、ミストにゃん。今の会話、聴いていたにゃろう?」
「ええ。わたしの声色と口調を苦々しく思う半面、
『希望』が芽生えたことについては素直に喜んでいるわ」
「にゃらウチのお役目はこれで終わりにゃん。
あとはミストにゃんやドナにゃんに任せたにゃよ。
にゃんとか双方が折り合える案を考えてにゃ」
「最善は尽くしてみるつもりよ。どこまでやれるかは判らないけどね。
ミアン、いろいろとありがとう」
「にゃあにぃ。困った時はお互い……まぁいいにゃん。
にゃって本当の本当に、お互いさまにゃもん」
のっし、のっし。
「一応、ハッピーエンドで戻ってはこられたのにゃけれども。
どうして、『ぷよぷよ水が命を授かったのにゃん?』については、
全くもって判らにゃかったにゃあ。
まっ。この世の全てが解明出来るもんばかりでもあるまいから、
それはそれで構わにゃいのにゃけれども」
のっし、のっし。
「ミアン殿。それは多分、製作者の思いなのでは?」
ぱたぱたぱた。
「ぷよぷよ水は濃厚な霊水の塊。
したがって製作に使う量が多ければ多いほど、
その造られる個体が所有する霊力も増大していく。
強くなっていくのだ。
そこに気持ちが込められれば、命が宿らないともかぎらない」
「にゃあるほどぉ……ふにゃっ! ミロネにゃん!」
「驚かしてしまったか?」
「ちょっとにゃ」
「それは済まない」
「いつからウチの隣で飛んでいたのにゃん?」
「ついさっきだ。なんかぶつぶつと呟きながら下を向いて歩いていたから、
木にでもぶつかったら、と危ぶんで、くっついていたのさ」
「そんにゃあ。いくらにゃんでも木にゃんかにぶつかるわけが」
ごつん!
「痛いのにゃん! 痛いのにゃん! 痛いのにゃん!」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「最上級の実体波ゆえに、か。
痛覚もナマネコのそれと同じくらいの感度とみた。
……とまぁ観察はこれぐらいにして。
ミアン殿。よそ見のお喋りも不用心だ」
「あんたのせいにゃん!
んもう、痛いのにゃあん。ぐすん。
にゃんで早く教えてくれにゃいのにゃん?」
「そうだったな。悪かった」
ぺこり。
《頭を下げられたって……ぐすん……痛みは消えにゃいのにゃん》




