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マイナーディズニーランド  作者: 三五タツヤ


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14/17

摩利支天の宴③

♩Mai Pen Rai

——-





!!


————


—-


-



宴が始まってしばらくすると、


街の灯りが遠く下に広がり始めた。


地上では誰かが仕事を終え、

誰かが恋人と歩き、

誰かが明日の不安を抱えて眠ろうとしている。


だがその屋上だけは、

少し時間の流れが違っていた。


マロンのマジックは相変わらずだった。


コインを消したと思えば、

客の思い出を取り出し、


カードを切ったと思えば、

未来の冗談を先に披露する。


姫は笑い、


ジンは静かに頷き、


チャンは

ビールを楽しむ。


ボスは

そんな光景を眺めながら

珍しく黙っていた。


ふと、


「なあ。」


とボスが口を開いた。


「ここは何なんだろうな。」


誰に向けた言葉でもなかった。


マロンはグラスを磨きながら笑う。


「テーマパークですよ。」


「こんなボロいテーマパークがあるか。」


「あるんです。」


そう言ってマロンは夜空を指差した。


「有名な場所はみんな知っている。


でも本当に面白い場所は、


地図に載らない。」


風が吹いた。


遠くで汽車の音が聞こえた。


「ここに来る人は、

何かを失った人が多いんですよ。」


マロンは続ける。


「夢だったり、

仲間だったり、

本来の自分だったり。」


誰も言葉を返さなかった。


その代わり、

それぞれが少しだけ思い当たる顔をしていた。



-


ホクホクの出来上がった料理が運ばれる。


肉でも魚でもない、

名前の付いていない料理だ。





!!!


何これ!!!



世界で一番美味しい!!!



まるでプリンセスの食卓の様な料理に


ご満悦の姫が叫ぶ。


皆幸せそうだ。




実はその料理ー








こっそりと


近くのコンビニで仕入れられたものー



御足労のボスもご満悦だ。




昔どこかで見た夕暮れ


もう会えない誰かとの会話。


素晴らしい日々の野外食事パーティー


そんな記憶の味ー




-



「なるほどな。」


ボスはふと静かに呟いた。



「ディズニーランドじゃない。


ここは記憶の遊園地か。」




マロンは肩をすくめる。



「マイナーですけどね。」



皆が笑った。






その時だった。


屋上の扉がギィ、と開く。


誰も呼んでいないはずの客。


足音が一つ。


暗い階段を上がってきたその人物は、


月明かりと共に立っていた。


マロンが珍しく驚く。


ジンもグラスを置いた。


姫は目を丸くする。


ボスだけが小さく笑った。


「おいおい。」


「次のレアキャラのお出ましか。」


摩利支天空間の宴は、


まだ終わりそうになかった。

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