第二十五話『謎の刀の正体にゃん』
第二十五話『謎の刀の正体にゃん』
ぴきぃん!
「ふにゃ。全身の青き光が刀へと流れていくのにゃん」
「あっ。たちまち刀のほうも同じぐらいの輝きとなったわん」
「ミクリ。それぐらいで十分じゃろう」
「だね。それじゃあ」
ぐぃっ。
するするする……。
「たいしたものわん。あんなに力を込めてもダメだったのに。
なめらかに引き抜かれていくわん」
「さっすがはミクリにゃんにゃ」
「うむ。わしもあやつの力は認めねばならぬ」
「これで……終わりだぁ!」
ずぼっ!
「やったぁ!
ほらほら。見てよ、これ。
どぉんなもんだい。
ボクが本気を出せば、『支配の刀』の一つや二つ……………………おや?」
「うん? なに首を傾げているのわん?」
「おっかしいなぁ。
伝説に依れば、引き抜いた途端、金色に輝くはずなんだけどぉ。
ご覧の通りさ。なぁんにも起きないよ」
「じゃあ、違うわん? 『支配の刀』っていうのは」
「ううん。どうなのかなぁ」
「ちょっと待つのにゃ。なにか起きそうにゃん」
「えっ」
まじまじ。
「やっだなぁ、ミアン君、全然変わっていないよぉ」
「ミアンったら、なにとんちんかんなことをいっているのわん?」
「起きそうにゃのは刀じゃにゃい。刺してあった穴のほうにゃん」
「穴だってぇ?」
ぶくぶくぶくぶくぶく。
「ほら。にゃあんか水の泡みたいにゃものが湧き上がってきたのにゃん」
「本当。ミアンのいう通りなのわん、っていうか」
「どうしたのにゃん?」
「気のせいかなぁ。どんどん勢いが強くなっていくような……」
「はっ!
い、いかん! ミクリ! みんなを早くここから退避させるのじゃ!」
「じっちゃん。どうして急に……はっ!
そうか。そういうことだね。
ミーナ君、ミアン君。早く地上に戻るんだ」
「どうしたのわん?」
「どうしたのにゃん?」
「わけは明日にでも話すよ。
お願いだから、今直ぐにここから飛び出すんだ!」
「ミーにゃん!」「ミアン!」
こくり。こくり。
「ミクリにゃん。にゃにがにゃんにゃかさっぱりにゃのにゃけれども、
ここはいう通り、地上に戻るのにゃん」
「アタシも」
「呼びつけておきながら、あたふたさせちゃってごめんね。
ことがことだから、地上への直通路を開けたよ。
真上にあるあれさ。ジャンプすれば楽に届くからね。
じゃあ、一刻も早くっ!」
「あんな別れ方をしたから、今日、逢えるかどうか心配だったわん」
「ウチもにゃん」
「心配かけたみたいだね。ごめん。
一時はどうなるかと、こっちもひやひやもんだったけど……、
でもまぁ。ことなきを得て、ほっ、としたよ」
「一体なにがあったのわん?」
「やっぱ刀のせいにゃの?」
「全てが判った今だから話せるんだけどね。
あの刀は『支配の刀』なんかじゃなかった。
奇っ怪獣を動けなくするためのものだったんだ」
「にゃんと!」
「そうだったのわん」
「これもだいぶ昔の話らしいんだけどぉ。
地上に降り注いだ雨水。霊水なんだけどね。
地中の一か所に溜め込まれていたそれが汚染されて、
驚くなかれ、水そのものが奇っ怪獣となってしまったんだ」
「そんにゃことが」
「地中に含まれる水を吸収しては、どんどん大きくなっていくっていう、
とんでもない『たち』の悪い奴でね。
地上地下問わず、相当な被害を被ったらしい。
水圧や波の力で土や石を削り取って、空洞の範囲をどんどん拡げていったばかりか、
地中の水を次々奪っていくから、土質も悪くなって、動植物も少なくなっていったんだ。
『これ以上の荒廃は防がなきゃ』って時の長老たちも思ったんだろうね。
手を打つことにしたんだ。その手段として選んだのが『封印』さ」
「にゃら」
「あの刀って封印だったのわん?」
「そういうことだね。
あらかじめ目星をつけていた穴から、奇っ怪獣となった霊水が噴き出し始めたんだって。
あとは……いうまでもなく判るよね。
しめたとばかりに突き刺した結果、森に平和が戻ってきた、というわけさ」
「にゃのに、ウチらが抜いてしまった」
「封印が解かれたことで、奇っ怪獣は目覚めたわん。だから行動を起こしにかかった。
それがあの泡なんでしょ?」
「うん。じっちゃんがいち早く気がついたくれたおかげで助かったよ。
もう手遅れかと思ったけど、ぎりぎり、かな。
刀を元に戻したら、それ以上は湧いてこなかった。
噴き出した水も、奇っ怪獣の反応はなかったよ。
封印が再び発動した証拠さ。やれやれだ」
「ねぇ、じっさま。結局、『支配の刀』なんて、伝説か噂話にすぎないのわん?」
「あながちそうともいえぬ。
今回のミクリの決断と行動は実に素早いものであった。
わしを通じて、ではあるが、全長老に事情を説明。了解をとって、
地中ネコを集められるだけ集め、その霊力を穴へと集中的にぶつけたのじゃ。
おかげで噴き出しを最小限に留められた。
もしあれをやらなかったとしたら今ごろどうなっていたことやら。
一時的とはいえ、あの時、
ミクリは間違いなく、地中王に匹敵する存在となっていた。それは確かじゃ」
「にゃって、ミクリにゃん」
「よっ。エライわん! 地中王!」
「ふふっ。やめてよ。ふたりとも。
ボクは当然のことをしただけなんだからさ。
あの場に居合わせれば誰だって」
「いや。お前と同じ行動がとれるとはかぎらん。
今回に関していえば、もちっと自分を誇ってもいいと思う」
「じっちゃんまで。
……にしても、呆れたなぁ。あれには」
「にゃにかあったのにゃん?」
「引き抜いた刀の刃の部分に刻まれてあったんだ。
『これは封印にて抜くべからず』って。
あのさぁ。引き抜いたあとに判っても、あとの祭りじゃない。
だよね? ミーナ君、ミアン君。
大昔のじっちゃんたちって一体なにを考えていたのかなぁ」
「ミクリ。それこそがわしらの祖である証ではないか。
アホはな。肝心要のどこかが抜けておるものじゃ。そうであろう?
ふぉふぉふぉ」
「にゃはははっ。間違いにゃいにゃん にゃはははっ」
「きゃはははっ。思わず頷いてしまったのわん。きゃはははっ」
「はははは……でぇもさぁ。なぁんか複雑な気分だなぁ。
この際、ちっとは勉強したほうがいいかも……」
「にゃ、にゃんと!」
「びっくり発言わん!」
「やれやれ。不憫なことよのう。
わしは気がつかんかったが、恐らくは頭を打ったのじゃろうて」
「……しれないなんて決して思わないけどね」
『ほっ』




