第二十六話『にゃぜにゃにミーにゃん』
第二十六話『にゃぜにゃにミーにゃん』
「誰もが待ちに待った、『にゃぜにゃにミーにゃん』の始まりにゃああん!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「ウチらの疑問に答えてくれるのはもちろんこの方。
イオラの森のお姫様にして、みんにゃのアイドルでもある、
ミーナことミーにゃんにゃあ!」
「えっへん!」
おうおうおう! ひゅうひゅうひゅう!
「にゃらイオラにゃん。みんにゃを代表して花束の贈呈を頼むにゃん」
「光栄だわ」
いそいそ。
「おめでとう、ミーナちゃん」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「続きましては……ええと……続きましては……ふにゃ?」
「にゃあ、イオラにゃん、にゃんにゃったっけ?
にゃあんか頭が真っ白ににゃんてしまったのにゃん」
「あらまっ。
ミアンちゃんったら、柄にもなくあがっちゃったのね。
でもまぁ良くあることだから。
冷静に。取り敢えず、冷静に。ってことで」
ひそひそひそ。
「そうにゃん!
ウチとしたことがまた、にゃんたる……おぉっ、と。
後悔の念に苛まれている場合じゃにゃい。
今やらにゃければにゃらにゃいのは」
「みにゃみにゃさま。
ただいまイベントの進行を妨げる不具合が生じましたことを心からおわびするのにゃん。
何卒、『極上』との呼び声も高いウチのスマイル……にっこり……をもって、
お怒りを鎮めて頂きたく、謹んでお願い申し上げます次第にゃん」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「これはこれは。お優しいお心遣い。痛み入るのにゃん。
……ってにゃことで。
続きましてはミーにゃんからのごあいさつにゃん。
セリフはとぉっても短いのにゃけれども、真心のこもったあいさつにゃ。
そこんところをよろしくにゃん」
「ええとぉ……ごっほん。
ご来場のみなみなさま。不肖ミーナ。期待は裏切らないわん!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「にゃら早速。
博学にゃるミーにゃんに、一つお尋ねしたき儀があるのにゃけれども」
「任せてよ。なんなりとお聴きなさいわん。
判ることは教えられるけど、判らないことは全然教えられないのわぁん」
「にゃんとも素晴らしいのにゃん。
その、ヨモギ団子の串を、すぱぁっ、と真っ二つにしたようにゃ物言い。
道理で、あらゆる命を虜にしてしまうはずにゃあん」
「ふふぅん。それほどでもないわん、ってしまったぁ!」
「みなみなさまぁ。
大変心苦しいのだけど、『にゃぜにゃにミーにゃん』は、ちょっとストップわぁん!」
「こともあろうに、初っ端で困ったことになってしまったのわあぁん」
「どんにゃ?」
「んもう。いい出しっぺが、なにいっているのわん?
ヨモギ団子の串よ。当ったり前じゃない」
「はて? にゃんのことをいっているのにゃん?」
「可愛げに首をかしげて、しらばっくれるのもいい加減にして欲しいわん。
たった今、
『ヨモギ団子の串を、すぱぁっ、と真っ二つにした』
なぁんて、おかしさ満載のセリフを口にしたばかりじゃない」
「ああ、アレのことにゃん」
「やっと想い出したのわん?
相談者が質問を忘れるなんてぇ。ふぅ。先が思いやられるのわん」
「ちょっと待つのにゃん。アレは質問でもにゃんでも」
「いいわけ無用! なのわん。
なぁんか、いきなり、ぐったり、ときてしまったわん。
本当、どうしようもないわん。
あまりにも疲れたから、ここいらでちょっと一休みタイムにするのわん」
「にゃんと!」
「もぐもぐ。ごっくん。
さてと。ミアンのえびふらいも横取りしたし」
「みなみなさまぁ。長らくお待たせしましたのわあぁん!
熱い要望に応えて、『にゃぜにゃにミーにゃん』を再開するのわあぁぁん!」
「しくしく」
「ミアン、いつまでも打ちひしがれている場合じゃないわん。
過去は過去。綺麗さっぱりと忘れて、手と手を携え、輝く未来へと向かうのわん!」
「しくしく。あのにゃあ。しくしく」
「こうしてミアンも立ち直ったことだし」
「ぐすん。立ち直ってにゃんかいにゃい。ぐすん」
「うん? なにかいったぁ? さぁっぱり聴こえなかったのわん」
「もういいにゃん。ぐすん」
「そおぉ? だったらこのまま話を進めるのわん。
ええと、どこまで……。
いいや。面倒だから、『こうして』からにするとしようわん」
「ごっほん。
こうしてミアンも立ち直ったことだし、
前回やり残した宿題を片づけるとするわん。
確か……ミアンの要望ね。
良かったじゃない、ミアン。早速やってもらえて。ラッキーなのわん。
ということで。
『ヨモギ団子の串を、すぱぁっ、と真っ二つにした』
これを深く考察してみようと思うのわん。
まずは『ちまたの声』を幅広く聞く必要があるのわん」
「ねぇ、ミクリン。ヨモギ団子の串を真っ二つにするのをどう思うわん?」
「幾ら食べ終わったからといって、
そういうことをするのはなんとなく許せないものがあるね」
「貴重なご意見、ありがとうなのわん」
「ねぇ、ミリアん」
「私ですか? 私はですねぇ……」
「貴重なご意見、ありがとうなのわん」
「えっ。もうおしまい?」
「気にしないでいいわん。こっちも気にしないわん」
「お次は、と。やっぱり、ミストんかなぁ」
「わたし?」
「どう思うわん?」
「接着剤でつけてみたらどうかしら?
そういえば、つい最近のことよ。
やって欲しそうだったから、わたしが真っ二つにしてあげたの。
なのにミアンったら、アレを使って大急ぎで修復しちゃって。
こちらの善意がムダになってしまったわ。ふぅ」
「アレはね。アタシがミアンにあげたものわん。
どおぉ? すっごい効き目だったでしょ?」
「なぁんか姿かたちが出来損ないのおもちゃになっていたけどね」
「ということで早くも時間切れ。貴重なご意見、ありがとうなのわん」
「待ってました、のミムカんはどう思うのわん?」
「おおうぅ。喋る前に、こちらのセリフを分捕られてしまいましたですねぇ」
「しょげなくたっていいわん。
本命はこれからだもん。
さぁミムカん。思いの丈をぶちまけるのわぁん」
「それじゃあ、僭越ながら不肖ミムカが……ごっほん。
なにを隠そう、ミムカは、『森の妖精』なのでありまぁす!」
「自称なのわん」
「なにかいいましたですかぁ?」
「なぁんにも。
とまぁ決まったところで、貴重なご意見、ありがとうなのわん」
「ドン尻に控えしは……誰だっけ。
あっ、そうそう。泣く子も黙るミロネん。
『ヨモギ団子の串を、すぱぁっ、と真っ二つにした』
これに対する意見を率直に聴かせてもらいたいのわん」
「そうだなぁ。やってみないとなんともいえないが……。
元々、正確に真っ二つにするのは至難の業。
ましてや、横に、ならまだしも、縦に、ともなれば、
難行苦行の修行を避けては通れまい。
とてもじゃないが、オレに出番はなさそうだ」
「無念の思いを感じさせる貴重なご意見。ありがとうなのわん」
「以上のインタビューとアタシの博学を組み合わせた結果ぁ、
ついに一つの結論に達したのわん!」
じゃじゃじゃああぁぁん!
「串団子の縦に真っ二つは……、
『許せないし』『面倒だし』『難しいし』
などなどなどの意見に鑑みぃ。
ずばりっ」
『やめたほうがいいわん!』
「ふぅ。我ながら決まったのわん。
ミアンも、どおぉ? この最終判断は?
なかなかのものじゃない?」
「しくしく」
「涙するほど、感動したなんて。
やって良かったわぁん。努力した甲斐があったというものわぁん」
「ミーナちゃん。そろそろお時間が来たみたいよ」
「ええっ、もおぉ?
でもまぁ仕方がないか。
ミアン、お時間だって……あれっ。まだ泣き続けているのわん。
しょうがない。だったらアタシが代わりにやるわん」
「じゃあ、名残り惜しいけど、今回はここまでとするわん。
それでは、ご来場のみなみなさまぁ」
「『にゃぜにゃにミーにゃん』。これにて終了ぉっ!」
「次回の開催は未定だけど、出来たらぁ……また逢おうわん。
ならそれまでは……ううっ、と涙ぐんで」
「さよなら、なのわぁん!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「ウチのえびふらいにゃん……ぐすん。
ついさっきまで、このお皿にのっていたのににゃあ。ぐすん」
「その恨みと怒り、わじが引き受けても良いのぎゃん」
ゆらゆらゆらぁっ。
「だ、誰にゃん! 波打つ黒塗りのあんたは!」
「これはこれは。失礼おばいたしましたのぎゃん」
しゃきぃん。くっきり。
「見たところ、白黒ぶちねこ、みたいにゃのにゃけれども。
その赤い目は……、ひょっとして妖魔にゃん?
ああでも、妖魔にゃったら、ここには入れにゃいはずにゃ。
にゃのに、どうして」
「妖魔? 失礼な!
わじをあんな弱き輩と一緒にしてもらいたくないのぎゃん」
「にゃら、あんたは?」
「魔物は魔物でも、貴様らがいうところの『精霊』に匹敵するレベルの存在ぎゃ」
「にゃんと!」
「自己紹介させてもらうぎゃ。
わじの名は『ジュリアン』。霊魔ジュリアンぎゃん」




