5・香音の人気
5・香音の人気
昼食が終わり、香音と香織はベンチでのんびりしていた。
「あっ、そうだ!」
と、香織が何かを思い出し、ブレザーのポケットから十三通の手紙を取り出した。
「はいコレ、お姉ちゃん宛てのラブレター! 男子から十通、女子から三通! お姉ちゃんと別れて、此処にくる間に受け取った!」
そう言いながら、香織は香音に手紙を渡した。手紙を受け取ると、香音は呆れた様な溜息を吐きながら呟いた。
「またか・・・私は誰とも恋仲になるつもりは無いのになぁ・・・オマケに女の子にまで・・・」
「それだけモテるんだから、一回だけ誰かと付き合ってみれば?」
香織はそう言ったが、それは勿論本心ではなかった。
「・・・ダ~メ! 私には好きな人が居るの!」
「!・・・・・そ、そうなんだ・・・」
香織は香音に好きな人が居る事に、ショックを受けた。
「・・・そ、そういえば、さっき真由に・・・・胸・・・その・・・大丈夫だった・・・」
香織は無理に話題を変えたが、その話題は先程の真由の行為であった為、言葉を濁した状態で尋ねた。
「あ、うん! 感じちゃったけど、大丈夫だったよ・・・前みたいに、ブラも外れなかったし・・・!!! ああそれより! 香織クン相変わらず真由と激しいバトルするね!」
香音自身も、トンデモない発言をしてしまった為、慌てて話題を変えた。
「う、うんまあね! 今日まで二十三回戦って、十一勝十一敗一引き分けの状態だよ・・・」
其処まで言うと香織は、香音が持っている手紙を見た。
「お姉ちゃんはモテて良いね・・・僕は一度もラブレター貰った事ないよ(苦笑)」
「・・・そんな事ないよ! きっと何時か香織クンも貰えるよ♪ 何たって私の自慢の弟だもの♪」
そう言い香音は、香織を胸元に抱き寄せて、頭を優しく撫で始めた。他の男子が見れば、100%羨ましさ&嫉妬を受ける行為である。
「!!!!!」
香織は香音の胸の感触と甘い香りに赤面をし、抜け出そうとするが、ガッチリと抑え込まれている為に、脱出は不可能と認めてしまう。
「あ、あのさ、お姉ちゃん・・・」
「うん? な~に?」
香織が香音に尋ねると、漸く香音は香織を解放してくれた。
「何で何時もは僕の事『香織クン』なのに、和馬や真由の前では『香織』って呼び捨てなの?」
香織が訪ねると、香音はニッコリと笑いながら言った。
「それはね・・・お姉ちゃんは香織クンの事が一番大切だけど、皆の前では出来るだけ隠す様にしてるの! だって私が香織クンの前で『香織クン』って呼ぶのは、香織クンだけの特権にしたいから♪・・・・!・・・・そうだ! 何なら昔みたいに『香織ちゃん』って呼んでみる?」
「いや、それだけは・・・」
悪戯っぽい笑みを浮かべて言う香音に、香織は必至で拒否をする。いくら自分だけにしか言わないとはいえ、高校生にもなって「ちゃん」付けは恥ずかしすぎる。香織は以前から、姉は『ブラコン』ではないかと感じている。
「うふふ♡ 冗談よ♪」
と、笑いながら香音は言う。
とその時、先程とは違う曲が、香織の携帯から流れた。
「うん? メール・・・」
香織は携帯を開いて、メールを確認した。
受信:12:40
送信者:直也
件名:面白いもの
今面白い事を、教室で行ってるから来てみろよ!
という、直也からの短文のメールであった。
「なんだろ、面白い事って?」
「気になるから、行ってみましょ♪」
香織がメールを見せながら言い、メールを見た香音が答える。そして二人は自分達の教室に向かった。




