表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
2章 学園生活と前衛VS後衛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/107

劣勢・・・デン君の意志

異変:開幕5分、作戦ナカマは蹂躙される

 開始の合図とともに、俺たち前衛組は即座に各所へ展開した。目標はただ一つ、後衛組に陣地を固めさせる前に叩き潰すこと。全PTがスピード重視で駆け抜ける。


「ジャックPT、先遣隊を確認!」


「偵察要因なら早めに叩くぞ!」


 通信魔法が入ったが、それは本来俺が会うはずだった敵だった。だが、その報告を最後に通信は瞬時に途絶えた。妨害を予測はしていたが、その対応速度はあまりにも異常。


(何かがおかしい。速すぎる)


 俺の脳裏に、氷のような不安がよぎる。直感的な確信だ。この戦い、俺の予測を遥かに超える何かが起きている。


「メロ、ここは任せる」


「えっ、ルーシュさん?」


 返事を待たず、俺は単独でパーティーから離脱した。高台に駆け上がり、戦場全体を見渡す。俺は「開始5分で後衛が準備完了すれば優秀」と言ったが、後衛たちはその基準を破り捨て、圧倒的な速度で陣形を完成させていた。まるで、こちらの位置、動きの全てを知っているかのように。


(無謀な攻め方をするはずがない。だが、この勢いは尋常じゃない。運や偶然ではない、これは情報を完全に握られている状況だ!)


 その思考を裏付けるように、突然、地を這うような大爆発音が響いた。


「チッ……ジャックのところか!」


 舌打ち一つで、俺は爆発音の方向へ急行した。


 五分後、森の中を逃げてきたジャックが、息を切らして倒れ込んでいた。


「おいっ、ジャック、どうなってる?」


「ルーシュ、最悪だ! 先遣隊じゃなかった。もう10人に待ち伏せされていた。多すぎる!」


「みんなは?」


「勝てる要素がなかった。クシィ、レイン、そしてティムズが……俺を逃がすために一人ずつ残った。お前が来てくれた。助けに行けるだろ!」


(10人……最初からジャックPTを確実に壊滅させるための集中砲火だ)


「ダメだ。戻らない。分が悪い。このまま引け、ロックPTと合流しろ」


「おい、ふざけんな! お前が仲間を見捨てるのかよ!」


「落ち着け! これは本当の戦いじゃない。だが、本当の戦いを想定しろ。作戦がバレているとしか考えられない。油断した。完全に戦術を読まれている。何者かの能力か、あるいは別の理由だ」


「作戦がバレてるって、どういうことだよ、ルーシュ!?」


「わからん。だが、作戦は今すぐ変更だ。各PTで判断しろ。ロックにも伝えろ、作戦が漏洩していると」


 熱くなるジャックを抑え、俺は単独で敵の勢力圏に向かう。


(クソ、なんでバレた? 始まってすぐの壊滅劇だ。ルール違反だろうが、確かめるしかない)


 移動中、後衛組の会話が耳に入った。


「作戦通り、一つ目のパーティーを壊滅させたな」


「おい、どういうことだ?」


 俺はティムズとジャックが別れた付近で、後衛の男を捕まえる。


「さっきの話、詳しく聞かせてもらう」


パチンッ。


・・・

「わかんねぇって。おれはリントが言ったとおり、向かってきたパーティーをやっただけだ」


「ちゃんと話せ。そのリントってやつは、なんでこの位置がわかった?」


 俺は一瞬で他の2人を退場させ、この男を尋問する。


「だから知らねぇって! あいつは時々よくわからんことを言うんだ。けど頭も切れるし、実力もある。俺らはそれに従ってるだけだ」


「この作戦はいつ聞かされた?」


「今朝だよ。昨日の昼までは違う作戦だった」


(全員が知らない。作戦を知っているのはリントだけか。学園3位。ここまで手の込んだ謀略を仕掛けてきたか)


「ありがとう」


パチンッ。


 指を鳴らし、こいつも退場させた。


(退場者は3対3。だが、こっちは主軸メンバーが抜けた。不利だ。だが、これで敵の核心が見えた)


 少しかき乱してやるか。



「いたいた。どうだ、様子は?」


 俺はロックパーティーと合流し、現状を報告した。


「おい、どういうことだ? 作戦がバレてるってのは?」ロックが鋭く問い詰める。


「わからん。だが、作戦を知るキーマンが一人いる。詳細は不明。今から作戦を変更する。作戦の裏をかく。この手の奴は、予測外の行動にはついてこれないはずだ」


 淡々と説明した後、俺は意図的な決断を口にした。


「ロック、ジャックの代わりにデンくんを借りるぞ」


「おう、それは良いが、そいつ元気ねえぞ」ロックは心配そうに言う。


「構わねえ。デンくんの力が必要だ。それと、たぶん今頃俺のパーティーが狙われている。メロを助けてやってくれ。頼むぞ!」


 デンを連れ、彼がついてこれるギリギリのスピードで走り出す。


「ルーシュさん、俺……」


「何も言わなくていい。ただついてこい」


「はい……どこに向かうんですか?」


 デンは何か言いたげだが、俺は聞かずに走り続けた。


 突然、モニターに「現在の生存者数」が映し出される。前衛15人、後衛17人。


(やはり、メロのPTが狙われている)


「デン、頑張れ!もっとスピード上げろ!」


「無理ですって……早すぎます!」


「うるせえ! ここからは敵も出てくる!」


「見つかってもほっといてくれるぐらいの速さで抜けるって!」


「敵って? さっきから一体どこ向かってるんですか?」


「敵本陣だ。理由はわかるな? 死ぬ気でついてこい」


「え…………あ……はい」


 デンは怯えながらも、俺の背中を追う。


「ピコン」


 前衛13人、後衛13人。後衛が一気に減少した。


(リリス達か! やってくれたな。後衛の連中、油断したな。あそこは化け物揃いだ)


「デン、捕まれ。飛ぶぞ!」


「ええぇ?」


 パチンッ。俺は本陣付近で索敵し、敵が気づく前に古代魔法の起動力で一気に飛び込んだ。

 


「よぉ、スザク。知らないとは言わせないぞ」


 俺が本陣の背後から出現すると、後衛の精鋭たちは一瞬でパニックに陥る。


「ほら、デン、話せ!」


 抱えていたデンを突き飛ばす。


「何のつもりだ?」スザクがこちらを向き、戦闘態勢に入る。


「何だその雑魚? 何の用だ? もう殺られに来たか?」


(こいつ、戦ってる時の悪役ムーブは天下一品だな)


「デン」


 俺はもう一度デンの名を呼ぶ。ビクッとしたデンは、震える声で言った。


「すいません……話すも何も……なにもないです」


「茶番は終わりだ。消されたいのか?」


「デン、言わないといつまでもこうだぞ」


「……す、すいません!ルーシュさん!」


 顔を下に向けたまま喋るデン。その表情は、不安と自己嫌悪の影に怯えている。


「おれは昨日、そこの眼鏡の人に乱暴されました。作戦を言わないと痛めつけると……最初は断りました、本当です。でも、あちこち殴られて、痛くて悔しくて、でも我慢できなくなって……このことを誰かに話せばもっとひどい目に合わせると」


 デンの拳は力み、目からは涙がこぼれる。


「でも今は……裏切ったこと、おれがチームのみんなを信用できなくて話せなかったことに後悔で気が狂いそうだ。伝えていたらまだみんなが脱落していなかったかも、おれがいないだけでチームは勝っていたかもしれないのに、おれは……おれは……」


「うわぁぁぁぁ!」


 デンは、スザクの後ろにいるリント(眼鏡)に向かって走り出した。


「何の話だ? 被害妄想か?」眼鏡リントは冷静に、走ってくるデンの顔面を殴りつける。


「いたた。昨日脅した?!後衛なのに人を殴るなんてしませんよ、怪我するでしょ。今みたいに」リントは嘲るように手を振った。


「お前、腐ってやがるな」俺はリントを睨みつける。


「怖い怖い。あなたは強いです、それはすぐわかりました。けどこの状況、逃げられると思ってるんですか?」


 増援は間近。俺とデンは数多の後衛精鋭に囲まれている。状況はまさに絶体絶命!


「おい」


 重い声を発したのはスザクだ。


「リント、説明しろ」


「はい? 何をですか? こんな奴らと知りま……」


 リントの言葉が終わる前に、スザクの鉄拳がリントの顔面に炸裂した。


 眼鏡が粉砕され、リントは血を吐きながら地面に崩れ落ちる。


「ちゃんと説明しろと言ったんだ! 俺は正々堂々と戦えと言ったはずだ。お前、何をした?」


 後衛たちは困惑し、俺も一瞬呆然とする。


ペッ。


 リントは地面に血交じりの唾を吐き出し、立ち上がった。


「こんな奴らと戦っても勝つのが見えているでしょ? でも、完璧に勝ちたかったもので少し作戦を聞いただけですよ」リントは全く反省の色を見せない。


「お前はいつもそうだ、賢いがずるい。しかし今回はやりすぎだ。それに、何だ? 勝つのが当たり前? 作戦を知っててもいい勝負じゃないか!」


 スザクの苛立ちは、俺たち前衛の成長と粘りを見せつけられたからだ。


「すまない、ルーシュ。もういい、俺たちの負けで……お前もすまなかったな」スザクはデンに手を差し出す。


「デン、これで良いのか?」俺がデンに問いかける。


「……よ……ん」


「聞こえんな」


「よくありません!!」


 デンはスザクの手を全力で振り払って立ち上がる。


「それでも俺たちは強い! 俺のせいでみんなに迷惑をかけた!でも、俺たちが勝てるってことをお前らに証明する! そして、眼鏡、お前は俺に謝れ!」


「だそうだ、スザク。手を抜かず、本気でこの勝負続けてくれるか?」


「良いのか? 後悔するぞ」


「ふん、私たちが負けるものか」リントが血を拭い、参戦を表明する。


 スザクは戦意を燃やし、リントは完全に怒りを買った。


 その時、凄まじい轟音が響いた。


「そ~~~~~~~~~れっ!」


ドゴォオオオオオオオオオオオン!!!


 直前までスザクがいた場所が、巨大なクレーターとなって粉々に吹き飛んだ。


「なんだ? ルーシュ、一人でパーティーを始めようってか?」


 土煙の中から現れたのは、リリスとジャック。


「この程度の破壊力か、後衛どもは」


 ノシノシと歩いてくるロックは、全身に硬度を極限まで高めた岩の鎧をまとい、地面を震わせる。


「おいおいおい……なんでお前ら三人ともここにいるんだよ!?」


 俺の驚きが声に混ざる。これは完全に予想外の展開だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ