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余談ですが

 皆さん、何か大切なことを忘れていませんか?


 アマネさんの体に転生したのは、咲耶さん、華菜さん、タクローさん、ナギサさん、ハゲテールさん、マリエルさん、ソータさん、アリサさん、雷太さんですよね。


 『〜咲耶の章〜 第二話 驚愕の事実』をもう一度読み返してみてください。アマネさんの体に転生するのは『全部で十人』と言っています。


 えっと……、一人足りないと思いませんか? アマネさんの体に転生する筈だった十人目とは一体誰だったのか。とても気になりますよね。


 えっ? 別に気にならない? そんなぁ〜、悲しいこと言わないでくださいよ〜。


 その『語られなかった十人目』である『私』の転生について、ほんの少しですがお付き合い下さい。


 ◆  ◆  ◆


 私は前世では、人として生を受ける前に死んでいました。母親の胎内に居た際、不慮の事故に遭い、生まれることが出来なかったのです。


 優しい神様が、そんな私に新しい人生を与えてくれました。何でも「他の人の別人格として生きる」というものだそうで、確実に『生きる』ことが約束された人生です。


 そして、更に神様は『一つだけどんな能力でも授けてくれる』と言います。


 前世で生きることが出来なかったため、『生』についてとても執着があった私は、迷わずに『絶対に死なない』というスキルを選びました。


 さて、絶対に死なない能力を授かった私は、神様から特別な条件を出されました。


「本来、人間を含む『全ての生命体』は早かれ遅かれ必ず死ぬものだ。そのため『絶対に死なないという能力を持つ』ということは、『生命体として生まれることが出来ない』という事になる。

 そこで、少しゲームをしよう。ルールは簡単だ。

 君には一時的に『リビングに置かれているクマのぬいぐるみ』に転生もらう。

 もし、他の転生者(・・・・・)が君に話しかけたら、君の負け。君は改めて人間として転生し、『いずれ死ぬ』という運命を受け入れてもらう。

 逆に、最後まで誰とも会話せずに過ごすことが出来れば君の勝ちだ。君には『人間より高次元の存在――神――』になって貰おう。期限は転生者全員が居なくなるまでだ。

 どうだね? この勝負、受けてみるかね?」


 私は、神様が出した課題を受け入れた事を後悔しました。


 誰にも気づかれないように過ごし続けなければならないというのは、とんでもない難易度だったのです。


 何しろ、転生者の中には『櫻川タクローという、全てを見通せる人物』が居るのですから、彼に悟られてしまったら、そこでおしまいです。


 私は、他の転生者、特にタクローさんがいる時は、身動きひとつ取らないように過ごしました。

 ぬいぐるみの身体なので、動かない事に苦痛はなかったのですが、自分の想いを人に伝えられないので、生きているということが実感できません。『私、何でこんな生き方してるんだろう』と思うこともしばしばでした。


 ◆  ◆  ◆


 そうこうしているうちに、私が転生して幾年か過ぎました。『不死のぬいぐるみ』である私は、食事とか排泄は愚か、呼吸すらする必要がありませんので、ただひたすらに黙って時が過ぎるのを待つだけでした。


 その間、ぬいぐるみの私に話しかけてくる人は……居ました。ナギサさんです。

 転生したばかりの頃の彼女は、私を見ると嬉しそうにパタパタと駆け寄ってきて、『くまさん、あのね……』と話しかけて来ました。


 最初は、『ああ、これで私の負けか』と思ったのですが、神様曰く、『ぬいぐるみに話しかけているだけだからノーカン』だそうで、少し安心しました。


 ナギサさんは、その後も毎日、私に話しかけてくれました。彼女の話は、他愛もないお話ばかりでしたが、私は退屈せずに過ごすことが出来ました。


 そんな彼女たちが今日、この世界から去りました。再転生によって、元の世界に帰ったそうです。


 神様が、私に教えてくれました。


「君には驚かされた。まさか、こんな長期間、一言も喋らずに過ごすことが出来るとは……。私の負けを認めよう。君は今から『神』として生まれ変わるのだ――」


「いえ、待ってください。神様――」


 私は、神様の言葉を遮って、自分の想いを伝えます。


「勝負に勝てたことは嬉しいですが、長い間ぬいぐるみとして生きてみて考えが変わりました。私は『人間』として、普通に生きて普通に死ねる人生を望みます」


「良く決断したな。よかろう。君には『人間』として、生まれ変わって貰おうか。転生先は、彼女たちと同じ世界で良いな」


「はい、私はそれで構いません」


 こうして、私も人間として、元の世界――私にとっては初めての人生――に生まれ変わることになりました。


 私が転生する瞬間、神様が最後に一言、言いました。


「君は、彼女らに感謝すると良い。彼女らは全員、君の事に気付いていたが、あえて気づいていないフリをしていたようだからな」


 えっ? そうだったのですか? きっと、タクローさんが、私と神様の『ゲーム』まで把握した上で、敢えて話しかけないように配慮してくれたのでしょう。


 そう言われてみれば皆さん、不自然に独り言をされている事が多かった気もします。


 私は、皆さんの優しさに涙が溢れそうになりました。


 生まれ変わって彼女たちに逢えたら、お礼を言いたい。そして、次こそはお友達になって一緒に過ごしたい。


 私は、そうある事を期待して、新しい人生を迎えるのでした。


 おしまい


 ―― エンディング№4 名もなき転生者 〜 完 〜 ――

これで、用意していた伏線は全て回収しました。


4つのエンディングのうち、どれが一番良かったか教えていただけると嬉しいです。

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