第十九話 温泉旅行その五
一泊二日の温泉旅行は、部屋のお風呂に入っただけで終わってしまいそうになる。
私は『一週間くらい延長しようかな』と思って皆んなに聞いてみたんだけれど、ナギサちゃんが、
「ぜったいに、イヤですニャ。そんなに長くいたら、サクヤおねえちゃんに何されるか……
考えただけでもこわいニャ」
と、全力で拒否して来た。
……私って、そんなに酷いことすると思われてるのかな。
私が少し涙目になりながら『もしかしてナギサちゃん、私のこと嫌いなの?』と聞くとナギサちゃんは、
「ちがうニャ。サクヤおねえちゃんのことはキライじゃないニャ。
でも、サクヤおねえちゃん、いつもえっちなことするから、それがイヤなのニャ。
いつもわたしのことイジメてたソータくんみたいニャ」
何ィ? 私のナギサちゃんを苛めてた男子が居ただとぉ! そいつ絶対許さないッ!
「ねえナギサちゃん、そのソータってヤツのこと、詳しく聞きたいな」
私はナギサちゃんを苛めた男子のことを聞く。もちろん、ぶっコロ……ナギサちゃんを苛めないように注意するためだ。
「サクヤおねえちゃん、お顔がこわいニャ。あのね、おちついてほしいニャ。イジメられてたのは、わたしが生きてた時のはなしニャ」
ナギサちゃんがオドオドしながら言う。
「あっ、ああ〜、そうだね。私たち生まれ変わったんだったね……」
わたしは一応、落ち着きを取り戻すが、やっぱりそのソータってヤツは許せない。
まあ、おそらく苛めの原因は、そのソータって奴がナギサちゃんのことを好きだったんだろうけれど、ナギサちゃんは私のモノだ。
私は元の世界にいるであろうソータに向かって中指を立ててやった。――まあただの気持ちの問題なだけだが。
「それで、さっきの話の続きなんだけど――」
私は、ひとまずナギサちゃんがイジメられてた件は置いておいて、話を進める。
「ナギサちゃんは、私がエッチなことをしなかったら一緒にお風呂に入ってくれるんだよね?」
そう聞くと、ナギサちゃんは変化球を返してきた。
「サクヤおねえちゃん、わたしのハダカ見て、ぜったいにエッチなことしない?
かみさまに、ちかって言える?」
「ダイジョブダヨー、ゼタイエチナコトシナイヨ」
私はナギサちゃんにダイヤモンドよりも固い意志を伝える。
「サクヤおねえちゃん……」
何故か、ナギサちゃんが呆れ顔をして嘆息する。もしかして私、全く信用されてない?
仕方ないなぁ〜、私は妥協点を探るべくナギサちゃんに質問をする
「じゃあ、こうしようか。帰ってから私と一緒のベッドに裸で寝るか、
それとも帰る前に私と一緒にお風呂に入るか、ナギサちゃんはどっちがいい?」
ナギサちゃんは『なんでベッドでねるのにハダカなのニャ?』と首を傾げる。
それから三十分くらいナギサちゃんを説得しようと試みるも、ちっとも『うん』と言ってくれない。
私は痺れを切らす。
「もう、ナギサちゃんはワガママだなぁ〜。女の子同士なんだし、裸くらい見られても困らないでしょう?
あんまりワガママばかり言ってると――」
私が胸を揉むような仕草をしながらそう言うと、ナギサちゃんがとうとう降参した。
「わ、わかったニャ。オフロに入るから……。サクヤおねえちゃん、やさしくしてほしいニャ」
ふぅ、やっとナギサちゃんの裸が見れることになった。
「じゃあ、チェックアウトまでもうあんまり時間ないから、今から入ろうね」
「……はい、わかったニャ」
二人で部屋の脱衣所に行く。
「私、先に入って待ってるから。絶対に来てね」
「わかりましたニャ」
私は着ているものを全て脱いで、脱衣カゴに放り込むと風呂場に行き、湯船に浸かってナギサちゃんを待つ。
少し待っていると風呂場のドアが開き、ナギサちゃんが恥ずかしそうに入ってきた。
今日は煙幕も無いのでナギサちゃんの肢体がハッキリと見える。
「……お、おまたせしましたニャ」
ナギサちゃんが、おずおずと私の前に立つ。
「あっ、やっぱり私の思った通りなんだね」
私はナギサちゃんの身体の一部を凝視しながらそう言った。
「は、はずかしいから、あんまり見ないでほしいニャ……」
ナギサちゃんは、その部分を見られることをとても恥ずかしそうにしていた。
「えっ? こんなに可愛いのに……。ナギサちゃん、これはもっと皆んなに見てもらうべきだと思うよ」
私は素直な気持ちを述べる。
「そ、それはイヤだニャ。はずかしいニャ」
ナギサちゃんがイヤイヤと頬に両手を当てて体をくねらせる。
「ねえナギサちゃん、ちょっとだけ、触ってみても良いかな?」
「お、おさわりキンシだニャ! 見るだけってヤクソクだったニャ」
ナギサちゃんは頑なに触られるのを嫌がる。まあ、別に触らなくても可愛いことは分かるから良いか……
「じゃあ、とりあえず魔法少女の衣装だけ、穴を開けておくことにするからね」
「ええええ〜っ? そんなことされたら、みんなに見られちゃうニャ!」
「もう、これは決定事項だから。変えられませ〜ん」
「そ、そんなああぁ〜」
こうして、ナギサちゃんの魔法少女服は来週の放映分からシッポ穴が開けられることになったのだった。
咲耶がナギサちゃんの裸を見たがってた理由が、やっと書けました。
というわけで、ナギサちゃんはシッポを見られるのが恥ずかしかったので一緒に入りたがらなかったのでした。
いかがわしい想像してた人は正直に手を挙げて下さいね。
あ、あと作中に出てきた『ソータくん』は、昨日投稿した短編作品『俺のターン、相手デッキのカードを一体破壊するごとに幼馴染の恥ずかしい秘密が一つ暴露される』にもチラッと出てきます。
彼の物語もいつか書きたいなぁ〜と思ってます。




