第六十三話『オーブン始動にゃん』
第六十三話『オーブン始動にゃん』
「にゃあ、ミムカにゃん。
使い方はどうにゃっているのにゃん?」
「それが、ですねぇ。
なにも今回にかぎったことではないのでありますがぁ」
「にゃに?」
「掘り出した遺物って、そのどれもが用途不明のありさま。
『取扱説明書たぐいのモノは一切ない』というのが、
悲しいかな、常識となっていましてですねぇ。
手探りで答えを見つけ出していかなきゃならないのでありまぁす」
「難儀にゃ話にゃん」
「ただ、オーブンに関してはですねぇ。
『食材を入れたあとは温度と時間を設定して、
『開始』ボタンを押すだけで、温かい料理が造れるのです』
みたいな記述が古書の一部から発見されているのでありまぁす」
「それってこれじゃにゃいの?
ほら、オーブンの下側にくっついている、ふたつの『つまみ』にゃ。
ええとぉ、左側から、『温度』にゃろう、『時間』にゃろう、
でもって一番右側にあるのが……そうにゃ。これが『開始』ボタンにゃ」
「電源コンセントはですねぇ。
恵力を蓄えた岩石と繋がっているコンバート装置へ、既に差し込んでありまぁす」
「にゃら、いよいよ始めるのにゃん。
まずは温度にゃ。
そうにゃにゃあ、食材も多いし、料理も早く終わって欲しいもんで、
よぉし、一番右まで回すのにゃん」
ぐりぐりぐりぃっ。
「でもって、お次は時間にゃ。
みんにゃあ、どれくらいにゃら待てるのにゃん?」
「オレは一時間ぐらいなら」
「ボクは三十分かな」
「わたしは十分」
「そうでありますねぇ。ミムカはなんとなく一時間ぐらいで」
「アタシは二十分なのわん」
「私は四十三分と二十一秒。
……えっ。そんなに細かい設定は出来ませんか?
ならば、妥協して一時間でお願いします」
「ええと、一時間にゃろう、でもってお次は三十分……ええい、面倒にゃ。
こうにゃれば、みんにゃの間をとって四時間にゃん」
「ちょっと待て、ミアン殿。それは合計」
「待てにゃいのにゃん。
ネコにはそれがガマン出来にゃいのにゃ。
さっきから回したくて回したくてうずうずしていたのにゃん」
ぐりぐり。
「ふにゃ。四時間もにゃいじゃにゃいの。
しょうがにゃいにゃあ。それにゃら、こちらも目一杯右に回すのにゃん」
ぐりぐりぐりぃっ。
「ふぅ。ここまでの作業は極めて順調にゃん。
あとは……にゃんと! 目を疑う光景にゃん。
温度、時間と、数々の難関を乗り越え、ついに感動のラスト。
今、その瞬間が訪れたのにゃん。
にゃら早速、『開始』ボタンを……ふにゃ。ダメにゃん。
高ぶる気持ちが指を震えさせてしまうのにゃ。
ええい、ままよぉ……ふにゃん。
間違ってミムカにゃんの鼻を押してしまったのにゃん。
ふにゃふにゃふにゃ。
待て。待つのにゃ。心鎮めるのにゃん。冷静に、常に冷静ににゃ。
さぁ瞳を閉じるのにゃん。
でもって、いつもの、のんびり屋さんの自分を思い浮かべるのにゃ。
ミーにゃんに足蹴りされて、倒された自分の悲劇を想い出すのにゃん。
……………………………………………………おっ。
どうしてか震えがとまったのにゃん。にゃら今こそチャンスにゃあ!」
ぷちっ。
ごごごごごぉっ!
「ふにゃっ!
ミムカにゃん。にゃあんか怒っているみたいにゃのにゃけれども」
「いえ、恐らく、……といういい方になってしまいますですがぁ、
無事に『スタート』したのではありませんですかぁ?」
「ということはにゃ。ここまでは正常ってわけにゃん」
「まぁ一応は」
「にゃら、ミーにゃん」
「うん。判っているわん。みんなも用意はいいわん?」
おおうぅっ!
「じゃ、いっくよぉ。せぇのぉっ!」
『ばんにゃあぁい! ばんにゃあぁい!』
「でもさ、ミアン。あと四時間もあるわん」
「そうね。ちょっと長いわね」
「ミスト君。ちょっとどころじゃないよ」
「だったら、みなさんも妄想に耽ったらいかがですか?」
「ミリアと一緒にしないでくださいませですぅっ」
「まっ。
オレとしては保守空間というお務めがら、待つことには慣れているが」
「確かに料理が終わるまで、このまま、っていうのもにゃ。
ムダの極み、のようにゃ気がするのにゃあ」
「なら、どうするわん?」
「そうにゃにゃあ」
ころころころころころ。
「あれっ? 果物らしきモノが転がっていくのわん」
ころころころころころ…………ふわぁんふわぁんふわぁん。
「念動霊波で空中に上げて、と」
ふわぁんふわぁんふわぁん。
「ふむふむ。外観は真ん丸で淡い緑色かぁ。
でもってサイズは小ぶりで、網目のような模様が全体に描かれているわん。
となれば……うん。
これは霊果実『にゃめろん』に違いないのわん。
でもどうしてこんなところに…………はっ!
ひょっとして誰かが入れ忘れたのかもしれないわん。
ああでもぉ、たとえそうだとしても、あとの祭りなのわん。
今から入れるにしたって、もう動いているし。
そもそも入り込む余地すらないのわん。
まっ。しょうがない。このままにしておくのもなんだしね。
悪くなってもいけないから、これはアタシが頂くことに……あああっ!」
「ふにゃん!
ミーにゃん、急に大声をあげにゃいで欲しいのにゃけれども」
「そうそう。これよこれ。ミアン、これがいいわん!」
「んもう、ミーにゃんったらぁ。
『にゃめろん』にゃんか掲げて、一体どうしたというのにゃん?」
「どおぉ? ミアン 霊果実『にゃめろん』の争奪戦っていうのは?
戦い方は……そうよ! 『騎ネコ戦』がいいわん!」
「にゃに? 騎ネコ戦って?」
《にゃあんか話が脇道にそれていくように、つづくのにゃん》




