第五十三話『寝相のせいにゃん』
第五十三話『寝相のせいにゃん』
がばっ。
「ふわあぁぁいっ。良ぉくおネムしたのわぁん。
さてと。
それじゃあミアンに気づかれないうちにここから早く……うわん!」
ぎゅうぅん。くるくるくるぅっ、まきまきぃっ。
「尻尾に巻きつかれてしまったのわぁん!
一体アタシをどうするつもり……おおっ。
延びた尻尾が前のほうへと移動していくわん。
なぁんか手でしっかと握られたような感覚で安心なのわん。
とかなんとかいっている間に」
「ふわああぁぁんにゃ」
「うわん。ちょっと戦慄。
大っきく開いた口がドアップなのわん」
「やれやれ。便利な尻尾なのわん。
大あくびしたミアンの顔の前でアタシをとめるなんて」
「ウチの尻尾にゃもんでにゃ。……にしても不思議にゃん」
「なにが?
どんな不思議があったというのわん?」
「にゃってそうにゃん。
ウチがうとうとし始めた頃には、
ミーにゃんはとぉっくに自分のゆりかごの中でおネムしていたじゃにゃいの。
にゃのににゃんで、
かけぶとんごとウチの背中で、すうぅっ、すうぅっ、していたのにゃん?」
「あわわ。ええとねぇ。それはねぇ。ううん、なんといったらいいのかなぁ。
……はっ! そうそう。寒かったからなのわん」
「こんにゃにもあったかいのに?」
「そうよねぇ。そうなのよねぇ。あいにくと。
うぅんとぉ、だったらぁ……はっ!
これよこれ。寝相よ。寝相が悪くて、それでこうなってしまったのわん」
「んにゃアホにゃあ」
「アホでもなんでもそうなのわん。
だからね。
ベッド代わり、だなんて、これっぽっちも『思って』いないわん」
「あのにゃあ。『思って』いにゃいのに、
にゃんでそんにゃに、すらすら、といえるのにゃん?」
「ミアン。アタシは考えて喋るタイプじゃないのわん。
なにか喋ろうとするだけで、
『じゃあ、これはどうなのわん?』って知識のほうから提示してくるのわん。
生まれつきの天才、といっても過言ではないのわん」
「ミーにゃんミーにゃん。あんまり無理をしてはいけにゃいのにゃよぉ。
生まれつきの『アホ』にゃらともかく、『天才』はにゃ。
ミーにゃんにとって、ちと荷が重すぎるのにゃん」
「てへっ。やっぱミアンもそう思うわん?
実はね、アタシも喋り終わってから、はたと気がついたのわん。
いささかやりすぎたかなぁ、って」
「にゃら、やっぱウチをベッド代わりに思っているのにゃん?」
「えっ。……んなことはないのわん。
そっちは寝相のせいで間違いないのわん。
最後の悪あがきなんかじゃないのわん。
誰が聴いても、アタシが聴いても、
『あのにゃあ』な話とは判っているわん。
それでも間違いないから信じていいわん」
「あのにゃあ」
「いいえ、ミアンちゃん。あり得る話よ」
ひょん。
「ふにゃん! もうひとりのミーにゃん!
……じゃにゃいにゃ。イオラにゃんにゃ。
にゃんであんたまでがウチのお腹にしがみついているのにゃん?」
「背中よりもこっちのほうが暖かいかなぁ、と思って」
「そうじゃにゃくって。
ご自分の超超高級羽根布団で寝ていたのに、にゃんでそこにいるのにゃん?」
「そうねぇ。ミーナちゃんと同じかしら。
この時期って、寝相が悪くなるのよねぇ」
「うんうん。アタシもそう思うわん」
「あのにゃあ。
棲み家とはいえ、見た目にも『精霊の間』は果てしにゃい空間にゃ。
にゃのに、にゃにが悲しくて、
ウチの身体にまとまらねばいけにゃいのにゃん?」
「寝相が悪いとね。無意識ながら安心を求めちゃうものなのわん。
でもってなぁんかここに居ると、安心するのわん」
「ワタシもなの。ワタシ自身が安心出来ない存在だから余計ね」
「守護神様がにゃにをいっているのにゃん?」
「ちっちっちっ。
ミアンちゃん。真実には抗えなくてよ。ねっ、ミーナちゃん」
「そうそう……ふわあぁぁいっ。
おっ。あくびが出ちゃったのわん。
つまらない話に没頭したせいかなぁ。
ふわあぁぁいっ。
もうダメ。なぁんかまたおネムしたくなっちゃったのわん」
「ふわああぁぁっ。
あら。どういうわけか、ワタシの口からもあくびが」
「イオラ。だったら一緒に」
「そうね」
すうぅっ。
すうぅっ。
「あのにゃあ。ネコを挟んでおネムるにゃあ!」
「やれやれ。ふたりとも、ぐっすり、とおネムにゃん。
どちらも幸せそうにゃ。
羽化登仙の夢でも見ているみたいにゃん。
ふわああぁぁんにゃ。
おや、とうとうウチもにゃ。
どうやら、あくびもおネムも染るみたいにゃん。
にゃもんでウチも……ふわああぁぁんにゃ」
すうぅっ。すうぅっ。




