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マイナーディズニーランド  作者: 三五タツヤ


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10/11

荒船の麓

熱の集まる場所ー



山の奥、風が削った岩壁のあいだに広がるのが内山峡だった。朝靄がまだ消えきらず、空気はひんやりと重い。ボールを握る指先に、自然そのものの緊張が宿る。


虎は無言でグラウンド代わりの平地に立つ。整備なんてされていない、石も土もむき出しだ。だが、だからこそいい。ここでは誤魔化しが効かない。


「ポポ、来い。」


その一言で始まる。


ポポはゆっくりとマウンドの位置に立つ。足元の不安定な地面に、わざと体重を預ける。バランスを崩せば、そのまま球にも出る。それを逆に利用する。


第一球――

空気を裂く音が、峡谷に反響する。


虎は一歩も動かず、それを受け止めた。


「…いいな。自然を使えてる。」


だが次の瞬間、虎はバットを手に取る。


「今度は打つ側だ。ここじゃ、予測は無意味だぞ。」


風が急に変わる。谷を抜ける流れが、ボールの軌道を狂わせる。ポポの投げた球は、途中でわずかに沈み――


カンッ!!


乾いた音が響いた。


打球は岩壁に当たり、予測不能な跳ね返りで戻ってくる。普通のグラウンドならありえない軌道。


「これが内山峡だ。」


虎は笑う。


「ここで対応できるやつだけが、“本物”になる。」


ポポは静かに息を吐く。

だがその目は、さっきよりもずっと鋭くなっていた。


「面白いね、虎。

 野球ってのは…世界そのものだ。」


再び構える。


風、地面、反響――すべてが敵であり、味方になる。


内山峡の練習は、まだ始まったばかりだった。

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