第十九話『戦いすんで日が暮れてにゃん』
第十九話『戦いすんで日が暮れてにゃん』
「戦いは悲しみしか生まにゃいのにゃよぉ。
にゃあ、ミーにゃん」
「そうかなぁ。戦いから学ぶこともあるような気がするんだけどぉ。
ねぇ。ミクリんはどう思うわん?」
「強くなりたいのだったら、戦うしかない。
戦っておのれを磨くしかない。……なぁんてね。
ミロネ君の意見を聴きたいな。『戦い』について、なにか一言あるんじゃないの?」
「種類や程度の違いはあれ、命ある者にとって『戦い』はついて回るもの。
戦いを通して、知識や体力、そして性格が育まれていくのは否定出来ないと思う。
ミスト殿はどうお考えか?」
「戦い? ないに越したことはないわ。
でもね。時と場合に依ってはそれも必要だと思うの。
自分の信念を貫く手段であれば、わたしも行使するに躊躇しないわ」
「そうですよね。まさに我が意を得たりの発言です。ミストさん」
「ミリア……。あなたまたなにを」
「自分が正しいと思えば、
どんなに同好会の勧誘をしつっこくやっても決して罪じゃありませんよね?
許されますよね?」
「お願い。後生だからあなたと一緒にしないでくれない?」
「どうしてです? 似た者同士じゃないですか?」
「やめて。傷つくのは苦手なの。
ところで、と」
「さりげなく相手を変えようとしていますね。そうは問屋が……んぐっ」
「ふぅ。しばらくは、ぷよぷよ水に浸かっていなさい。
それで? ミムカはどう思っているのかしら?」
「ことは穏便に。戦いは避けるべきでありまぁす。
しかしながらぁ……、
そうですねぇ。やっぱりミストのいう通り、時と場合に依りますですかねぇ。
ねぇ、ミアン」
「あのにゃあ……。
みんにゃ、現状を把握しているのにゃん?
今、円陣を組んでいるウチらの目の前には大皿が一枚あって、
その上にはモンブランが一個残っているのにゃん。
正確には『モンブランもどき』にゃのにゃけれどもぉ。
造るのがにゃかにゃか難しいもんでにゃ。
希少価値がある、とみんにゃがみんにゃが認める代物にゃん。
これを誰が食べようかっていう話をしているのに、
にゃんで『戦い』の話へと逸れていくのにゃん?
さっきもいったように戦いは悲しみしか生まにゃいのにゃよぉ。
この話し合いにゃって一種の戦いにゃん。
延々と続けるもんにゃから、ほらぁ。
モンブランがどんどん硬くにゃっていくじゃにゃいの。
悲しみ以外の何物でもにゃい。
もう愚にもつかにゅお喋りはここまでにゃ。
聴けば、誰ひとり、『食べたい』とは主張していにゃい。
にゃらばウチが。みんにゃの苦悩を打ち消すためにも」
さっ!
「頂きますにゃあん」
ぱくっ!
「これはまたにゃんとも……。
甘みと渋みがハーモニーを奏でる絶妙の美味さにゃん。
時間の経過にて生まれた硬さもほど良いかぎり。
残り物には福があるとはまさにこのことにゃん。
でもって更に特筆すべきことは……。
みんにゃで食べるのも、それはそれで美味しいのにゃけれども。
あっけにとられて見つめるみんにゃの目にさらされにゃがら食べるのもぉ。
これまた格別にゃ味わいにゃあん」
ぱくぱくっ!
『こらぁっ!』




